この時期、転勤と引越しが多くなるのが日本社会のこれまでの姿でした。
が、その状況が少し変わったと報じられています。
日経新聞より。
関西企業の春の定期異動に新型コロナウイルス禍がじわり影響を及ぼしている。4月にまとまった規模の異動を計画する企業では、マンダムや任天堂が規模を縮小、パナソニックは可能な範囲で時期の分散を検討する。転勤を伴う地域間異動や海外赴任はさらに影響が大きい見通し。アートコーポレーション(大阪市)は法人引っ越し件数で前年比2割減を見込む。人の動きにも、「新常態」対応の側面が少しずつ表れ始めている。
私学経営を扱うこのブログでなぜ転勤の話なのか。
その主旨にお気づきの方も多くいらっしゃることでしょう。
私学ではせっかく入学園が決まっても、その後の保護者の転勤確定によって
転出者が発生するケースは決して少なくありません。
転勤は在籍者数を変動させ、私学経営に少なからぬ影響を与えているわけです。
逆に、同じ理由で転入してくる子どもたちもいます。
その地域のことをよく知らない保護者にとって、
公立校に入学させることをリスクと捉えるケースもありますから、
特にSNSやオンライン上の口コミなどで良さそうな学校園を探して、
転入を決めるケースもあることをよく耳にします。
仮に、この春はそのような転入出が例年より少なくなりそう、
というのが見通しであるとすれば、
関東圏よりも、それ以外の地域の私学にとって
「追い風」になることが増えるのかもしれません。
関西圏については記事にこんな指摘がありました。
転勤や就職などは人口の転出入に大きく影響する。新型コロナ禍で全体の人の移動は抑えられそうだが、りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は新入社員の配属への影響も指摘し「BCP(事業継続計画)などの観点から東京への配属を減らし、大阪への配属を増やすのではないか」と話す。
1970年の大阪万博以降、国内総生産(GDP)下落とともに「転出超過」の傾向が続いてきた関西。近年はインバウンド(訪日外国人)需要と再開発、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)という3点セットが押し上げ、総務省の住民基本台帳人口移動報告では20年の大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)の転出超過は118人と前年比97%の大幅減となり、東日本大震災の影響を受けた12年以来の「転入超過(日本人移動者)」に目前まで迫った。大阪府が1万3356人の転入超過で、全体をけん引した。
私学経営にとって無視できない要因である「転勤」。
自らコントロールできない、外部経営環境ではありますが、
その状況には少し気をつけておきたいですね。
そして、「良い口コミ」を発生させることで、
他地域のご家庭にもプラスイメージを持っていただけることが、
安定的な経営のひとつの要素と言えるのではないでしょうか。
(文責:吉田)