寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学習端末配備、月内ほぼ完了

いよいよ公立校にも端末が完全普及してきます。 

日経新聞より。

 

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文部科学省は17日、全国の小中学校などの97.6%が児童生徒にタブレットなどの学習用端末を3月中に配り終えるとの調査結果を公表した。校内の通信ネットワークにも9割超の学校で接続できるようになる。各国に比べて遅れていた学校教育のデジタル化の基盤がようやく整う一方、授業などで端末を使いこなせるのかどうか教員の不安は根強い。

 

今回の調査は、公立小中学校などを所管する1812の学校設置者が対象で、

既に整備済みのケースを含めて、この3月末までに97.6%が納品を終える、

との回答があったそうです。

校内のネット環境については公立高校の設置者も含めて調査がなされ、

全国3万2千校超のうち、97.9%の約3万1千校が

「4月から使い始められる」と回答されています。

私学ではすでに1人1台の端末が使える状況であるケースがほとんどでしょうから、

これで国内の学校はほぼすべてで、

デジタル教材を活用できる環境が整うことになりますね。

 

こうなると逆に気になるのは、4月時点でその環境がない学校のこと。

今回の調査では、名古屋市が8月めど、東京都足立区は9月、

神奈川県横須賀市は11月までずれこむと回答したほか、

岩手県野田村と福島県の2自治体は時期の見通しが立っていないそうです。

そして一番気になるのは私学。

このタイミングで環境が整っていないとすれば、

経営上のひとつのビハインドになりかねません。

今一度、自校園の状況を確認していただくことが必要でしょう。

 

そして、端末が整うことでよりいっそう重要になるのが、

教員の使いこなし、指導力ということになるでしょう。

環境が整ったからといってすぐに教育に生かせるとは限らない。同じOECD調査では教員のデジタルを活用した指導力も、加盟国では「最低水準」と指摘されており、文科省は研修の強化や大学での教員養成課程の見直しなどに着手している。

 

 

教育技術も日々進化しています。

現場の先生方にはご苦労が多いと思いますが、

子どもたちの学びの環境をより良いものにするため、

ぜひとも改善を続けていただければと願っております。

 

(文責:吉田)

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デジタル教科書、紙と併用

デジタル教科書の使い方方針が示されつつあります。

日経新聞より。

 

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文部科学省は2024年度に学校で本格導入するデジタル教科書の活用方法について、当面は紙の教科書と併用する方針を固めた。子どもの健康への影響や教員の習熟度に不安があることなどから、デジタルへの全面切り替えは見送る。21年度から全国の約半数の小中学校で実証事業を始め、効果的な使い方を探る。

 

文科省有識者会議で扱われているこの話題ですが、

近いうちに中間まとめが公表される予定となっていますので、

詳細はそちらで確認したいと思うのですが、

今回の記事で大まかなところが出ておりますので、

以下にまとめておきます。

  • 社会で紙の利用が続く中では、紙からの全面切り替えは現実的でなく、当面は併用が望ましい
  • 長時間の利用で姿勢や目が悪くなったり、小学校低学年などで紙の本に慣れる機会が減ったりするとの懸念も根強い
  • 紙との併用を前提に、2021年度からの実証事業で具体的な活用法を探る
  • 全国の約半数の小中学校で小5から中3に1教科で使ってもらい効果的な学年や教科などを見極める
  • 実証事業に向け、デジタル教科書活用に向けたガイドラインを改訂し、「紙を使用する授業とデジタルを使用する授業を適切に組み合わせることが重要」と指摘する

 

当然ながら、上記に示されているのは公立校対象のものであり、

私学で実証実験が行われることはないのかもしれませんが、

私学としては自らも判断主体となって、

今後の導入について考えていく必要があるのでしょうね。

 

今回の記事には「教員が端末を使って教えるスキルの向上も急務」

との指摘があります。

私学ではオンライン環境の整備とともに、

デジタル教材の活用もかなり進んできたとは思いますが、

今一度状況をご確認いただき、今後に備えていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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正社員不足の企業減少

昨日に続き、企業の話題ですがご容赦ください。

人の動きを知っておくことは私学経営にとっても重要です。

日経新聞より。

 

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この調査は1月18~31日にかけて全国の2万3695社を対象に実施されたもので、

48%にあたる1万1441社から回答が得られています。

 

帝国データバンクが実施した1月の企業の人手不足に関する調査によると、正社員が不足している企業の割合は36%となり、前年同月比で14ポイント減少した。業種別では「旅館・ホテル」の正社員の不足割合が5%と、2006年5月に調査を開始して以来、最低となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの業種で人手不足感が大幅に低下している。

 

正社員について「不足している」と回答した企業が36%、

「適正」と回答した企業が47%だったとのこと。

正社員が不足している企業を業種別にみると、

・「放送」=56%(前年同月比21ポイント減)

・「建設」=55%

・「情報サービス」=53%

となっています。トップの放送で前年同月比2割超の減少ですので、

状況変化がよく分かりますね。

ちなみに、前年同月比で上がったのは「電気通信」のみ。

リモートの増加という背景があるとのこと、納得です。

 

ちなみに、非正社員が「不足」していると回答した企業は19%。

こちらも前年同月比10ポイント減となっています。

 

近年は人手不足が一つのキーワードになっていたと思いますが、

完全にその状況は変化したと言っていいように思います。

貴校園では、必要十分な人材を確保できているでしょうか。

転職市場が活況を呈していた頃に比べ、

今後はますます人材を得ることが難しくなっていくかもしれませんので、

早めの人事計画とその実行が必須でしょう。

年度が替わるこの時期、

ぜひとも中長期を見据えてご活動いただければと思います。

 

(文責:吉田)

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転勤の春、コロナで変調

この時期、転勤と引越しが多くなるのが日本社会のこれまでの姿でした。

が、その状況が少し変わったと報じられています。

日経新聞より。

 

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関西企業の春の定期異動に新型コロナウイルス禍がじわり影響を及ぼしている。4月にまとまった規模の異動を計画する企業では、マンダムや任天堂が規模を縮小、パナソニックは可能な範囲で時期の分散を検討する。転勤を伴う地域間異動や海外赴任はさらに影響が大きい見通し。アートコーポレーション大阪市)は法人引っ越し件数で前年比2割減を見込む。人の動きにも、「新常態」対応の側面が少しずつ表れ始めている。

 

私学経営を扱うこのブログでなぜ転勤の話なのか。

その主旨にお気づきの方も多くいらっしゃることでしょう。

私学ではせっかく入学園が決まっても、その後の保護者の転勤確定によって

転出者が発生するケースは決して少なくありません。

転勤は在籍者数を変動させ、私学経営に少なからぬ影響を与えているわけです。

 

逆に、同じ理由で転入してくる子どもたちもいます。

その地域のことをよく知らない保護者にとって、

公立校に入学させることをリスクと捉えるケースもありますから、

特にSNSやオンライン上の口コミなどで良さそうな学校園を探して、

転入を決めるケースもあることをよく耳にします。

 

仮に、この春はそのような転入出が例年より少なくなりそう、

というのが見通しであるとすれば、

関東圏よりも、それ以外の地域の私学にとって

「追い風」になることが増えるのかもしれません。

関西圏については記事にこんな指摘がありました。

 

転勤や就職などは人口の転出入に大きく影響する。新型コロナ禍で全体の人の移動は抑えられそうだが、りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は新入社員の配属への影響も指摘し「BCP(事業継続計画)などの観点から東京への配属を減らし、大阪への配属を増やすのではないか」と話す。

1970年の大阪万博以降、国内総生産GDP)下落とともに「転出超過」の傾向が続いてきた関西。近年はインバウンド(訪日外国人)需要と再開発、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)という3点セットが押し上げ、総務省住民基本台帳人口移動報告では20年の大阪圏(大阪府京都府兵庫県奈良県)の転出超過は118人と前年比97%の大幅減となり、東日本大震災の影響を受けた12年以来の「転入超過(日本人移動者)」に目前まで迫った。大阪府が1万3356人の転入超過で、全体をけん引した。

 

私学経営にとって無視できない要因である「転勤」。

自らコントロールできない、外部経営環境ではありますが、

その状況には少し気をつけておきたいですね。

そして、「良い口コミ」を発生させることで、

他地域のご家庭にもプラスイメージを持っていただけることが、

安定的な経営のひとつの要素と言えるのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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地方私大、公立化を模索

公立化する私学が増えています。

私学にも、自治体にもメリットがあるといいます。

日経新聞より。

 

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地方私立大学の公立化を検討する動きが加速している。少子化で学生の確保が難しくなるなか、「公立」ブランドや公的支援の充実による授業料引き下げは経営の大きな武器となる。一方で公立化後も収支の早期改善は難しいとの見方もあり、期待と不安が交錯しているのが実情だ。

 

少子化の進展の一方で、大学の定員は横ばいから増加傾向を示し、

学生募集には苦労が多い時代となってきました。

特に、地方の大学はその傾向が顕著です。

そのような中での打開策として「公立化」が増えてきているというこのニュース。

下の表を見ても、確かにここ10年ほどでかなり公立化が進んでいますね。

 

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ただ、これらの私学にも、公立化の経緯には少し差がある、

と記事は指摘しています。

過去に公立化した私大は基本的に自治体が誘致したり、多額の設置費用を負担したりした「公設民営」だったのに対し、旭川大は高校や幼稚園も擁する純粋な私立。全国でも初めての試みに大学関係者の注目が集まる。

 

ひょっとすると今後も進むのかもしれないこの私学の公立化ですが、

上表にあるように、私学にとっては学生の募集が上向き、

経営が安定するというメリットがあるようです。

そして自治体側には、赤字リスクを抱えるという不安もありつつ、

地域活性化の核になり得るという期待も大きいようです。

 

公立化にはハードルもあるが、教育・研究基盤の充実につながっているケースは少なくない。かつて定員割れが続いていた長野大学(長野県上田市)は17年に公立化し、志願倍率が上昇。公立化による知名度アップや授業料の引き下げが功を奏したとみられる。

(中略)

人気上昇の思わぬ副産物もある。以前は県外からの学生は全体の3割程度だったが、幅広い地域から志願者が集まり、現在は7割に上昇。地域に根ざす大学づくりを目指していた当初の考えからすると「相反している面もある」(中村学長)。地元定着を目指し、商工会などと連携して学生に地域の仕事を紹介。県内就職につなげる取り組みも進めている。

 

なるほど、少なくとも学校側にはメリットばかりが強調されがちですが、

ここで冷静に考えてみたいのは、私学が設立時に掲げた「建学の精神」、

そして公から距離を置いたところで独自性を発揮する「在野の精神」です。

特に前者は、公立化によってどうしても希薄になったり、

場合によっては消え失せてしまうことも考えられます。

経営の永続はとても大切なことですが、

拠り所を失ってまで経営を続けるというのは、

果たして経営を永続することにあたるのだろうか…

と、少々心配になってしまいます。

 

おそらく、それぞれの大学で工夫がなされているのだろうとは思いますが、

生徒募集、学生募集のためなら何でもあり、というのは、

本来の私学の立ち位置ではないような気もします。

皆様はどう考えますか?

 

(文責:吉田)

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幼稚園連合会、使途不明は4億円超か

先週はとんでもないニュースが入ってきましたね。

4億円…すごい金額です。

日経新聞より。

 

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全国の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」(東京・千代田)は9日、2017~19年度に約3億2千万円に上る不正支出があったと明らかにした。その後も8千万円超の引き出しがあり、使途不明の総額は4億円超に上る可能性がある。連合会は前会長の香川敬氏に対して民事・刑事両面の法的措置を検討する。

 

このニュースは最初に報道されてから連日マスコミでも扱われており、

今後事実がどんどん明らかになっていくとは思いますが、

現段階では大きな使途不明金が見つかったというところまでのようです。

 

 

 

19年度決算について連合会が20年9月に監査した際、通帳や口座の残高証明が事務局から提出されず、香川氏が会計上の不備の責任を取るとして同11月に辞任した。連合会が弁護士らに委託して調査したところ、必要な承認なく基金が取り崩されるなどして、不正な支出が横行していたことが発覚した。

 

あくまでも現時点での報道ですので、推測の域を出ないのですが、

いくつか引っかかることがあります。

 

まずは2019年度決算の監査が2020年9月に実施されていること。

決算監査は決算確定の時期になされるのではないのでしょうか。

もしそうであれば5月頃が正しい時期のはず。そもそもここに違和感があります。

 

そして弁護士の調査で「不正な支出が横行していたことが発覚」とあります。

記事の冒頭でも「2017~」19年度に約3億2千万円に上る不正支出があった、

とあり、それまでの監査はどうなっていたのか、と疑問が募ります。

 

全国の幼稚園にこの影響が及ばないようにと願う一方で、

本日のブログでこの記事を採り上げた一番の理由は、

私学の皆さんに、自校園の監査がきちんと行われているか、

もう一度しっかりとご確認いただきたいと思ったところにあります。

 

会計監査は当然実施されるべきものではありますが、

監事監査、会計士監査ともに、毎年のルーティンになってしまっている、

というケースはきっと少なくないでしょう。

今回の幼稚園連合会の事件も、そのような状況を逆手に取られ、

何となく監査を済ませてきたことで事が大きくなったのではないか、

とも思ってしまいます。

 

監事監査はともかく、会計士監査で見抜けないことはないのではないか、

と考える向きもおありかもしれませんが、

監査の知識や実力のない私ごときが、

会計士監査後の決算書に誤りがあることを見つけたことも

一度や二度では済みません。

監査をルーティンにすることなく、ぜひとも学内の複数の目で、

しっかりとチェックを行っていただきたいと思います。

 

(文責:吉田)

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目標、コロナで持ちにくく

コロナ禍で厳しいニュースが多い中、

またひとつ、唸ってしまうニュースです。

日経新聞より。

 

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将来の夢や目標を持つ児童生徒の割合が、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて減っていることが、北海道教育委員会の調査でわかった。2020年8~11月、札幌市以外の道内の公立小中学校に通う全児童生徒を対象に調査し、9割以上から回答を得た。

 

 

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上のグラフを見て、小学生の減少度の大きさに愕然としました。

「将来の夢や目標を持っているか」との質問に「当てはまる」と答えたのは、

小学生が56.0%、中学生が43.6%だったそうです。

前年度と比較すると小学生はなんと8.2ポイントの減少。

中学生も2.1ポイントの減少となっています。

両者とも、調査を開始した07年度以降で最低を記録しています。

 

具体的な目標を持つことが難しくなっているということは、

未来に対する意欲を持つことも難しくなっていることが推測されます。

北海道教育委員会の担当者は「休校が長期化し、

同級生らとの関係の中で目標を見つける機会を十分に得られなかった」

と推測しているようですが、確かにそういうこともあり得ますよね。

 

ただ、グラフを見る限り、小学生については2013年度以降、

ずっと下がってきていて、ここ2年大きく下げていますよね。

少しずつかもしれませんが、目標を持ちにくい環境になってきているとすれば、

それはコロナ禍だけが原因ではないですよね。

 

貴校園の子どもたちは、目標や夢を描けているでしょうか。

目の前の進学よりも先にあるなりたい姿ややりたいことを

存分に描けるような世の中にしていかないといけないですね。

 

(文責:吉田)

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