寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学生給付金、予算底つく

先月の記事なのですが、その後何か対処されているのでしょうか。

とても気になる内容です。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

新型コロナウイルスの影響で困窮する学生に最大20万円を支給する政府の予算がほぼ底をついたことがわかった。約42万人を支援するめどがつき、予算の消化率は98%程度に達する。ただ、飲食店などは営業の制約が残り、学生はアルバイト先の確保がなお難しい。目配りが必要で、予算の追加が焦点になる。

 

大学生にとって、生活費の一部、学費の一部、場合によっては

そのすべてをまかなっている例もあるであろう、アルバイト代。

私も当時はその一人でした。

その収入源が断たれている状況は、学業を続けたいと考える学生たちを

深刻な状況に追いやっているように感じます。

 

5月から手当てされていた「学生支援緊急給付金」は約530億円。

支給額は住民税非課税の低所得世帯の学生が20万円、それ以外は10万円です。

8月までに支給したのは38万5千人で、9月にも追加があり計42万人程度となり、

想定していた人数に迫っていたようです。

 

一方でアルバイトは以前のように求人がなく、

24歳以下の非正規従業員全体としては254万人と、

緊急事態宣言中の4月の234万人よりは増えていますが、

2月の291万人と比べるとかなり低い水準です。

 

8月の立命館大学新聞の調査では退学を視野に入れている学生が1割近くに上った。文部科学省の2018年の調査によると大学生(昼間)の34%が「家庭の給付だけでは修学が不自由・困難」だった。博士課程では51%が該当し、もともと経済環境が厳しい学生は多い。

 

 

学校という場を考える際、最初に影響が及ぶのが大学であることが

多いように感じます。

とすれば、大学生はもちろんのこと、

今後は中高生、小学生…と、より低年齢にその影響が及び、

学校に納めるお金が苦しいご家庭が増えてくることも考えられます。

次年度募集は準備を含めるとすでに始まっています。

状況を見極め、必要な対策を打っていきたいところです。

 

(文責:吉田)

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セミナーをふりかえって

先週木曜日は、今年2回目の学校経営セミナー開催日でした。

コロナ禍がありながらも、早い時期からお申込みが届き始め、

当日のご欠席もゼロ。

当然、感染対策を万全にしての開催とさせていただきました。


学校経営セミナーは毎年、5~10回程度のスケジュールを立てて

実施してきておりましたが、今年度は「法務と財務」に焦点を合わせ、

年度当初から2回のみの実施として計画を進めてきました。

初回は7月の実施で、主に私学職員さん向けの内容で整えたのですが、

今回は理事・監事さんのお役に立てるようにと練っておりました。

 

全体を2部構成とし、第1部が法務。津田裕行弁護士の登壇でした。

 

主催者ながらまず驚いたのが、資料の充実度。

私学法の改正を総ざらえし、私学の機関設計、

特に評議員会や非常勤役員のあり方についても言及されるなど、

これで1冊の書籍になるのではないか、と思わされるほどの内容でした。 

 

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第1部の後半の様子です

 

一方で反省すべきは時間の短さ。

2時間余りの時間では資料のすべてをお届けすることができず、

受講者の皆様には若干消化不良感が残ってしまったかもしれません。

セミナー講師の立場からすると、せっかくの機会だから、

と内容を欲張ってしまうものですし(資料だけでもお渡しできれば

何かのお役には立てるかな、と私もいつも思ってしまいます)、

今年度は開催時間の制約が大きかったので結果としてはやむを得ませんが、

次年度以降はもっとしっかり時間を取って、

内容を存分にお届けできればと感じた次第です。

 

そして第2部は吉田が財務を担当しました。

学校法人会計のポイントを復習し、

それを踏まえた資金計画と人件費管理について検討してみました。

役員向けを強く意識しておりましたので、

技術的なことは最小限に抑えて、決算を読む際のポイントをギュッと一掴み。

そして、コロナ禍を経験したことによって、

にわかに高まっている資金管理の重要性を、

中長期資金計画へと落とし込む際の留意点や着眼点をお伝えしました。

 

アンケートを拝見しますと…

・重要なポイントを的確にお伝えいただき、大変参考になりました。

・説明がわかりやすかった。

・第一部では今後の私学法改正の動き、方向性について認識することができた。

 第二部では資金計画の重要性、とりわけ資金の4区分の色分けをする必要性を強く意識した。

などなど、今回はいつも以上に熱のこもったメッセージをたくさんいただき、

感激いたしました。

 

また、セミナー終了後には多くの受講者さんから質問を含めお声を掛けていただき、

今回のセミナーにご満足いただけたことが私にも感じ取れました。

 

タイミングは少々早いのですが、本年度の定例セミナーは今回が最終回。

次年度はよりいっそうパワーアップした内容をお届けできればと思っております。

ご参加いただきました皆様に改めて感謝申し上げます。

そして今後も学校経営セミナーをお楽しみに!

 

(文責:吉田)

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求人「未経験OK」減少

またもや「即戦力」の流れが来ているようですね。

日経新聞より。

 

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人材市場で「未経験OK」を掲げる求人案件が減少している。転職サイトでは未経験者歓迎の案件の比率が、新型コロナウイルスの感染拡大前の8割から直近は5割まで下がった。コロナ禍で景気の先行きが見通しにくくなり、企業は育成に時間がかかる人材の採用を控え、スキルを明確にしたジョブ型で働ける即戦力を求めつつある。

 

上記の現象について、記事に付いていたグラフが分かりやすいので、

以下に転載させていただきます。


 

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人手不足の中では「未経験歓迎」というのが決まり文句のようにも

なっていた感がありますが、それがここへ来て急減。

特に技術系職種の減少が目立っていて、

「電気、電子、機械」では29.9%と1月比なんと50.6ポイントの減。

「IT(情報技術)、web、ゲーム、通信」も16.9%で同40.7ポイント減です。

 

そしてこの現象を逆から映すかのように、

即戦力となる経験者の求人は活発なようです。

エン・ジャパンの35歳以上を対象とした転職サイト「ミドルの転職」の案件数は前年同月を上回る推移が続く。IT系や物流など新しい生活様式を支える職種で、リーダーとして現場を支えられる人材の需要が強い。

 

コロナ禍の前までは、未経験者の採用も多く、

業種を超えた転職がかなり活発に行われていたように感じます。

が、ここへ来てそれが減っているとなると、雇用の流動化は抑えられ、

現在の職にとどまる人は増えるのかもしれません。

 

ただ、業績の悪化等で今後はさらに失業者が増えることも懸念されます。

このような環境下において、貴校園は人材採用をどう考えられますでしょうか。

教職免許を持っているのに一般企業で働いている人材は決して少なくないはず。

教育現場にも関心を向けてもらえるといいのですが。

 

(文責:吉田)

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子どものメンタルヘルス支援を

まずは本日、学校経営セミナー開催日となっております。

コロナ禍は若干小康状態と言えそうですが、

それでもセミナー運営はガイドラインに沿って行いますので、

ご参加者各位におかれましては、検温とマスクの着用をよろしくお願いいたします。

会場でお会いできますことを楽しみにしております。

 

さて本題です。

表題を見て、子どもたちを精神的に支えることの必要性を改めて感じた私。

ただ、それはまだ表面的な理解でしかありませんでした。

教育機関にできることはまだたくさんありそうです。

日経新聞より。

 

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記事はまず、世界的な子どもに対するメンタルヘルスサポートに言及しています。

多くの国で外出が制限され、子どもの集中力低下や情緒不安定、

神経質な状態など多くの変化が報告されているそうです。

 

精神疾患に罹患(りかん)する人の半数以上は14歳までに、75%は25歳までに発症するという研究結果もある。児童・青年へのサポートの重要性は以前から指摘されてきた。特に必要なのが自身のメンタルヘルスの変化や不調に自ら気づき、適切なタイミングで教員や専門職へ相談できる力を育てることである。

 

私自身、精神疾患に陥った子どもたちを支援することに意識が向きがちでしたが、

上の文章を読んでハッとしました。

自ら変調に気付き、相談できる力があれば、

深刻な状態になる前に対処できる可能性は格段に上がります。

そして、先生方の負担も大いに軽減されるはず。

 

子どもたちにその力を養うことこそが教育、と筆者は述べておられます。

 

現在、中学校の授業ではほとんどメンタルヘルスを扱う時間がない。高校でも2022年度からの新学習指導要領でようやく疾患の説明が行われる程度にとどまる。子どもたち自身が基礎的な知識・対処法を知ることができないまま、最初の気付きを多忙な教員に依存する状況が生まれている。

 

 

大人たちが気付かないとどうしようもない、というような状況を

生んでしまっているとすれば、それを根本的に変えていかないといけません。

今こそ、各校園でメンタルヘルスを教育課程の中で扱い、

子どもたちの健全な成長へとつなげていくことが重要だと感じました。

 

最後に、サポート体制について筆者はこう提案されています。

子どものメンタルヘルスへのサポートを教員や家庭に依存したあり方の改革は急務である。子ども自身が自らの変化に対応することはもちろんのこと、多様な専門職が連携して相談体制を整えることも必須である。専門職の配置が十分でない学校もあり、オンラインの積極活用も求められる。

 

さまざまな分野で専門性が必要になっているこのご時世です。

外部専門家とうまく繋がることもまた、

学校の負荷を減らすために必須と言えそうです。

 

(文責:吉田)

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オンライン入試 戸惑う私立中

昨日はオンライン授業のことを採り上げましたが、

今日はオンライン入試。

国内で議論が最も進んでいるのはどこなのでしょうか。

日経新聞より。

 

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新型コロナウイルスの収束が見えないなか、来春の中学受験の「オンライン入試」を巡る判断が割れている。東京都内では自粛の方針が示され、オンラインで実施予定だった学校が変更を迫られた一方、各校の判断に委ねる県も。受験生の公平性の確保の難しさが背景にある。

 

記事には各都府県の私学団体によるオンライン入試に関する指針が

分かりやすく表で示されています。まずはそちらをご覧ください。

 

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記事に書かれている内容をまとめますと概ね以下の通りです。

 

【東京私立中学高等学校協会】

来春のオンライン入試の自粛を求める指針を決定。

長塚篤夫副会長「入試は会場受験が基本。監督者のいない在宅受験は不正が防げず、もし起きれば私学全体の批判につながりかねない」

この指針により、すでにオンライン入試の導入を表明していた一部の学校は入試形態の変更を迫られた。

 

【埼玉県私立中学高等学校協会】

都と同様「オンライン入試は公平性が保たれないため原則中止」と申し合わせ。

小川義男会長「最終的には各校長の判断に委ねるが、現在の感染状況なら通常の試験が可能だろう」

 

【千葉県・神奈川県私学協会】

特に指針を示さず、各校の判断に任せている。

神奈川県の協会は「原則会場受験」としつつ、オンライン入試を実施する際は「不正が起きないように工夫して」と各校に呼びかけ。

 

【愛知県私学協会】

担当者「入試の中身は各校が判断しており、協会として立ち入ることは難しい」

 

 

以上、各地の私学団体によって見解は分かれています。

 

不正の心配は確かにあるでしょう。

一定のルールが必要なのも理解できます。

ただ、入試は私学にとって、

「各校園が集めたい人材を示す最強のメッセージ」 

なのではないでしょうか。

少なくとも、本来はそうであるべき、だと私は思います。

そう考えれば、その手段や方法を含め、よほどのことがなければ

各校園に委ねられるべきものなのでは?

と思います。

 

この現象は、逆から見れば、各校園の入試にそれほど差異がなく、

私学団体が統括できるような状態であることに根源的な問題があるのかもしれません。

今こそ、貴校園ならではの入試について、しっかりと考えてみる必要がありそうです。

 

(文責:吉田)

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大学や高専の後期授業「遠隔と対面併用」8割

大学では後期授業が始まっていますね。

遠隔授業なのか、それとも対面授業なのか。

そろそろこういう二項対立自体を止めねばならないと思うのですが…

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

文部科学省は(9月)15日、全国の国公私立大や短大、高等専門学校が9月下旬以降に始める後期授業の形式などの調査結果を公表した。回答があった1060校のうち、授業をオンラインによる遠隔と対面を併用とするのは8割の849校だった。全面的に対面とするのは2割弱の205校にとどまり、新型コロナウイルスの感染リスクを警戒する大学などがなお多い。

 

この調査は8月25日~9月11日に実施されたもので、

前回調査が7月1日時点だったそうです。

前回調査の結果では併用が6割だったところ、今回調査では2割増となっています。

 

先日、知人の大学教授にお聞きしたところ、その大学では

少人数授業は原則対面、大教室の授業は原則オンラインになっている、

とおっしゃっていました。

ただ、通信環境の面では学生の自宅よりも大学が優れているため、

大学構内にいながらオンライン授業を受けている学生も相当数いる、

とおっしゃっていました。なるほど。

 

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その他、以下のような調査結果も出ています。

・対面の頻度が授業全体の3割未満としたのは全体の2割弱(161校)

・対面を実施するケースは、「実験・実技など」が最多(88%)、

 続いて「ゼミ」(62%)、「対面と遠隔を同時実施」(50%)

・ラウンジや図書館など学内施設が「すでに全面的に可能」が34%(359校)、

 「一部可能」は65%(696校)

 

冒頭にも書きましたが、そろそろオンラインか対面か、

というような考え方はやめて、より学習に適した方法は何か、

という観点で手段を選びたい気がします。

もちろん、感染対策は重要ですのででき得る限りの配慮は必要です。

ただ、大学生ともなれば、感染を避けて集合型の授業をすることは

きっと不可能ではないでしょう。

 

一度感染者が出てしまうとブランドへのダメージが…との心配も理解できますが、

そろそろ学生の学習効果の優先度をもう一段高めたい気もします。

大学だけでなく、小中高、さらには幼稚園も同様の悩みがあるでしょう。

貴校園はどのようにお考えになりますでしょうか。

 

(文責:吉田)

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「運用の壁」を乗り越える

日経新聞で以前連載されていた、「新たな時代の人事制度」。

このブログでも何度か採り上げさせていただきました。

その連載の最終回に掲載された記事です。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

制度設計のお手伝いをさせていただくことの多い私の、

最大の心配事は「導入後の運用」です。

せっかく苦労して作った制度も、運用がなされなければ意味がありません。

過去には数年をかけて作った制度が、現場の反発によって導入すらできなかった、

という苦い経験も持っています。

 

現場は複雑です。全ての現場が人事部門の期待通りの運用、あるいは機能的な運用をしてくれるとは限りません。実際にどう運用されるかをあらかじめ見越した制度設計は不可能なので、人事部門としては、現場と共に制度設計を行った後は、まずは現場を信じて見守るしかありません。

 

この引用箇所に、とても重要な記述があります。

それは「現場とともに制度設計」という記述です。

ともすると制度設計は経営サイドだけで行われることもありますが、

その後のことを考えれば制度設計時にも現場のメンバーと協働することが

とても重要だと感じます。

 

さらにその後「現場を信じて見守る」という点も、

できそうでできない事柄かもしれません。

ただ、これもまた、制度の定着には不可避だと実感しています。

労使が合意し、いったん導入した制度は、まず運用実績を積み重ねることで、

実感を持って「自分自身の制度」へと昇華していくのではないかと思います。

 

 

人事制度は一朝一夕では根付きません。

が、逆に言えば、時間をかけることでその制度が「当たり前」の存在にもなり得ます。

人事制度は教職員にとってまさに日常を支える制度。

それをしっかり設計し、運用することは、

学校経営上の優先度の高い課題と言えるのではないでしょうか。

 

それぞれの職場の工夫の結果、望ましい多様性が生まれます。自由で創造的な運用事例が他の職場にも共有・展開されると、企業の各所で学習が生まれ、人事制度の運用ノウハウが全体として蓄積されます。人事担当者や経営者には、良い事例を探し、見つけたら褒め、積極的に紹介することで、自由で創造的な運用に向けて全社的に動機づけることが期待されます。

 

褒めて伸ばす、というのは教育の原点。

貴校園なりの人事制度とその運用の工夫が、きっと職場環境を改善し、

よりよい教育現場を形成してくれることでしょう。

 

(文責:吉田)

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