寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

文系修士の学生 共同育成

ちょっとだけPRも兼ねてのブログ…かな?

でも、取組は今後を見据えた重要なものだと感じます。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

複数の大学が連携し、社会課題の解決に貢献する人材を育てる取り組みが広がってきた。大学院の人文・社会科学系の研究科同士で共通の教育プログラムを開発。得意とする研究分野を他大学に開放し、足りない分野を補い合う。文系修士卒のキャリアパスを広げるのが狙いで、産業界で即戦力となる人材輩出を目指す。

 

この記事のメインを飾っているのは、2025年度から始まる

龍谷大学京都文教大学琉球大学の共同プログラムです。

これは、地域の社会課題を解決する人材を育てることを目的とした、

文系の修士課程の教育プログラム。

京都府沖縄県が抱える地域課題を持ち寄り、

公共とビジネスの両面から解決策を考えるもので、

学生は所属する研究科の基礎科目を履修したうえで、

キャップストーンと呼ぶ3大学共同の仕上げ科目を受講します。

京都府沖縄県でのフィールド調査や合同報告会を通して、

多面的な思考を養うそうです。

 

この企画を引っ張ったのは、弊社顧問も務めていただいている

龍谷大の中森孝文政策学研究科長です。

以前の弊社情報誌で語ってくれた文系大学院の取組というのは

これだったんですね。

(当時のインタビューの様子は、

 https://www.ysmc.co.jp/magazine/index.php

 より、No.81(2023年8月号)をご参照ください)

 

文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると、国内の人口100万人当たりの文系修士号の取得者数は109人(20年度)と、諸外国平均(20~21年度)の1割にも満たない。産業界での文系修士卒の社会的な評価や認知度の不足が課題となっている。

 

こういった状況を打破するため、上記龍谷大他の取組をはじめ、

記事には茨城大学常磐大学宇都宮大学と共同で行う

文系修士課程の教育プログラムや、

神戸大学小樽商科大学和歌山大学と連携して開講する教育プログラムが

紹介されています。

これらの取組は社会人も念頭に置かれていて、

リカレント、リスキリングも強く意識されているのが特徴です。

 

さてこういった取組から、皆様は何にお気づきになるでしょうか。

私が特に感じたのは以下の2点です。

 

ひとつは、学校間の連携の重要性。

専門分野を深掘りしていくためには、その基礎となる知識や、

専門分野の周辺の知識など、幅広の学びが必要になります。

そういった意味で、それぞれの学校が自らの強みを活かし、

幅の広い学びを提供できることは学ぶ側に大きなメリットをもたらすことでしょう。

 

もうひとつは、より深く学ぶことの意義。

私自身、大学院での学びは人生にとってものすごく大きかったことを

今さらながら感じます。

(大学時代があまりに不真面目だったせいも大いにありますが…)

そして、これは当然学ぶ側にもあてはまりますし、

教える側、学校側にも当てはまるのではないかと思います。

中高でも探究活動が重要性を増していますが、

探究活動が学校そのものの力量を高めることにつながるとも思うのです。

 

以前の中森教授へのインタビューの中では、

私学において経営の採算性は重要であることを踏まえつつ、

「車に例えると大学は大衆車(一般車)、

 大学院はF1(Formura1)みたいなもので、

 F1のような高性能車の開発や研究が、

 一般車の発展や販促につながると考えれば、

 大学院は教育研究力を高めるための存在であって、

 採算をとることを目指すべきではない」

とお話しいただいたことを改めて思い出します。

大学院に限らず、学びを究めていくという活動が

各校園の足腰を鍛えてくれることを忘れてはなりませんね。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp