寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校の体罰「部活動」19%

短い記事ですが、押さえておきたい内容です。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

文部科学省が2021年12月にまとめた体罰の実態把握調査によると、20年度中に確認された学校(国公私立)での体罰は485件だった。前年度に比べると3割減ったが、なお暴力的な指導は残る。内訳では高校(194件)が最多で、中学校(147件)と小学校(123件)が続いた。

 

未だに体罰が残っていること自体、驚きを禁じ得ないのですが、

把握されているだけでこれだけの件数があるということは、

まだまだ問題視せざるを得ない状況だと感じます。

 

そして、どこでそれが起こりやすいのか、という点は

ぜひとも押さえておきたいとも感じます。

下のグラフはその状況を示しています。

 

体罰時の状況は「授業中など」が217件と最多だったが、次に多いのは「部活動」の93件で19.2%を占めた。場所別では「運動場・体育館など」が25.6%に上っており、体育の授業中の体罰も少なくないとみられる。

 

私の勝手な印象かもしれませんが、他の大人がいる状況では

体罰は起こりにくいのではないか、と思います。

そういう意味では、職員室や教室から離れた場所で起きやすい、

担当教員が単独で行う授業で起きやすい、

さらには正課を離れた活動で起きやすい、

といった特徴があるのかもしれません。

部活動は特に注意が必要な場面と言える気がします。

 

体罰は学校が許さない、他の大人が許さない、といった

毅然とした対応と方針が何より大切だと思います。

今一度、貴校園の状況をご確認いただければ幸いです。

 

(文責:吉田)

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学習塾への支出、最高 遠隔授業盛んな私立校人気

私学にとっては嬉しい記事、ということになるでしょうか。

日経新聞より。

 

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学習塾への家計支出が増えている。文部科学省が(12月)21日にまとめた2021年度の「子供の学習費調査」によると、公立小学生の年間の塾代は平均8万円を超え、前回調査の18年度の1.5倍だった。新型コロナウイルスの影響で休校が相次ぐ中、遠隔による学習支援が比較的手厚い私立学校の人気が高まったことが背景にあるとみられる。

 

この調査は子どもの学習に関する家計支出を調べるため、

1994年度から2年ごとに実施されていますが、

今回はコロナ禍の影響により、3年ぶりの調査となりました。

幼稚園児から高校生までの児童生徒がいる保護者約2万7千人が回答しています。

 

まず下のグラフをご覧ください。

ここ数年、学習塾代の増加が続いてきていましたが、

2021年度の増え方は明らかに顕著です。

 

 

小中学生の学習塾への年平均支出は公立・私立いずれも過去最高だったそうで、

 公立小の児童:81,158円(18年度比52%増)

 公立中の生徒:250,196円(同23%増)

 私立小の児童:273,629円(同8%増)

 私立中の生徒:175,435円(同14%増)

となっています。増加幅の大きさに驚きます。

 

実は、学習塾代を支出している家庭の割合は大きく変わっていないとのこと

(小学校では公立38.9%(同0.2ポイント減)、私立73.0%(同2.1ポイント減))。

文科省担当者は「児童生徒1人当たりの学習塾費が増えている」と指摘しています。

 

背景について塾業界に詳しい森上教育研究所の森上展安所長は「私立学校の人気の高まりが大きい」と指摘する。コロナの感染拡大で20年度には一斉休校があり、21年度も休校が相次いだ。森上所長は「遠隔授業などICT(情報通信技術)の活用が盛んな私立への進学をめざし、学習塾を重視する家庭が増えた」とみる。

 

というわけで、コロナ禍によって私学人気が上がった、

という点には言及があるのですが、

この統計自体が2021年の状況を示すものであることを含め、

この状態が今後も続くのか、

という観点では情報が不十分であることが否めません。

むしろ、先日お伝えした事業者の資金繰りの難しさが顕在化する今年は、

物価高等と相まって家計の逼迫も想定されるところで、

この統計がどの程度役に立つかは不透明な気がします。

 

今後少子化が進むにつれ、こども1人当たりの教育費は

おそらく増えていくのではないか、と推測しています。

ただ、その教育費がどこに使われるのか、というふうに見れば、

今回の統計では「学習塾」が濃厚であると感じます。

私学としてはぜひとも自校園に使っていただけるよう、

教育内容や教育環境を充実させたいところですね。

 

(文責:吉田)

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文部科学省 2023年度予算案

昨年末、令和5年度予算の閣議決定が行われ、

政府としての予算案が確定しました。

この内容はぜひ押さえておきたいところです。

まずは日経新聞の記事を見ておきましょう。

 

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教育関連では2024年度のデジタル教科書導入を見据え、小中学校での情報通信技術(ICT)活用の支援に重点を置く。自治体が学校の取り組みを支える「GIGAスクール運営支援センター」を増設し、機能も強化する。費用は22年度の第2次補正予算と合わせて94億円となる。

 

最初に登場するのがGIGAスクール関連。

子どもたちが大人になり、活躍する社会において、

ICT、AIを用いないということは考えられませんよね。

そういった中で、教育機関は当然にICTツールに触れ、

利活用の方法を学ぶための環境を提供する必要があります。

ここ数年の国家予算でもそのことが明確に表現されているように思います。

 

ちなみに、2022年から運用が始まった上記支援センターは、

現在は通信トラブルへの対応など相談窓口の役割を中心的に担っていますが、

今後は授業での活用力向上につなげるため外部人材の配置を進め、

教員の研修プログラムを充実させるとのこと。

私学にも同じ視点が求められるかもしれませんね。

 

「ギフテッド」とも呼ばれる特異な才能を持つ児童生徒の支援にも乗り出す。突出した才能を持つがゆえに学校生活に悩みを抱えるケースがあり、それぞれの特性に応じた指導のプログラムについて大学や教育委員会に委託して実証研究を進める。関連の予算8000万円を盛り込んだ。

 

この点については以前のブログでも採り上げました。

個人的には、こういったことこそ私学の力量を発揮すべきところでは

ないかと思うのですが…

 

教員の働き方改革の柱として、長時間労働の一因となっている部活動の指導体制を見直す。土日の運営主体を段階的に地域のスポーツクラブや民間団体に移す。22年度第2次補正予算と合わせて47億円を計上した。学校主体と比べ参加費が高くなるケースを想定し、経済的に苦しい家庭を支援する。

 

これも文科省予算の大きな柱の一つです。

教員のなり手を確保するという意味でも、

教員という職を離れるケースを減らすという意味でも、

働き方改革はぜひとも進展させる必要がありますね。

 

文部科学省HPに掲載されている令和5年度予算(案)のポイントから、

教育関係のスライドだけを抜粋しておきます。

詳細もインターネットで簡単に確認できますので、

ぜひともこの機会にチェックしておいてくださいね。

 

貴校園の事業計画もそろそろ輪郭が見えてきている頃でしょうか。

行政施策という波にうまく乗りながら、

実施したい事業、整備したい環境が実現することを願っております。

 

(文責:吉田)

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ゼロゼロ融資 残ったツケ

コロナ禍を経て、自営業者さんをはじめ企業経営者には

厳しい状況が出てきています。日経新聞より。

 

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新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた企業を底支えした「ゼロゼロ融資」の新規実行が2022年で終わり、23年には返済開始の山場を迎える。約43兆円にのぼる金融支援で企業負債が歴史的水準まで積み上がったところに円安や物価高が直撃。低く抑え込んできた倒産は増加に転じた。コロナで生じたひずみを前に、政府や金融機関は難しいかじ取りを迫られている。

 

私学関係者各位には「ゼロゼロ融資」という言葉は

それほど馴染みがないかもしれませんが、

コロナ禍で売上高が減少した企業を支援するため、

2020年3月に始まった「利子ゼロ・担保ゼロ」の借入を指します。

しくみは下の図の通りです。

 

 

弊社が併設する会計事務所のお客様の中には、

このゼロゼロ融資を受けた企業もありますので、

ちょうど今くらいの時期から利払いが始まり、

返済の負担が大きくなることもよく存じています。

おそらく、私学に通う子どもたちの保護者の中にも、

こういった融資を利用している方は少なからずおられるでしょう。

そして、資金繰りが厳しくなっているケースもきっとあると思います。

新型コロナの影響が和らぐのと逆行する形で、企業倒産が増えている。特に目立つのが、コロナ関連融資で食いつないだ企業が過剰債務で再建を断念する「息切れ型」倒産だ。帝国データバンクがコロナ関連融資を受けた後に倒産した企業を調べたところ、1~11月は合計で353件と前年同期の2.4倍になった。

ゼロゼロ融資を受けた企業の大部分は1年以内に返済し始めた半面、コロナの影響が厳しい業界では返済猶予を3年程度に設定したため、23年に返済開始を迎える企業は多い。コロナ禍で疲弊したところに円安や物価高、人手不足などの課題が重くのしかかり、さらにゼロゼロ融資の返済時期が近づいたことで再建を諦めるケースが広がる。

 

下のグラフを見ても、アフターコロナが言われるようになってから、

倒産が激増していることがお分かりいただけると思います。

ここへきて物価高や人財難、為替変動なども相まって、

なおのこと事業経営は非常に厳しい状況に陥るケースが出てきています。

 

 

さて、このブログは私学関係者向けのブログですので、

その観点からこの状況を見た場合、懸念されるのは

授業料等の収入が滞らないか、という点です。

上記のような状況に陥った場合には、家計が厳しくなることは

必然であり、私学の授業料はかなりの負担になるでしょう。

授業料等の入金状況をこまめに確認したうえで、

貴校園の運営上の問題が起こらないか、早めに確認しておきましょう。

 

(文責:吉田)

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長期インターン、5割「望ましい」

昨日ご紹介した記事の続きとなります。

改めて日経新聞の記事を引用しておきます。

 

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長期インターンの増加について「望ましい」とした大学が51.6%と最も多く、「わからない」(39.5%)、「望ましくない」(8.9%)と続いた。「学業への影響もあるが、入社後のミスマッチを防げる利点もある」(北海道の国立大)と期待する。

 

インターンシップに参加した学生の評価を、

企業が採用選考時に利用できるようルールを見直したのが昨年6月のこと。

一般的なインターンであれば5日以上が要件となるため、

長期インターンが増える可能性があります。

記事にはコロナ禍による就職活動への影響についての

調査結果も下のグラフの通り掲載されていました。

 

 

もうひとつ、同じ調査では社会人に対する教育、

いわゆるリスキリングについても調べられています。

ここのところ「人的資本経営」という言葉も広がっており、

企業の人材投資の重要性が高まっています。

 

社会人教育への取り組みを「すでに強化している」「強化の予定」と回答した大学は全体の8割にあたる127校にのぼった。

ただ、2割弱は「現時点で検討していない」と答えた。社会人の大学院などへの応募者数については「変わらない」が68.2%と最も多く、「増えている」は20.4%だった。リスキリングのニーズを取り込む動きはまだ限られているようだ。

 

政府もリスキリングに取り組む企業への助成を大幅拡充するとしており、

大学にとっては社会人教育のニーズに対応する機会ともいえます。

さて貴校園ではこのアンケートをどうご覧になりますでしょうか。

今後の方向性を検討するうえで、ひとつのご参考になれば幸いです。

 

(文責:吉田)

 

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キャリア教育46%早期化

進路がより強く意識されるようになっていくのでしょうか。

日経新聞より。

 

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仕事内容と求める能力を明確にする「ジョブ型」を新卒採用でも導入する企業が増えている。即戦力になる新卒学生を求める企業も現れ始めた。日本経済新聞社が実施した学長アンケートで、変わる人材ニーズへの対応策について聞いたところ、157大学のうち5割弱がキャリア教育の早期化と答えた。一方で大学が職業訓練の場になる可能性を危惧する声も上がっている。

 

上記学長アンケートでは、ジョブ型採用に伴い即戦力ニーズが増える、

という前提に基づき(この前提の是非はここでは置いておきます)、

その対応策を複数回答形式で聞いたとのこと。

結果、「キャリア教育の早期化」が73校(46.5%)と最多で、

以下「実践教育の充実」「専門教育の充実」が続きます。

一方で、学問の垣根を越えた知識の習得を目指す

「学際教育の充実」を挙げたのは30校(19.1%)と少なめでした。

下のグラフが結果を示したものです。

 

 

例えば立命館大学では、2020年から1年生向けに企業の課題に対して

解決案を提示するグループワーク形式の授業が全学部に選択型で

開放され、約500人が履修しているとのことです。

 

一方、東北大学では博士課程の学生向けに、

ジョブ型の研究インターンシップの機会を提供しているそうです。

おそらく博士課程から学者になることが難しい

(以前のブログでもご紹介しました)、といった事情もあるのでしょう、

最近は博士課程の学生が民間企業に関心を持つことが増えていて、

交流の機会を広げるなどして就職活動の支援を強化していらっしゃいます。

一方で、同大は「学部を卒業した段階で専門領域を決められる学生は

多くなく、ジョブ型が機能するのかどうかは疑問がある」とも。

私も現時点ではよく似た感想を持っています。

 

今回のアンケートでは、

職業訓練校化していくことが高等教育機関の使命ではない」

「特定分野の専門教育が優先され、学際的な学びが阻害される」

「専門的な知識、スキルが求められるため大学院進学が重視される可能性が高い」

などといった意見も寄せられたようです。

 

本日ご紹介した記事には他にも調査項目があり、

それもぜひ見ておきたいと思います。

残りは明日のブログでお伝えすることにいたします。

 

(文責:吉田)

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変わる公立高校入試 表現力や国際性問う

公立高校の入試が変化しているようですね。

日経新聞より。

 

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公立高校の入試改革が盛んだ。東京都が英語の「話す力」を問うテストを始めたほか、広島県や愛知県も今年度実施の入試から選抜方法を大きく変える。各都県の取り組みからは高校入試の将来像と課題が浮かぶ。

 

まず記事に登場するのが広島県の例。

広島県と言えば、教育長が民間出身の校長経験者であることでも

知られるようになりましたよね。

 

その教育庁の発案に基づき、来春の入試から受験生全員に課されるのが

「自己表現」です。

時間は5分程度で、好きな芸能人のことを話してもよいし、

タブレット端末で短い動画や作品を見せることもOK。

高校は「自己を認識する力」「人生を選択する力」「表現する力」の

3つの観点で採点します。

 

さらに驚いたのは、学力検査、調査書、自己表現の配点は

なんと6:2:2が基本とのこと。自己表現の比率、高いですよね。

 

そして、内申書は特別活動やスポーツ、文化活動について記入する欄を廃止し、

内申書のために生徒会役員などをしていたが、ほかのことをしたかった」

といった生徒の声を反映させた形です。

平川教育長は

「自分らしく中学生活を送ってほしいという思いからこの形にした」

とおっしゃっています。

 

 

先日このブログでもお伝えした、東京都のスピーキングテストの取組も

この記事で改めて紹介されています。ただ、入試だからこそ、

気を付けないといけないことも指摘されています。

この点で都のテストは解決すべき問題が多い。記者が取材した範囲でも受験後の生徒から「近くの席の受験者の声が聞こえ、答えが分かった」という証言が複数あった。

受験しなかった生徒やできなかった生徒に英語の筆記試験の得点から推定した「仮の結果(点)」を与える措置には、筆記の成績と仮の点が比例するとは限らず「不公平が生じうる」との批判が専門家から出ている。

 

新たな取組には批判が付き物ですが、これをどうクリアしていくか、

今後の展開にも注目したいところです。

 

さて、公立校はこういった入試改革が進んできているようですが、

貴校園の入試はいかがでしょうか。

私自身は、以前からブログでも書かせていただいている通り、

私学こそ入試の多様性があってよいと思っています。

貴校園で提供される学びの機会をより多く活かせる生徒さんに

入学してもらえるようにするために、

入試というのはとても貴重な機会になるはずです。

公立校とはまた違った、私学ならではの入試改革を

ぜひとも実現していただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

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