昨日に続けて大学院の話題になります。
が、お伝えしたいニュアンスはだいぶ変わります。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
文部科学省は(3月)26日、不足する博士人材を2040年に3倍に増やす計画を公表した。社会が求める人材を育てるため大学院教育を見直すとともに、産業界に採用拡大や処遇改善を要請した。博士はイノベーション創出のカギとされ、主要国は人材増に努めている。企業で活用が進まない現状を変え、国際競争力の向上につなげる。
このたびまとめられた「博士人材活躍プラン」。
2040年に、人口100万人あたりの博士号取得者数を
2020年度比で約3倍の300人超にし、
世界トップ級に引き上げる目標を掲げたそうです。
学士号取得者に対する博士号取得者の割合も8%に引き上げ、
博士課程学生の就職率は80%と23年比で10ポイント高める構想のようです。
現状、博士号取得者が増えない理由について、
記事には「大学院のカリキュラムと産業界の期待のズレ」があることに加え、
修士から博士課程に行かず就職を選んだ理由として
「進学すると生活の経済的見通しが立たない」
「博士になると就職が心配だ」
といったお金の面が多くなっていることが指摘されています。
ただ、個人的にはこういったことも理由のひとつでありながら、
近年の国の政策として、学者を軽視したり、基礎研究を軽視したり、
教育機関を「競争」「監視」の下に置こうとしたり、
といったことが繰り返されていることこそが
博士号取得に意欲を持つ人たちの先行きを暗くしたのだと感じています。
事実、博士課程の入学者数のピークは2003年度となっており、
人口カーブとは若干異なる動きをしているようにも感じます。
そういった流れを断ち切ったのはこの国の自業自得とも言えなくありません。
とはいえ、学問を究める人材が減ってしまうことは本当に危機的な状況です。
一方で昨今、自らの興味をどんどん深めていくことのできる子どもたちは
以前よりも多く存在するのではないかと思えるほどですから、
そういった興味関心を学問的に追究していく人材を
きちんとした環境で後押しできればとも思います。
今回の記事にはこうもありました。
博士課程学生が安心して研究に打ち込める環境もつくる。優秀な博士課程学生を対象にした生活費相当額の支援や授業料減免を促進し、25年に18年度比3倍の学生に行き渡らせるとした。
「優秀な」博士課程学生。懲りないものですね。
博士課程に進んでいるにもかかわらず、
優秀かどうか、という評価を経ないと支援できないということが
現状を招いているようにも思うのですが。
私学関係各位には、そういう進路を目指す子どもたちの背中を
しっかりと押していただければと願うばかりです。
(文責:吉田)