寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

男性育休 企業に改善迫る 取得率、開示義務を拡大

男性の育児休業に関する話題が増えているような気がします。

ルールも変わっていきそうですね。日経新聞より。

 

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政府は(3月)12日、男性の育児休業の取得を促すための育児・介護休業法改正案などを閣議決定した。男性の育休取得率はまだ十分ではなく、取得日数も短い。育児支援に関する情報開示の義務化で企業に環境整備を迫り、女性に偏る育児の負担軽減と少子化の克服につなげる。

 

まずは概要を押さえておきましょう。

記事から引用した下の表を見ると、

従業員300人超、100人超の企業が義務化される事柄もあり、

各私学にも決して無関係ではない話題だと気づかされます。

 


この記事にはいくつかのデータが示されています。

まずは少子化の状況。

2月に公表された2023年の出生数の速報値は75.8万人。

たった8年前から20万人以上の減少です。

この要因の一つに、男性による家事・育児参加の遅れがあるとの指摘は

今や耳慣れてしまっているほどではないでしょうか。

 

そして専業主婦世帯の減少。

かつては専業主婦がもっぱら家事や育児を担っていたが今や少数派で、

専業主婦世帯は3割を下回り、共働きが当たり前です。

なのに総務省の調査では、6歳未満の子がいる共働き世帯での

1日平均の家事・育児時間は女性が6時間32分で、

男性(1時間57分)の実に3.4倍に達しています。

 

長時間労働を背景に男性の育児・家事への参加が進まず、子を持ちながら仕事をする女性に負荷が偏る構図だ。今回の改正法案はこの現状を打開するのが目的だ。情報開示の義務化で男性が育児・家事へ参加できるよう企業に対応を求める狙いがある。

 


今後の法改正により、育休取得率や目標値の公表義務の対象が広がりますが、

このように数字を開示させることで、

「労働者が企業を選ぶ際の目安になる」と記事は指摘しています。

「企業同士で子育て環境の優劣を競い合う効果も見込める」とも。

 

さて、貴校園では男性の育児休業取得は一般的になっているでしょうか。

ひょっとすると、女性すら育休の取得がなかなか…

という職場も残っているかもしれませんね。

そのことを横に置いたまま、人手不足を嘆くのは理屈に合いません。

健全な家庭生活を送れる環境を整えることもまた、

職場に求められる要素であることを常々覚えておきたいですね。

 

ちなみに、今回の記事には

「日本の両立支援制度そのものは国際的に評価が高い」

とも書かれていました。なのに出生数減少が止まらないのは、

そういった制度を男性が利用しづらい雰囲気があるから、とのことです。

こういった雰囲気作りも経営層は意識しておくべきでしょうね。

 

改正法案に盛り込んだ対策は25年度から順次導入する予定だ。中央大学の江口匡太教授は「法律は最低限やるべきことを示しているに過ぎない。企業はそれ以上に働きやすい職場環境を作る努力が必要だ」と指摘する。

 

私学が率先してそういう職場環境を作れれば、

新卒の就職先の流れは大きく変わるのではないでしょうか。

今後の変化に期待したいと思います。

 

(文責:吉田)

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企業参入、増える通信制

昨日に続き、日経新聞に掲載された「教育の経済学」から。

本日は教育産業への企業参入の話題です。

 

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日本の社会は多様性を重視し、組織の強さの源泉ととらえるようになってきた。画一的な教育が変わる一つのきっかけになったのが企業による学校運営だ。

 

 

生徒に個別最適な学校が必要、という考えで2004年に作られたのが

通信制のアットマーク国際高等学校。

リクルート出身の日野公三氏が設立者です。

日野氏は発達障害にも対応した別の通信制高校を2009年に設置。

このように、通信制の高校はかなり増えていて、

全日制・定時制の生徒数はピークの1989年から半減する中で、

通信制は1.6倍になっています。実に、高校生の12人に1人が通信制

特に私立の通信制高校は20年前の3倍にも達しているようです。

 

もちろん、背景には不登校の増加もあります。

ただ、なぜ不登校生が増えているのか、との問いに対して、

慶応大教授の中室牧子氏は「既存の学校が対応できていない」

と答えていらっしゃいます。

通信制を研究する星槎大学教授の手島純氏も

「従前の学校は明治時代以降の一斉授業から大きく変わっていない」

通信制は一歩早く、仮想空間と現実を高度に融合させ、

 一人ひとりに最適な学びを実現した学校もある」と話しておられます。

 

「起業したり、大人顔負けのプログラミングを書いたりと、

 とがったことをする仲間と共に学べた」と話す小松史道さんは、

学校法人角川ドワンゴ学園が2016年に設立した、

通信制のN高等学校に通っています。

こういったことは全日制の高校では難しいのでしょうか。

もちろん、カリキュラムの制約はあると思いますが、

通信制しかとがったことができないというわけではないでしょう。

 

この20年ほどで働き方が変わり、デジタル技術の浸透で学校が提供できる教育の幅も広がった。学びの形も一つである必要はない。生徒の選択肢が増え、学校が個性を競い合うことで、革新を生む未来の人材が育ち、成長へとつながっていく。

 

おそらくどの学校でも、入学後の転退学者の増加が

経営上の問題になっているだろうと思います。

転退学が増えている要因を外にばかり求めていないでしょうか。

貴校園が変われば、卒業生が増える…のかもしれません。

 

(文責:吉田)

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共働きニーズ、私立小が対応

本日と明日のブログでは、日経新聞に先月掲載された

「教育の経済学」というテーマの記事から続けてお届けします。

まずは共働き家庭のニーズへの対応についてです。

 

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記事に登場するのは、東京都にある私立東京農業大学稲花小学校。

授業を終えた子どもたちが、校舎の中にある

「第2の学校」に向かう様子が描かれています。

第2の学校とは、お察しの通り「学童」です。

 

この稲花小は、東京23区内の私立小学校としては

実に59年ぶりに新設された学校で、2019年に開校しました。

2024年度入試では72人の募集枠に対し、879人の応募が集まっています。

その人気の理由の一つが学校直結の学童「アフタースクール」の存在。

学校が委託するNPOが運営し、最長で午後7時まで児童の面倒をみてくれます。

授業料とは別に料金がかかるものの、生徒の入会率はほぼ100%。

さらに、入学式の翌日から給食ありの6時間授業が開始されるため、

お弁当を作る必要はありません。

保護者への配布物も、プリントではなくオンライン対応を徹底。

共働き家庭を意識した施策が実行されているようですね。

 

私立小学校は、限られた裕福なご家庭の選択肢にしか上らない、

というのが一般的な認識ですし、私も基本的にはそう考えていますが、

文部科学省の統計によれば、

国内の小学生の総数は30年前から3割減った一方で、

私立小に通う生徒は2割増えたそうで、

その割合も一貫して上昇しているとのこと。

その要因として、上記の例にあるような共働きニーズへの対応が

鍵を握っている、というのがこの記事の見立てです。

 

それはお弁当作りや学童だけではなく、

こんなところにも見え隠れしているようです。

子どもの中学受験を経験した都内の会社員女性(44)は「塾から出される膨大な量の宿題を家庭で見るのは不可能だった」と振り返る。

中学受験は共働きでは難しいのではないか、だったら小学校受験にしよう――。そう考える親が増えている。受験情報サイトを運営するバレクセル(東京・渋谷)の野倉学代表は「今や私立小学校受験者の6~7割が共働き世帯だ」と語る。

 

 

上のグラフにもあるように、すでに日本社会は

共働き家庭が圧倒的多数を占めるに至っています。

今回の記事には、

「共働き世帯の増加は教育業界にもビジネスモデルの変革を促した」

とあり、確かにそのような傾向は確認できると感じます。

 

一方で、学校はあくまでも教育機関であり、

「子どもを預かる」「生活の面倒を見る」といったところに

どのくらいの経営資源を割くべきなのか、悩ましくもあります。

共働き家庭が一般的になる中で、家庭の役割が変化することは

やむを得ない面もありますが、その役割がすべて学校に移る、

というのは教育自体の質低下につながらないか、少し心配になります。

 

さて、こういった環境変化を貴校園ではどのように受け止めますでしょうか。

ニーズを意識しつつ、ぜひ自らのなすべき教育活動をも大切にして、

今後の活動を組み立てていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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先進教育・開業支援、人呼ぶ

先日は外国人居住者が増えていくということについて書かせていただきましたが、

今回は国内の偏在解消という観点から人口を考えてみます。

日経新聞より。

 

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少子高齢化とともに人口流出が加速する地方圏で移住者ら新たな住民の呼び込みに成功する自治体がある。国の地方創生策が始まる前の10年前に比べて人口流入が増えた市町村は地方の1割超、沖縄県高知県などは2~4割を占めた。先進的な教育や開業支援など特色ある地域づくりが効果をあげている。

 


まずは現状を押さえておきましょう。

偏在の是正はここ10年でよく言われるテーマになっているのですが、

新型コロナウイルス禍で一時減った東京圏への人口流入

その後再び拡大し、結果的には直近の東京圏への転入超過は12万人と

大きな数字になっています。

 

一方で、地方にも転入超過となっている地域があり、

その市町村の割合は沖縄(44%)、福岡(28%)、高知(24%)、

山梨(22%)、長野(22%)で高くなっているようです。

自治体の人を招く取組例としては、公営賃貸マンションの整備や

保育料の無償化、子どもの医療費助成などが挙げられていますが、

その中にこんなものも挙がっていました。

 

転入超過が約200人の高知県香美市は教育で独自色を出す。探究心に富んだ子どもを育てようと教育プログラム「国際バカロレア」を21年に市立大宮小学校に国内の公立小で初めて導入。入学を目的とした移住相談が37件寄せられ、9世帯が移り住んだ。

 

教育内容でも移住を促進できる、ということですね。

もちろん、各校園単位での取組では限界がありますが、

おそらくどの地域も、人口の維持は街の活力のためにも

非常に重要な要素だと捉えておられると思いますので、

地域と連携し、貴校園に通う子どもたちの数を確保できるよう、

工夫を凝らしてみていただきたいと思います。

 

特に、周辺の人口が急速に減っている地域に立地する校園は、

その傾向を嘆くだけでなく、自らの存在が地域の活性化に資するべく、

魅力化を進めてまいりましょう。

 

(文責:吉田)

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Z世代の「育て方改革」

働き方改革、ならぬ、育て方改革。

確かに必要なのかもしれませんね。日経新聞より。

 

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人手不足で人材獲得競争が激しさを増すなか、企業が若手の育成に苦労している。転職も含めて自分のキャリア形成を重視する「Z世代」の価値観が、伝統的なタテ割り組織とかみ合わないからだ。職場内訓練(OJT)で育てる従来のやり方には限界があり、企業も「育て方改革」に動き出している。

 

この記事に登場しているのは一般企業の例です。

2月22日に開催された、社員1200人が参加する交流イベント。

この参加者は入社5年までの若手に限定されているのですが、

そこから18人の実行委員を公募し、

イベントの企画・運営はこの実行委員にすべて委ねられたそうです。

 

このイベントの参加者はなぜ入社5年までなのか。それは、

「入社5年を境にやる気が低下する社員が多い。

 コロナ禍もあり、事前と事後の交流も含めて、

 コミュニケーションを通じた行動変容を促したいと考えた」とのこと。

下のグラフを見ると、3年以内の転職希望者は半数近く、

5年以内となれば6割に上りますので、

確かに「最初の3(5)年」は大切だということが分かります。

 

 

一般にZ世代と呼ばれるのは1990年代後半から2012年までの生まれ。

記事には「40代以上は一定の価値観で育っているが、Z世代の価値観は多様。

人事部もどうマネジメントすればいいか悶絶している」とあり、

以下4点の特徴が書かれています。

  1. 有給休暇の取得やリモート勤務を重視する。
    残業などで自分の時間を侵食される職場を選びたがらない。
  2. 就職時に最初から転職を視野に入れている。
  3. キャリア(仕事の専門性)は自分に蓄積され、
    転職しても持ち運ぶという意識が高い。
  4. タテよりもヨコのつながりを重視する。
    上司よりも異なる職場や違う会社の同世代が
    どう働いているかに関心が強く、副業にも意欲的。

 

さて、ここまでは一般企業での若手の様子を見てきましたが、

私学、貴校園の様子はいかがでしょうか。

おそらく、当該世代に対しては

よく似た感覚を抱く管理職やベテラン層が多いなど、

似通った状況が生まれているのではないかと思います。

 

では、その状況をどう打開するのか、については検討されていますでしょうか。

今日のブログの冒頭にあった、イベント企画にヒントをもらうとすれば、

学校や幼稚園は行事の宝庫ですから、そういったカリキュラムの一部を

年代を超えて任せてみる、といったことはあり得そうですね。

長く教職員を務めてもらうために、どんな環境が望ましいのか、

決して「甘やかす」ということではなく、

「育てる」という観点から考えてみていただきたいと思います。

 

学校という場は子どもたちを「育てる」「学ばせる」ための専門機関。

大人も学校という職場で「育てる」という意識さえ持てば、

その道のプロである先生方はきっと方策を見つけて下さるはず。

管理職やベテランは、信じて任せる、という意識を大切にしたいですね。

 

(文責:吉田)

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定年再雇用賃金訴訟 60歳基本給6割カット

定年再雇用者に対する賃金をどのくらいの水準にするのか。

おそらく、私学でも課題のひとつになっているのではないでしょうか。

今はそうでなくても、今後課題化される可能性も高いと思われます。

判例を見ておきましょう。日経新聞より。

 

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現在、高裁で審理中の自動車学校訴訟。

そのテーマは「定年後の賃金減額がどこまで認められるのか」。

この事件の顛末を簡単に押さえておきましょう。

 

愛知県に住む男性は30年以上にわたり、自動車学校で

普通自動車の講習や学科などの指導を行ってきましたが、

60歳で定年となり、同じ職場で再雇用されました。

が、再雇用により賃金は大幅に減少。

月額約18万円だった基本給は8万円ほどになり、

1万3千円の家族手当もゼロに。

勤務内容や時間はほぼ同じなのに、です。

そして、労働組合が定年後の待遇改善を求めたものの、会社側は拒否。

訴訟に至った、というわけです。

 

当時の労働契約法は正社員と非正規社員の「不合理な待遇格差」を禁じていた。21年には同種の規定を盛り込んだ「パートタイム・有期雇用労働法」も全面施行された。同一労働・同一賃金の原則を明文化した法整備は、多様な働き方を促す政策の一環でもあった。定年後に嘱託職員として継続雇用された男性のようなケースも、厚生労働省の指針は保護の対象と位置付けている。

ただ、加齢による体力低下や年金・退職金の支給などの事情に鑑み、賃金を低く設定することも認められた。再雇用などで待遇に格差が生じること自体は、最高裁も別の訴訟で「不合理でない」と判じた。

 

実際、定年を超えると給与が急減する例はそれなりに多いようで、

2023年の賃金構造基本統計調査(速報値)によれば、

55~59歳の平均月給(376,400円)に対し、

60~64歳は305,600円と、2割ほど少なくなっています。

ただ、減少幅は平均で2割にとどまる、

ということは覚えておく必要があるかもしれませんね。

 


この訴訟では、基本給の6割カットが「不合理」かどうかが争われました。

そして自動車学校側が強調したのは、苦しい業界環境と厳しい経営状況。

「子どもの人口が減少している。経営はどこも非常に苦しい状況です」。社長は陳述書に切々とつづった。

業界団体によると、最多の1991年に全国1477校あった自動車学校は、2022年12月末には1240校となった。卒業生も約158万人とピーク時から4割近く減った。

 

こういった状況は、私学関係者の皆様にも共感できるところが

あるのではないでしょうか。

 

地裁と高裁は「労働者の生活保障の観点からも6割の減額は看過しがたい」

として学校側に差額分の賠償を命令しましたが、

最高裁は2023年7月に一、二審判決を破棄。

「不合理な待遇格差」に当たりうるかどうか、

基本給のあり方や労使交渉などの経緯について検討を尽くすよう求め、

審理を名古屋高裁に差し戻しました。

 

学校側は訴訟で「人件費は若年指導員の確保、教育を主眼に使いたい」との姿勢を強調してきた。定年以降も賃金を維持すれば、しわ寄せは将来的に会社の中核となるはずの若年層に及びかねない。年功賃金制によって定年直前の賃金がその時点の職務能力や評価、成績と必ずしも一致しないまま最も高くなっていることも付言した。

 

さてこの判例を踏まえて、貴校園では再雇用後の賃金について

どのようにお考えになるでしょうか。

 

個人的に感じるのは、同一労働同一賃金の原則からすれば、

労働の中身が同じであれば賃金を大きく下げることは問題となりやすく、

避ける必要があるのではないか、ということ。

と同時に、現役世代の賃金カーブの持ち方についても、

今一度検討が必要なのではないか、ということも感じます。

 

私学の場合、定年直前の賃金があまりに高くなりすぎているケースも

それなりにありそうですから、そこからの急減を防ぐため、

さらには今回の判例で自動車学校側が主張しているような

「若手の処遇」の充実のためにも、これまでとは少し違った

賃金カーブの描き方を模索せねばならないのではないでしょうか。

 

貴校園でもぜひご検討いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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国立大、留学生の授業料上げへ

まずはこの先月の記事をご紹介します。

日経新聞より。

 

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文部科学省は国立大学が外国人留学生に求める授業料を4月に自由化する。日本人学生と同額だったが値上げが可能になり、増収分を教育環境の整備など受け入れ強化策に充てる。海外は授業料を自国学生より高額とする大学が主流だ。見直しは国際競争力を高める狙いがあるが、値上げに見合う質の充実が問われる。

 

というわけで、国立大学にも値決めの自由が与えられる、という記事です。

国立大86校の授業料は現在、年535,800円が標準額と省令で定められていて、

この金額より2割高い642,960円までの増額が認められています。

この省令が3月に改正され、留学生向けは上限が撤廃されました。

その記事がこちら。

 

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文部科学省は(3月)29日、国立大学の授業料に関する省令を改正し、4月から外国人留学生に求める授業料の上限を撤廃した。これまでは日本人学生と同額だったが値上げが可能になる。増収分を受け入れ環境整備に充て、国際化を進める国立大が増えるとみられる。

 

この価格自由化により、多くの国立大が授業料を値上げするとみられる、

と記事には書かれています。

これに追随する形で、公立大・私立大も値上げに動く可能性がある、

とも書かれています。

留学生の場合、入学前の語学教育や外国語での論文執筆のサポート、

学生寮の整備といった国内学生と異なるニーズがあり、

それらの整備を進めるために授業料が活用されることになりそうです。

価格は上がったとしても、学びの環境整備が進むことによって、

留学生が日本の大学に来やすくなるのであれば、

それはひとつの大きな効果だとも思います。

 

さて、この記事を読んで改めて私学の価格決定権について

考える機会がもらえた気がします。

 

授業料はその学校に入学するご家庭にとって、

意思決定の重要な要素であることは間違いないでしょう。

ただ、市販されている商品の中でも、

際立って高い商品なのによく売れるものがあるように、

学びの価値を理解いただくために適切な値付けをすることは

むしろ積極的に考えるべきなのではないか、とも感じます。

 

昨今、私学の価格決定権が奪われてしまうような施策も見られますが、

私学の自治は本当に尊いものだと常々感じています。

貴校園の価値を適切に表現する価格について、

今後も見据えながらぜひご検討いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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