表題にドキリとさせられます。
どういうことなのでしょうか。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
先に結論から。この記事が言わんとしているところは、
下のグラフをご覧いただければよくお分かりになると思います。
日本では博士号取得者数が相対的に少ないだけでなく、
この10年で減少もしている、という状況であることが分かります。
世界はとうに博士が産業革新をけん引する時代に移っている。山口栄一・京都大名誉教授らによると、米国では革新的なベンチャーを政府が支援するSBIR制度で、対象企業の代表者の74%が博士号を持つ。
経営共創基盤の冨山和彦グループ会長は米国の大学院について「今は存在しない仮説を立て、検証して一般的通用性を証明する。米国でPh・Dを取るまでの知的訓練は破壊的イノベーションそのもの」と強調する。
大学教育が普及し、教育水準が高い――。そんなニッポン像は幻想で、先進国の中では「低学歴国」となりつつある。
日本の学校選びでは進学実績に重きを置かれることが多いですが、
有名高校や有名大学がその対象となりがちである一方、
大学院への進学については必ずしもそうではない、どころか、
むしろ避けられている印象すらあります。
私立小中高に勤務される皆様のご認識はいかがでしょうか。
根っこには大学院への評価の低さがある。どの大学に合格したかが企業の採用基準になる社会では、学びは学部に入った時点で終わり。研究を志す学生だけが集う大学院の魅力が高まるはずはなかった。過剰な学歴批判や、学問より社会経験を重視する一種の「反知性主義」も大学院軽視の岩盤を強固にした。
博士号取得者の数が少なく、減少傾向であること。
さらに米国での博士号取得者も、
2007年には276人いたのが2017年には117人に減少。
注目度の高い科学論文数の国際順位は、
1990年代前半まで世界3位だったのが2018年は10位。
同じ平成の30年間に産業競争力も低落。
記事では「イノベーションの担い手を育てる仕組みの弱さが
産学の地盤沈下を招いた」と厳しく指摘しています。
フリーマーケットアプリ大手のメルカリは、
今年から国内の大学院博士課程に社員を送り出します。
研究職の社員以外も対象とし、原則3年間の学費を支給するほか、
時短勤務や休職を認め、仕事と研究の両立に道をひらくとのこと。
そのような企業の動きも大切ですが、
その根底にある価値観を変えていくことがより重要な気がします。
貴校園で目指すべき「高学歴」とは何でしょうか。
目標を変えれば、自然と方法は変わっていくことでしょう。
あるべき姿に向けて、この国が変わっていくことを期待したいと思います。
(文責:吉田)