世界に名を知られたイギリスの「FINANCIAL TIMES」。
その記事が日経新聞を通じて紹介されていました。
世界的に15歳の学力が低下していることを捉え、
その要因を分析してくれています。
www.nikkei.com
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
経済協力開発機構(OECD)が発表した2025年の学習到達度調査(PISA)。
日本の結果は先日のブログですでにお伝えした通りですが、
今回ご紹介する記事は世界的な傾向について報じています。
記事によりますと、「科学的応用力」「数学的応用力」「読解力」の
平均得点は、先進国全体として過去最低を記録。
その理由として「コロナ禍」「AI活用の一般化」は誰しもに思い当たるけれど、
単純化してしまうことで本質を見失う恐れがある、と警鐘を鳴らします。
まずは記事に付されたグラフを見ておきましょう。
こちらは「PISAのOECDの科目別平均点の推移」を示すグラフです。
紺が科学的応用力、黄緑が読解力、水色が数学的応用力を示します。

このグラフの注釈には、
「PISAでの20点の差は、おおむね学校教育1年分の学習成果に相当する」
とも記載があります。
グラフには「Covid-19」の文字が見えますが、
ああそうだ、コロナ禍があったんだ、
基礎力養成期に学校閉鎖による影響を受けたんだ、
と結論付けるのはやや乱暴なようです。
もっと長期的な視点からみると、OECD全体のPISAの平均点は2010年代の前半から低下しており、より大きな根本的要因が存在する可能性もある。そこでテクノロジーに注目が集まった。
というわけで、次はAI活用に原因を求めに行くことになります。
生徒によるAIの利用はここ数年で格段に増えており、
「科学的応用力」の調査の結果では、
文章の要約や下書きなどの作業にチャットボットを毎日使う生徒の成績は、
ほとんど使わない生徒に比べて学校教育の1年分ほど(!)
劣る傾向にあったそうです。
ところがその一方で、思考を「代替」するのではなく、
「補助」するものとしてAIを日常的に使っている生徒は、
AIの利用頻度が低い生徒よりも得点が高く、
学校でAIリテラシー教育を受けられる生徒も成績が良かったそうです。
このことを示すグラフが以下のものです。
こちらは「科学的応用力」についてのOECD平均点(2025年)」です。
赤茶は読むべき文章の要約、ピンクは学習支援として
それぞれAIを使うと回答した生徒のスコアです。
なお、横軸は左から「全くもしくはほとんど使わない」「1年に1,2回」
「1カ月に1,2回」「1週間に1,2回」「毎日もしくはほとんど毎日」です。

ただ、ここでさらなる疑問が生まれます。
生成AIの登場はごく最近であるのに、
PISAスコアの低下が始まった時期はそれよりずいぶん以前だ、と。
それはちょうど、10代の若者の間でスマホが普及した時期と重なります。
デジタル機器は集中を妨げ、際限なく流れるコンテンツは
注意力や集中力、思考力といった脳の処理能力を奪う、
と記事には書かれています。
それでも一部の国は、コロナ禍や技術の変化に直面しても学力の著しい低下を回避している。こうした事実から学力低下の原因を教育に関する政策の違いに求める見方も出ている。
例えばPISAによると、質の高い教師から学ぶことができる生徒は概して成績が良く、スマホの使用に制限やガイドラインを設けている学校の生徒は平均して注意散漫になる比率が低い。
さらに俯瞰(ふかん)すると、基礎知識の習得をあまり重視しない教育という流行に乗った国ほど長期的な学力低下が顕著だ。フィンランドはかつて遊びを通じて学ばせ、テストを減らすといった革新的な教育手法でもてはやされたが、06年以降の成績の低下は3教科すべてで先進国の中で最も大きかった。
基礎知識の習得を重視すること、スマホ使用には限度を設けること、
そして何より、質の高い教師から学ぶこと。
これらが学力を高めるために重要な要素であることが浮かび上がります。
少々長くなってしまいました。
貴校園での学びを今一度ふりかえる材料として、
こちらの記事をご活用いただければ幸いです。
グラフ:PISAの「数学的応用力」「読解力」「科学的応用力」を平均した国別得点の推移

(文責:吉田)
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