寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

最低賃金31円上げ961円

すでにご承知かと思いますが、しっかり押さえておきましょう。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

中央最低賃金審議会厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすると決めた。前年度比の上げ幅は31円と過去最大で、伸び率は3.3%になった。足元で進む物価上昇などを反映し大きな伸び率となる。企業は賃上げに必要な利益をあげるために、生産性の向上を迫られる。

 

ここ数年、最低賃金の伸びはそれまでに比べると大きくなっています。

下のグラフを見てもよく分かりますね。

「3%」というのを経営上の一つの目安にされてもいいかもしれません。

ちなみに、改定時期は10月ごろ。

今後、各都道府県の審議会が実額を決めますので、

そちらのニュースもぜひ留意しておいていただければと思います。

 

 

 

ちなみに、諸外国の最低賃金は日本を上回っているようです。

下の表をご覧ください。

 

ここ数年は上げ幅の大きい最低賃金

学校経営にも少なからず影響があることでしょう。

まずは貴校園の規程や個別契約などをご確認いただき、

目の前の改定で水準が下回ってしまいそうなものはないか、

そして来年や再来年には下回ってしまうようなルールはないか、

早急に確認しておかれるとよいのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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「出世払い型奨学金」の可能性

奨学金制度について、幅広に考えてみませんか。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事ではオーストラリアの特徴的な奨学金制度について触れられています。

これがタイトルにある、「出世払い型奨学金」と呼ばれるもので、

以下では「所得連動型ローンシステム」と記載されています。

 

所得連動型ローンシステムは、簡単ながらも強力なコンセプトに基づく。学生はわずかなコスト、あるいはコストなしで大学に入学し、そのときに負う債務を後に返済する。だがそれは事前に決められた最低限の所得額を上回る所得のある場合に限られる。現在日本で検討されている案では、年収が300万円を下回る卒業生は返済を求められない。もしこの金額を超える年収を生涯得られないならば、その理由を問わず返済を求められることはない。

 

この制度は借り手に大きなメリットがあるのが特徴で、

財政的に厳しい状況下では返済義務がないため、

仮に失業してもローン返済に悩むことがなく、

返済に窮した借り手が家族に助けを求める必要もありません。

当然、奨学金のために借り手が破産することはないため、

信用履歴に傷がつくこともありません。

ちなみにこのことは、破産によりシステムから退出することがない、

ということを意味しますから、将来返済される可能性が残り、

その分納税者の負担が減り、政府にとっても好都合、と記事は指摘しています。

 

日本の多くの大学進学希望者が、財力の不足や将来の低所得によりローン返済が難しくなることへの懸念から、進学をあきらめていることがデータにより示されている。豪州、NZ、英国の大学進学希望者にはこうした心配はない。

現在、全学生の約3分の1が日本学生支援機構奨学金を活用している。文部科学省の調査によると、20~30%が将来のローン返済に懸念を抱いており、特に所得が850万円未満の家計の懸念が強い(図参照)。

 

 

いかがでしょうか。奨学金をこのような設計にすることで、

確かに教育を受ける機会を確保するのに役立つ気がしますね。

貸す側にとっては、返済が予定通りのスケジュールでなされないことが

あり得ますから、それだけ資金的な余裕が必要になるのは確かですが、

返済を受けられなくなるリスクが下がることを思えば、

国の制度だけでなく、各校園が持つ制度としても活用の余地があるのではないか、

と感じます。

 

記事には

「学生の社会での成功は両親の成功と相関しているが、

 常にそうだというわけではなく、

 また裕福な家庭の子弟のすべてが社会で成功するわけではない」

とも指摘されています。

子どもの貧困が想像以上に深刻な日本において、

この記事の提案は検討に値すると思うのですがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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校則、ネット公開を

「生徒指導提要」が改訂される、とのニュースです。

恥ずかしながら、私、「生徒指導提要」というものの存在をよく知りませんでした。

が今回の記事を読んで、学校生活において重要な位置づけのものだと感じました。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

文部科学省有識者会議は(7月)22日、小中高校の教員向けの手引書「生徒指導提要」の改訂素案をまとめた。改訂は12年ぶりで、「ブラック校則」と呼ばれる不合理な校則の見直しを重視。外部の評価を反映させるため校則を学校のホームページで公開するよう呼びかけた。教育現場での提要の認知度は十分とは言えず、浸透が課題になる。

 

この改訂は今夏をめどに作業を終えて、

文科省のホームページで公開される予定とのことです。

概要は下の表にまとめてあります。

 

 

まず、大きな見直しとなったのが校則への対応を巡る記述。

この素案では、校則について、

「社会通念に照らして合理的と認められる範囲で校長が定める」

という現行の枠組みは維持したうえで、

「少数派の意見も尊重し、児童生徒の能力や自主性を伸ばすものと

 なるよう配慮が必要」

「実態にそぐわない厳しすぎる校則が

 児童生徒の成長にマイナスにはたらくことがある」

とし、適切な運用に向けては以下のような対応を例示しました。

・学内外から参照できるよう学校のホームページで校則を公開する

・児童・生徒会や保護者会で見直しを議論する機会を設ける

 

校則のことに加え、素案ではSNSを悪用したいじめへの対応策も盛り込まれ、

家庭や警察との連携に努めるよう要請したほか、

自殺予防体制としてSNSを活用した相談体制の拡充も求めています。

また性の多様性への理解など、

前回改訂以降で認知が進んだ様々な課題について記述が増えました。

 

ただし、この提要は生徒指導を行う際の指針であって、

強制力は持っていないようです。

また、有識者会議に提出された資料によりますと、

提要は各学校には配布されるものの、1冊200ページを超えるもので、

教員一人ひとりには行き渡らず、参照する機会も限られており、

若い教員の認知度は低いようです。

 

この記事を読む限り、提要の中身は公私を問わず該当するものだと感じます。

が、私学の校則に関しては、次のような記事も出ていました。

news.yahoo.co.jp

 

私学の自治は大切なもの、だからこそ、

生徒が守るべきルールも常に妥当性が求められるはずです。

 

貴校園ではこの提要を活用されていますでしょうか。

自校園での取組の方針を確たるものにするためにも、

こういった材料を活用していくといいのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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教職、進まぬ民間起用

お盆休みが明け、2学期の始まりが少しずつ迫ってきましたね。

引き続き、本ブログでお付き合いください。

 

さて、以前のブログでもお伝えした「特別免許」。

改めて採り上げてみたいと思います。日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

民間人材の教員への活用が進んでいない。教職課程を経ていない人を学校に迎える「特別免許」の授与件数は一般の教員免許の0.1%にとどまる。経験不足を不安視する教育委員会の姿勢が壁となり、海外と比べ教員の社会経験の多様性は乏しい。不足するデジタル人材の育成に向け民間の知見を生かす必要がある。

 

まず、下のグラフをご覧ください。

とても大切な着眼点だと感じます。

 

 

学校は子どもたちの進路開拓の意味においても重要な場所ですが、

教員各位がさまざまな進路についてどの程度知識や経験がおありなのか、

という観点では少々心もとない気もします。

 

そして今後を見据えれば、IT人材の育成が重要性を増すことは確実ながら、

それが実現できる体制を整えるには、現状の教員構成では難しいかもしれない、

と感じてもいます。

 

この点、他職を経験された方は教育現場で重要な役割を果たせるのではないかと、

私自身は特別免許にそれなりに期待を抱いています。

ところがその授与件数は低迷していて、2020年度はたったの237件。

一般の教員免許は約18.7万件ですから、実に0.1%の水準です。

 

その原因について、記事はこう指摘しています。

原因は授与権限を持つ都道府県教委の消極姿勢にある。文科省の21年10月の調査では特別免許を認める基準をウェブサイトで公表するのは47都道府県のうち6教委。教員になる機会があるのかすら分かりづらい。

多くの教委は経験値の少なさを懸念材料に挙げる。ある県教委担当者は「限られた定数で経験のない外部人材を採用しにくい」と語る。

 

さて、貴校園では外部人材の活用は進んでいるでしょうか。

特に、教育現場でなすべきことが幅広になっていく中で、

適した人材を柔軟に活用することは今後より必要になっていくことでしょう。

制度の問題はいかんともしがたいところがありますが、

私学はその独自性を活かしつつ、自校園の理念や教育内容に適した人材を

採用、登用していくことが重要だと思うのですがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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修学旅行 変わる「定番」

コロナ禍が変えたもの、その一つが修学旅行の行き先、

かもしれません。日経新聞より。

 

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修学旅行先として定番だった京都や東京に代わる地域の存在感が高まってきた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、関西と関東のシェアは2020年度、計約3割と19年度比で半減する一方、ほかの地域は7~9ポイントの上昇が目立った。遠方から近場への行き先変更を好機とし、継続して選んでもらうための取り組みが活発になっている。

 

日本修学旅行協会の抽出調査によりますと、

2019年度の1人当たりの修学旅行費用は中学校で6万円、高校は10万円程度。

高校は1割以上が海外を選んだようですが、

国内への変更が続く可能性がある、と記事は指摘しています。

私学だけで調査した場合には、修学旅行費用の平均は

より高額になるような印象もありますが、

それでもここ2,3年はより近場への行先変更が多くなっているのは

間違いないでしょう。

下の図表を見ると、行き先がずいぶんと分散していることが

お分かりいただけると思います。

 

 

そして、行き先となる地域の側も、地域活性化の一方策として、

修学旅行先として選んでもらうための施策を打っているようです。

山梨は20年度と19年度のシェアを比べた増減幅が4.0ポイント増で首位だった。全国に先駆けて感染対策を徹底したホテルや飲食施設などを認証する独自制度「やまなしグリーン・ゾーン」を創設し、訪問時の安心・安全を強く打ち出した。認証施設での宿泊などを条件に1人当たり3000円を助成する仕組みも導入し、21年度は静岡県や愛知県から1万人強が訪れた。今年度は1人当たりから1泊当たりの助成に変更して連泊を促し、4万人の受け入れを目指す。

 

下の表を見ると、山梨がトップ、そして2位は三重と、

近隣に大都市を有する自治体が並んでいますね。

三重県は県内の学校を対象に1人当たり最大5000円を補助する制度を

2020年度に設けたこともあり、同年度に伊勢志摩を訪れた小中高生は

前年度比2.4倍(約82000人)。2021年度は10万人を超えたそうです。

 

 

修学旅行はその名に「修学」とありますが、

これまではイベント的な意味合い強かった印象。

しかしこれも変わってきているようです。

観光色が強かった修学旅行は近年、体験型の学びを重視する傾向が強まっている。岩手県三陸鉄道では21年度、東日本大震災の被災地を巡る震災学習列車の利用者約9500人のうち9割は高校生以下だった。6月に受け入れが再開したインバウンド(訪日外国人)も、体験型の消費に関心が移っている。東京成徳大の寺本潔特任教授(観光教育)は「SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにしたプログラムなど学校側のニーズをくみ取る体制づくりが、インバウンド増にもつながる」と話す。

 

コロナ禍を経て、学校行事は根本的な見直しが進んでいることでしょう。

貴校園の修学旅行の在り方、その目的を改めて見直してみることで、

より適切な行き先が見つかるかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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定期テストの難易度

夏休み期間中だからこそ、考えたいテーマの一つかもしれません。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事は日経新聞で「受験考」とのタイトルで連載されているもので、

学習塾をされている方が執筆されているようです。

この回のものは定期テストがテーマになっていました。

 

高校入試では内申点が重要なこともあり、生徒が通う中学校の定期考査の対策には力を入れている。中間テストの問題と答案を分析していて、A中の3年生数学の得点が異様に低いことに気づいた。学年全体の平均点は50点を切っている。
(中略)
実際に出された問題は予想を上回る難しさだった。量も多く、驚いたことに難関私立高校の入試問題も出ている。授業内容の定着を問うには不適切であることは一目瞭然だ。

 

各校園によって、ひょっとすると定期テストの位置づけというのは

若干異なっているのかもしれない、とも思うのですが、

記事にもあるように、まずは授業内容の定着を評価するのが

最大の目的であることはゆるぎないように感じます。

が、それを感じさせない問題構成。

記事の執筆者は

「先生との信頼関係が崩れ、生徒が数学の授業を嫌うようになり、

 学力がさらに下がる悪循環に陥りかねない」と指摘されていますが、

テストの作問が重要であることを改めて思い知らされます。

 

一方、B中の3年生数学の問題は、基礎から応用までとてもバランスよく構成されていて感心した。思考力を試す問題でじっくり考えられるよう、問題数も調整されている。B中の生徒によると、先生は「定期考査の結果は生徒の理解度の評価でもあるが、教師自身の授業力の評価でもある」と言っていたそうだ。

 

学習塾では、こうやって複数の学校の定期テストを確認できる機会がありますから、

各校園の先生方の授業力、作問力を評価されているとみてよさそうですね。

だから、というわけではありませんが、

自校園の授業やテストが適切に実施されているかどうかは、

自校園内でもしっかりチェックしておきたいところです。

 

記事を書かれた先生はこうもおっしゃいます。

 

「教える側の人間には、目の前の生徒や自身の責任から目をそらさず、

 共に成長しようとする姿勢が不可欠だと思う」

 

学校は学びの場。教える側も常に学んでいくことが大切ですね。

 

(文責:吉田)

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子ども食堂、6000カ所超に

子ども食堂、かなり広がってきたようです。

日経新聞より。

 

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子どもに低額や無料で食事を提供する「子ども食堂」が広がってきた。2012年に東京都内でボランティアが始めた取り組みが自治体や民間企業などにも担い手を広げ、21年には全国6000カ所を超えた。沖縄県滋賀県などで加速する。経済的困難を抱える世帯の支援にとどまらず、幅広い世代が集う場としても欠かせない存在になりつつある。

 

気になる統計の一つ、「子どもの貧困率」。

厚生労働省によりますと、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす

18歳未満の割合は、2018年時点で13.5%。実に7人に1人です。

世帯類型別でみた場合には、母子家庭など

大人1人で子どもを育てる世帯の貧困率が5割に迫っているそうで、

深刻な課題であることを改めて認識させられます。

 

このような中で、子ども食堂の存在意義は小さくありません。

このたびの調査はNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」が

2021年に行ったもので、この結果によりますと、

子ども食堂の設置数は大都市ほど多く、

東京都が747カ所で最多、続いて大阪府が470カ所、となっています。

 

その一方で、子どもの徒歩圏内に子ども食堂が普及している割合を示す

「充足率」は沖縄が52.9%で首位。5割を超えているというのはすごいですね。

沖縄県は以前の調査で3人に1人程度(29.9%)が貧困状態との結果が示され、

子どもの貧困への危機感が極めて強く、対策が本格化したそうです。

次いで滋賀県(47.7%)、鳥取県(42.7%)の順となり、

数で最多の東京都は4位(40.7%)でした。

すぐ下の日本地図はこの充足率を示したもので、

地域によってばらつきがある様子が見て取れますね。

 

 

 

そして、子ども食堂にはこんな興味深い見解も。

子ども食堂は交流拠点として幅広い役割を併せ持つ。東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史研究副部長は「コミュニティーが醸成されている地域ほど食堂が多い傾向がある」と指摘する。

 

引用部に登場する研究所は全国約2万5000人を対象に、

地域の協調性や信頼関係を測る「ソーシャルキャピタル(SC)」

と呼ばれる指標を算出したうえで、

2020年の各都道府県の子ども食堂数との相関を分析したところ、

「地域の人は信頼できる」と答える人が多かった高知県鳥取県などは、

人口あたりの食堂数の割合も高かった、との結論を得られたそうです。

鳥取県子ども食堂では子どもと運営ボランティアの信頼関係が強まったことで「家庭内で困っていること」などの本音を引き出し、直接的な世帯支援につなげた。Uターンなどで地域との関わりが乏しくなっていた母子世帯の母親が地域住民とのつながりを育んだケースも多い。

 

公立校に比べれば私学の在籍家庭は経済的に恵まれているケースが

多いとは思いますが、それでも自営業などのご家庭については

経済状況に左右されるなど、厳しい状況に置かれることもあるでしょう。

そして私学だからこそ、相談しづらいといった理由で孤立してしまう

ご家庭もあるのではないかと感じます。

 

そして、私学にとって地域の存在はやはり大切なもの。

私学と地域の信頼関係は、地域内の相互信頼関係とも強く関連すると思いますから、

子ども食堂の存在にもぜひ気を配っていただき、

何らかの形で連携していくこともぜひご検討いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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