公立化する私学が増えています。
私学にも、自治体にもメリットがあるといいます。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
地方私立大学の公立化を検討する動きが加速している。少子化で学生の確保が難しくなるなか、「公立」ブランドや公的支援の充実による授業料引き下げは経営の大きな武器となる。一方で公立化後も収支の早期改善は難しいとの見方もあり、期待と不安が交錯しているのが実情だ。
少子化の進展の一方で、大学の定員は横ばいから増加傾向を示し、
学生募集には苦労が多い時代となってきました。
特に、地方の大学はその傾向が顕著です。
そのような中での打開策として「公立化」が増えてきているというこのニュース。
下の表を見ても、確かにここ10年ほどでかなり公立化が進んでいますね。
ただ、これらの私学にも、公立化の経緯には少し差がある、
と記事は指摘しています。
過去に公立化した私大は基本的に自治体が誘致したり、多額の設置費用を負担したりした「公設民営」だったのに対し、旭川大は高校や幼稚園も擁する純粋な私立。全国でも初めての試みに大学関係者の注目が集まる。
ひょっとすると今後も進むのかもしれないこの私学の公立化ですが、
上表にあるように、私学にとっては学生の募集が上向き、
経営が安定するというメリットがあるようです。
そして自治体側には、赤字リスクを抱えるという不安もありつつ、
地域活性化の核になり得るという期待も大きいようです。
公立化にはハードルもあるが、教育・研究基盤の充実につながっているケースは少なくない。かつて定員割れが続いていた長野大学(長野県上田市)は17年に公立化し、志願倍率が上昇。公立化による知名度アップや授業料の引き下げが功を奏したとみられる。
(中略)
人気上昇の思わぬ副産物もある。以前は県外からの学生は全体の3割程度だったが、幅広い地域から志願者が集まり、現在は7割に上昇。地域に根ざす大学づくりを目指していた当初の考えからすると「相反している面もある」(中村学長)。地元定着を目指し、商工会などと連携して学生に地域の仕事を紹介。県内就職につなげる取り組みも進めている。
なるほど、少なくとも学校側にはメリットばかりが強調されがちですが、
ここで冷静に考えてみたいのは、私学が設立時に掲げた「建学の精神」、
そして公から距離を置いたところで独自性を発揮する「在野の精神」です。
特に前者は、公立化によってどうしても希薄になったり、
場合によっては消え失せてしまうことも考えられます。
経営の永続はとても大切なことですが、
拠り所を失ってまで経営を続けるというのは、
果たして経営を永続することにあたるのだろうか…
と、少々心配になってしまいます。
おそらく、それぞれの大学で工夫がなされているのだろうとは思いますが、
生徒募集、学生募集のためなら何でもあり、というのは、
本来の私学の立ち位置ではないような気もします。
皆様はどう考えますか?
(文責:吉田)