公益法人の制度的革新は、医療から福祉、教育へと波及する、
と私は経験上感じています。
その意味で、医療業界の変化は先行指標になりうるはず。
というわけで、本日のブログで採り上げたいのはこちらです。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
病院長ら医療関係者向けの経営教育に取り組む大学が増えている。藤田医科大学(愛知県豊明市)は4月、医師を対象にした専門職大学院を開設し、ビジネススクールさながらの授業を実施する。経営スキルを持った医療人材を育成する狙いだ。多くの病院では赤字体質が続いており、教育のあり方を見直す。
この記事で紹介されている藤田医科大学の講座には現在、
第1期生として10人ほどが通っているそうで、
開設時には40人の応募が集まるほど人気を博しているそうです。
こちらのカリキュラムには保健医療制度や医薬品の管理、
さらには財務会計、危機管理対応と幅広い内容が含まれています。
授業は隔週平日1日の夜3時間と土曜に6時間、
オンラインと対面での実施で、1年半で修士号を取得できるとのこと。
入学金や授業料をあわせて180万円かかるそうですが、
医療機関経営の専門人材を育てるという意味では
決して無駄にならないであろうと思います。
「これまで財務諸表の読み方も知らなかった。理事長らと病院経営の改善策について議論できるようになった」。鹿児島県の500床の大病院で働く医師の梅沢耕学さんは藤田医大の大学院に通う効果を話す。
こちらの例の他にも、名古屋市立大学は2016年度、
大学院経済学研究科に医療経済マネジメントコースを開設。
九州大学の大学院では、医療従事者だけでなく、
医療コンサルティング志望者や電子カルテシステムを扱う情報技術者にも
最適な受講プログラムを提案しています。
さらに東京医科歯科大学は大学院に医療管理政策学コースを持ち、
東京外国語大学のコミュニケーションスキルの授業を
必修や選択の授業に組み込んでいるそうです。
そして、こういった学びの場が増えていることには理由があります。
日本病院会など3団体の調査によると、新型コロナウイルス対応の補助金を除けば約660病院の6割超が2022年度に経常赤字だった。藤田医科大学の佐藤大介教授は「急性期医療を手掛ける大病院は医療機器や手術室など固定費が大きいため、損益分岐点を下回ると損失が大きくなり赤字からの脱却が難しい」と説明する。
上の事情、まさに私学にも当てはまる、と思いませんか。
多くの学校法人が赤字経営となっている今、
現場の教職員に経営の素養は必要ない、と言い切ることは
決してできないと思うのです。
大学院で学ぶ医師からは「世の中の仕組みを知らずに医療に携わっていたと気付かされた」との声が聞かれた。名古屋市立大学の浅井清文学長は「経営視点に意識を変えるだけで日々の業務で見えるものが違ってくる。その積み重ねが重要」と指摘する。
私も以前から、私学経営のエッセンスを学べる場があれば…
と願ってきました。
それは、私たちのような外部支援者にとっても大切ですが、
何より、学校という事業に直接従事していらっしゃる方々にとっては
なおのこと重要な意味を持つのではないか、とも感じています。
弊社は本年度末に10周年を迎えます。
次の10年のテーマとして、教育機関の皆様に
体系的に経営を学べる場を提供できるよう、
トライしてみようと思っております。
ご賛同いただけます方々、ぜひともご連絡をお待ちしております。
(文責:吉田)