寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

バイト時給2%高

過熱感は一服、とありますが、上昇は続いているようです。

日経新聞より。

 

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リクルートが12日発表した6月のアルバイト・パート募集時平均時給は、三大都市圏(首都圏、東海、関西)で前年同月比23円(2.0%)高い1181円だった。人手不足を背景とした上昇が続いている。年初から続いてきた3~4%台の高い伸びはやや減速した。

 

 

求人媒体「タウンワーク」などの掲載情報を集計した結果が

今回の記事になっているようですが、

「販売・サービス系」は1,154円(前年同月比2.8%高)で過去最高となったほか、

化粧品販売やホテルスタッフも4%以上伸びており、

加えて「専門職系」の中の医療や介護関係の職種も上昇が目立っています。

ただ、全体の平均の伸び率が3%を下回るのは昨年12月以来で、

「現場の人手不足は変わっていない」との見解はありながら、

過熱感はやや薄らいだようです。

 

一方で、記事にはこんな情報も掲載がありました。

秋に向けて最低賃金の見直しの議論が始まっている。再び時給の伸びに弾みがついてくる可能性もある。

 

最低賃金見直しに関するニュースはつい先日流れましたよね。

こちらです。

www.nikkei.com

 

さて貴校園の賃金水準は今どのくらいになっているでしょうか。

非常勤を中心に、最低賃金の上昇に合わせて

ここ数年で単価を上げられた例も少なくないことでしょう。

ただ、最低賃金すれすれを繰り返すことで、

欲しい教職員を確保することができるかどうか、

冷静に考えておく必要があるとも思います。

 

ちなみに先日、ある幼稚園で

「お母さんの時給、私の時給よりも安いね」

と言われた非常勤スタッフがいた、という話を耳にしました。

 

私学の賃金体系は、表面的な時給に加えて、

いくつかの月例の手当や賞与、退職金があることがあります。

(幼稚園やこども園では、処遇改善手当の存在もありますよね)

支給されている給与等がどのように計算されているのか、

表面的な時給単価だけでは比較ができないところがあるという点も含め、

情報の適切な開示と共有が必要、

ということも忘れないようにしておきたいですね。

 

(文責:吉田)

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学力テスト、分析容易に

国学力テストがオンライン化されることが決まったようです。

日経新聞より。

 

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文部科学省は8日、小6と中3を対象に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、2027年度から紙の問題冊子をすべて廃止し、パソコンを利用してオンラインで出題・解答する試験(CBT)に全面移行する方針を明らかにした。CBT化で解答データが収集・分析しやすくなり、学校現場の指導充実につなげたい考えだ。

 

学力テストのCBT(Computer Based Testing)化は、

2025年度に中学理科で本格導入されることがすでに決まっていますが、

今回提示された工程表によりますと、下表のとおり、

2026年度から中学英語のの4技能全てをCBT化し、

2027年度から小中の国語と算数・数学にも拡大するという流れです。

文科省はこの工程を9月にも正式決定し、

10月ごろに自治体や学校現場向けの説明会を実施する予定だそうです。

 

 

このCBT化、メリットはとても大きいと考えられています。

児童生徒は1人1台配備された学習用端末で解答するため、動画や音声を利用した幅広い出題が可能になる。問題冊子の印刷の費用削減も利点だ。不登校の児童生徒は遠隔で参加できるようになる。

 

課題は学校のネットワーク環境の改善ですが、

これは私学においてはコロナ禍以前から認識されていたことと思いますので、

私学に限れば、そろそろ状況改善、障害の解消が見通せる状況に

なってきているのではないか、とも思います。

 

というわけで、テストのCBT化は今後進んでいくかもしれませんね。

テストのやり方が変わると、勉強の仕方や指導の仕方も変わる、

のでしょうか。

教育技術の進展が教育内容を発展させることにも大いに期待したいと思います。

そして今回の記事タイトルになっているように、

結果の分析が容易かつ深化することで、

次につなげていけるものがより大きくなることにも期待したいですね。

 

(文責:吉田)

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高専初の「秋入学」、金沢の国際高専

久しぶりの秋入学の話題です。

しかも、大学ではなく高専ですね。日経新聞より。

 

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国際高等専門学校金沢市)は高専で初となる「秋入学」を導入する。2025年度から1年次の10月編入学として若干名を受け入れる。日本とは卒業時期が異なる海外の学校の卒業生などを獲得し、学生の多様性を高める。

 

高専の制度やルールについては、正直なところ私はあまりよく知らず、

今回の記事で

「現行制度では高専の入学時期は小中学校と同様に4月と決められている」

とあるのを読み、やはりそうなのか、と思ったところです。

となると、秋に学生を募集する場合、そこに定員は設定できず、

若干名を編入学させるという形にならざるを得ません。

そういう形ですので、入学者の卒業時期も9月とはできず、

4年半後の3月となってしまいます。

 

ちなみにこの国際高専金沢工業大学が設置しています。

全国に4校ある私立高専の一つ。貴重な存在ですね。

そして、このニュースを読む限り、認められていないが頑張ってみよう、

という学校法人の意志が感じられます。

 

 

ちなみに、高校や大学は現行制度においても定員を明示して受け入れ、

高校なら3年後、大学なら4年後に卒業する通常の秋入学が可能となっています。

では秋入学を、となかなかならないことは

以前のこのブログでもお伝えしたとおりで、

日本国内の社会のしくみが整わないことが大きな障壁となっています。

 

一方で、国内の少子化がどんどん進む中で、

果たしていつまでも現状の入学方法を続けていていいのか、

という点も再び論点化するのではないかとも感じます。

私学としては、既存の枠組みにこだわらず、

ゼロベースでいろいろなことを検討してみる必要があるのではないでしょうか。

今回の国際高専の例がどう推移するのか、

ぜひとも注目してみたいと思います。

 

(文責:吉田)

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生成AI「仕事で利用」4割 文章作成など業務効率化

学校の皆さんはAIをすでに活用されているのでしょうか。

世間では「4割」が平均だそうですよ。日経新聞より。

 

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生成AI(人工知能)の業務での利用が広がっている。日本経済新聞が読者3000人にアンケート調査したところ、仕事で使っている人は44%と、1年前の調査(18%)から倍増した。文章作成など業務の効率化に使う動きが目立つ。情報漏洩や著作権侵害への懸念は根強く、社内ルールの整備や専門人材の確保が求められる。

 

この調査は、今年5月30日〜6月3日に、日経IDの所有者を対象に

日経新聞が日経リサーチと共同でオンラインで実施したものです。

働いている3230人(自営・自由業を除く)から回答を得たとのことです。

 

 

調査結果によれば、生成AIを使ったことのある人は全体の64%。

1年前の前回調査(30%)の2倍以上に増加しています。

そして、このうち仕事で使う人はその割合も増えたことに加え、

利用頻度も上がり、ほぼ毎日使う人は8%、時々使う人も28%と

いずれも倍増以上の伸びとなっています。

 

さらに、技術的な特性を踏まえた使い方も浸透してきた、

と記事にはあります。

AIは用途に応じて高精度な文章が作れる一方、学習データにない最新情報を調べるには不向き。「文章作成」に使う人は65%と17ポイント増え、情報収集などの「リサーチ」は45%と12ポイント減った。仕事の悩みを相談する「疑似カウンセラー」として使う人もいるという。

 

 

さて冒頭でもお尋ねしましたが、皆さんは生成AI、

普段から使っておられますでしょうか。

私の場合、毎日使っているわけではありませんが、

時折AIからアイディアをもらっています。

今はやめてしまったのですが、このブログのタイトルに

AIのアイディアをもらっていたこともあります。

(あんまりしっくりくるのがなかったのでやめてしまったのですが)

時間短縮、効率化という意味ではもちろん役立ちますし、

それ以上に、自分以外の知恵を借りてよりよいものにする、

という際に気軽に使えるのは有難いと感じています。

 

ただ、生成AIは運用ルールが整っていないケースも多いと思われます。

今回の記事にもこう書かれていました。

利用上の懸念を複数回答で尋ねたところ、「情報の正確性や公平性」が75%と、前年に続き最も多かった。「著作権などの法務リスク」(71%)、「情報流出などのセキュリティー」(58%)への不安も根強い。

(中略)

急速な普及にリスク管理体制の整備が追いついていない実態も浮かぶ。職場に生成AIの利用ルールが「ある」人は全体の39%だけで、44%は「ない」、17%は「わからない」と答えた。仕事で使っている人でも社内ルールがあるのは6割にとどまった。

 

新たなものが登場すれば、それを積極的に活用するという意欲と、

それを安全に活用するための環境づくりを両輪としたいところです。

貴校園でも生成AIを業務上活用するための

素地を整えていっていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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増えるインター校、国際性に関心

インターナショナルスクールが増えている、という記事です。

日経新聞より。

 

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国際教育や英語力への関心の高まりを背景に、インターナショナルスクールに通う日本人が増えている。法律上の学校ではない場合が多く、保護者にとっては子どもを学校に通わせる就学義務への違反になりうるものの、自治体によっては実質的に容認しているのが現状だ。国は正確な実態を把握しておらず、就学義務制度の綻びが見過ごされたままになっている。

 


インターナショナルスクール(以下「インター校」と略します)、

と一口に言っても、その幅はかなり広いようで、

法令上特段の定義もなされていないとのこと。

記事には「一般的には英語による授業が行われ、

外国人生徒を対象とする教育施設を指す」とあります。

国際教育評論家の村田学氏によりますと、

多国籍の子どもを受け入れ、英語で教育するインター校は

全国で100校を超えていて、中でも小中学校段階、

すなわち義務教育期間のインター校に通う日本国籍の子どもは

少なくとも約6500人ほどいる可能性があるそうです。

 

学費が年200万~300万円ほどすることもあり、これまで有名私立校を選択してきた富裕層が多いという。村田氏は「保護者が主に期待するのは英語力を土台にコミュニケーション能力を育成し、世界で活躍できるような人にすることだ」と分析。「受験戦争」や日本の既存の教育方法への不満も動機として目立つとする。

 

インター校へ通わせることが義務教育の要件を満たさない、

つまり保護者が就学義務違反となってしまう、

という制度上の問題も何とかしないといけないことではありますが、

上の文章を読みますと、これまで私学が担ってきていたはずの

ニーズの受け皿がインター校に移っているとも読めますので、

私学としてインター校から学ぶべき点もあるのかもしれません。

 

「英語力を土台としたコミュニケーション能力の育成」

「世界で活躍できる人材の輩出」

はいずれも私学のキャッチコピーとして使われることが多いものだと

感じますので、その方針は是とするとした場合、

方法論が果たして今のままでいいのか、という点は

私学として常に考えていくべき事柄ではないでしょうか。

 

ちなみに、私学として特に重視したい点をめぐって、

記事には以下の例が挙がっていました。

 

あるインターの関係者は「国は公教育を選ばない人が増えていることを受け止める時期に来ているのではないか」と指摘。開成中(東京・荒川)などの名門校が非1条校の出身者の受験を認めるなど、門戸を開く動きもある。

 

熊本大付属小・中学校(熊本市)は台湾積体電路製造(TSMC)の進出や保護者らからのニーズの増加にあわせ、英語で授業を実施する国際クラスを26年度から設置する。こうした1条校の取り組みも広げていくべきだ。

 

正式にインターを学校として認めるのであれば、一定の質を確保する仕組みづくりは必須だろう。子どもをインターに通わせる関西圏の30代女性は「ただ英語を話すだけでカリキュラムの質が低く、転校を検討している」と明かす。

 

ニーズだけにとらわれるのではなく、

私学だからこそできる先進的かつ理念的な教育を実践していく動きが

広がっていくことを願っております。

 

(文責:吉田)

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高卒採用、27年ぶり大卒上回る伸び

高卒採用が大きく伸びているようです。

卒業後に就職という選択肢がある高校ではまさに追い風かもしれません。

日経新聞より。

 

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高卒人材の需要が高まってきた。現場の即戦力として期待できる高卒者の採用計画をヤマト運輸は5割増、セコムグループも3割増にする。人工知能(AI)やロボットに代替できない現場勤務のある職種は、サービス業や建設業を中心に人手不足が深刻だ。現場労働者不足の常態化をにらみ、若手人材の採用を手厚くする。

 


日本経済新聞社の採用計画調査によりますと、

2025年度の採用計画数は2024年度実績に比べて、高卒は19.9%増となりました。

大卒は15.6%増ですので、4ポイント超の差で

高校の伸び率のほうが大きくなったというわけです。

伸び率が逆転したのは1998年度以来、27年ぶりとのこと。

高卒の就職希望者数は減り続けており、

卒業者に占める就職希望者比率も下がっているため、

今後高卒採用の拡大が続けば争奪戦が激しくなるのは必至です。

 

そして、採用人気の高まりによって、

高卒者の賃金上昇幅も大きくなっています。

賃金構造基本統計調査によりますと、

大卒20~24歳と高卒19歳以下の賃金の伸び率(2021年→23年)は、

大卒(4.5%増)を高卒(4.9%増)が上回っています。

 

高卒人材の採用へと関心が広がる背景には、現場作業を伴う職種の労働者不足がある。

23年の有効求人倍率は、「建設駆体工事」が10.37倍と10倍を超え、10年前比で4ポイント上昇した。「建築・土木・測量技術者」は6.59倍、「保安」も7.10倍でいずれも同3ポイント超上がった。いずれもコロナ禍で一時低下したものの、足元では2年連続で増えて異状な水準に高まっている。

 

上記職業に共通して言えるのは、生成AIなどでは代えがたい、

すなわち人だからこそできる仕事、というところです。

AIとの役割分担が当然になるであろう将来を見据えれば、

こういった職業に就く人材の重要性はますます高くなるでしょう。

各校園では、偏差値一辺倒にならず、

多様な進路が実現できる教育をぜひとも充実させていただきたいと願います。

 

(文責:吉田)

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50大学が理系学部新設 定員1.9万人増

昨日に続いて大学の話題になりますがご容赦ください。

日経新聞より。

 

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3000億円の基金で大学と高等専門学校の理系分野の拡充を促す事業で、文部科学省は(6月)26日、新たに85大学・11高専の計96校を選定したと発表した。約50大学が初めて理系学部を設置。2028年度までに理系学部の入学定員は1万9千人増えることになる。デジタル人材の育成などに向け、理系転換が進むが、教員の確保などが課題となる。

 

少子化によって募集が厳しくなる、という昨日の記事とはうって変わって、

理系学部は定員増、しかも約2万人。

デジタル人材育成が重要テーマとはいえ、

単に理系学部を増やすだけでは目的に適わないことが予想されます。

中身をどう詰めていくのか、今後の推移をしっかり見守る必要がありそうです。

 

 

上の表は理系学部を新設するごく一例、ということになるでしょうか。

今回の文科省の事業では、デジタルや脱炭素に関する学部新設や定員増に

助成金が給付されるそうなのですが、今回選ばれた96校のうち、

28大学が初めて理系学部をつくる計画で、

初回選定分(21大学)と合わせると49大学が新設となるようです。

 

再編後の学部・学科の系統は、デジタル系が86%、環境系が37%(複数回答)。

デジタル系で真っ先に思い浮かぶのは情報系なのですが、

少々気になるデータもあるようで…

情報系学部の人気は既に低調との見方もある。大手予備校「河合塾」によると、私大の情報系学部の志願者は24年春の入試で前年比92%に減少した。

 

さらに、以前から指摘されている「教員の確保」という課題も

解決は簡単ではなく、新設後の運営やいかに。

高校(生)側からすると、大学の知名度や難易度に引きずられることなく、

内容が充実しているかどうかを見極めることも重要な気がします。

 

(文責:吉田)

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