寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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単位互換、授業の委託も

学校規模が縮小する中での運営方法として、

大学に限らず、一考の余地があると感じます。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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在籍大学以外の大学で授業を受け単位取得できる「単位互換制度」活用の動きが広がっている。制度のもともとの趣旨は「教育内容の充実に資するため」だが、大学の財政事情が厳しさを増す中、人材や資金の効率活用という視点もうかがえる。大学間交流の促進も期待できるとして、授業の一部を有償で他大学に委託する例も出てきた。

 

この記事に登場しているのは東京医科歯科大学

この4月から、1年生の必修科目である第2外国語のうち、

フランス語の授業を東京外国語大学に有償委託するそうです。

東京外大は週4コマの授業を受け持ちますが、

両大学のカリキュラムが大きく異なるため、

3コマは医科歯科大の学生だけが参加する専用授業として設定し、

残る1コマは東京外大の学生向け授業に医科歯科大の学生が参加、

という形になるとのこと。

 

単位互換制度は以前からありましたが、

ここへきてこのような例が出てきたことには何か理由があるのでしょうか。

 

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委託を検討したのは、医科歯科大の仏語の担当教員が3月末で退職することがきっかけだった。当初は後任の採用も検討したが、語学教育に定評のある東京外大に委託できれば「学生は学ぶ言語の選択肢が増えるだけでなく、学生同士の交流も生まれる」(医科歯科大の若林則幸理事)。1年以上かけて協議を進めてきた。

医療系に特化した医科歯科大の学生数は1学年につき270人ほどと総合大学に比べて少なく、医療系の専門科目以外で多彩な授業を用意するのは難しい。東京外大への委託を活用すれば「アラビア語ペルシャ語などマイナー言語を学ぶ機会も提供できる」(若林理事)と期待する。

医療系の学生は専門科目の授業に追われ、単位互換制度があっても利用しづらいのが実情だった。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに広がったオンライン授業も委託の決め手になった。医科歯科大はカリキュラムの再編に着手しており、若林理事は「東京外大以外の大学とも連携を深めていきたい」としている。

 

自らの強みを失わず、他者の強みも活用することができるこのしくみ。

他校園との関係性が微妙だという教育機関も多いのが現実ですので、

コロナ禍が背中を押す要因になったのも興味深いですね。

 

大学間連携は近時進んできています。

この記事には、昨年3月、全国初の「大学等連携推進法人」となった、

山梨大学山梨県立大学でつくる

一般社団法人「大学アライアンスやまなし」の例も紹介されています。

同法人の認定制度は国公私立の枠を超えた大学間や自治体、産業界などと幅広く連携し、人的・物的資源を効果的に活用して教育研究を充実させる目的で21年2月に創設された。認定されると特例として参加大学間で授業科目や教育課程を共同開設できる。

 

さて昨日のブログでは、公立校の統合についてお届けいたしました。

本日のブログと共通するのは、少子化等によるマーケットの縮小と、

今後ますます厳しくなりそうな経営資源の確保の両面から、

どのような方法論を考え得るか、という点です。

各校園が自らの経営資源を最大限活用することができるという意味では、

今回の記事にある「連携」という考え方はとても優れていると感じます。

もちろん、法令や制度がそれを許してくれることが大前提ではありますが、

将来を見据えれば有効な一手になるような気がしますがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp