ここ数年で最低賃金が一気に上がり、
経営への影響を嘆く経営管理職の方も多いかもしれません。
が、これまでが低すぎた、だけという見方もありそうです。
日経新聞より。
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経済協力開発機構(OECD)のデータから内閣府が各国の最低賃金を比べたところ、日本の低さが顕著となった。2022年の正社員ら一般労働者の賃金中央値に対する最低賃金の比率は日本が45.6%と主要国を下回った。賃上げ機運を維持するには最低賃金による底上げも重要になる。
2022年度に最低賃金が上がった際、
その新たな最低賃金の水準を下回る労働者の割合は19.2%で、
10年前に比べ10ポイント以上高まったそうです。
その要因は、パートタイム労働者の増加であると記事は述べています。
最低賃金を上げることで、2割近い労働者の賃金を上げる必要が出てくるとなれば、
経営への影響は確かに小さくないと感じます。
ところが、です。
内閣府の23年末の分析によると、一般労働者の賃金中央値に対する22年の最低賃金の比率は、フランスと韓国が60.9%、英国は58.0%、ドイツは52.6%だった。このデータは国際的に最低賃金の妥当性を確かめるために使われる。
欧州連合(EU)は22年10月に「最低賃金指令」を採択し、加盟国が最低賃金を引き上げる際の目安として同水準で60%を目指すと決めた。英国も24年までに賃金中央値の3分の2まで最低賃金を引き上げる方針を掲げた。
日本の最低賃金は厚生労働省の審議会などの議論を経て決まる。これまで段階的に上げてきており、12年の38.3%から22年に45.6%まで上昇した。
上のグラフを見ても、日本の割合は他と比べてかなり低いですね。
ただ、それだけであれば、正規雇用者の賃金水準が高いからそうなるのでは?
という疑問も生まれますが、さにあらず。
実額を確認しますと、2022年の1時間当たりの名目最低賃金は、
月平均でフランス10.85ユーロ、ドイツ10.52ユーロ、英国9.35ポンド。
これを2022年のレートで円換算するとそれぞれ1500円前後となります。
日本は2023年度の全国加重平均が1004円。
仏独英に比べて3割以上低い水準です。
さて、こういった状況を鑑みますと、
今後も最低賃金は上がっていくことが想定されます。
そして、貴校園内に最低賃金を意識した賃金水準が採用されているなら、
その影響が貴校園の経営に及ぶこともほぼ確実でしょう。
あくまで個人的見解ではありますが、
安全性の高い経営を続けていくためには、
すべての教職員さんに時給1,500円をあてはめても問題ないくらいの
財政状態を実現することが求められるように思います。
中長期を見据えた収支構造、財政状態を検討いただければと思います。
(文責:吉田)