日経新聞で以前連載されていた、「新たな時代の人事制度」。
このブログでも何度か採り上げさせていただきました。
その連載の最終回に掲載された記事です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
制度設計のお手伝いをさせていただくことの多い私の、
最大の心配事は「導入後の運用」です。
せっかく苦労して作った制度も、運用がなされなければ意味がありません。
過去には数年をかけて作った制度が、現場の反発によって導入すらできなかった、
という苦い経験も持っています。
現場は複雑です。全ての現場が人事部門の期待通りの運用、あるいは機能的な運用をしてくれるとは限りません。実際にどう運用されるかをあらかじめ見越した制度設計は不可能なので、人事部門としては、現場と共に制度設計を行った後は、まずは現場を信じて見守るしかありません。
この引用箇所に、とても重要な記述があります。
それは「現場とともに制度設計」という記述です。
ともすると制度設計は経営サイドだけで行われることもありますが、
その後のことを考えれば制度設計時にも現場のメンバーと協働することが
とても重要だと感じます。
さらにその後「現場を信じて見守る」という点も、
できそうでできない事柄かもしれません。
ただ、これもまた、制度の定着には不可避だと実感しています。
労使が合意し、いったん導入した制度は、まず運用実績を積み重ねることで、
実感を持って「自分自身の制度」へと昇華していくのではないかと思います。
人事制度は一朝一夕では根付きません。
が、逆に言えば、時間をかけることでその制度が「当たり前」の存在にもなり得ます。
人事制度は教職員にとってまさに日常を支える制度。
それをしっかり設計し、運用することは、
学校経営上の優先度の高い課題と言えるのではないでしょうか。
それぞれの職場の工夫の結果、望ましい多様性が生まれます。自由で創造的な運用事例が他の職場にも共有・展開されると、企業の各所で学習が生まれ、人事制度の運用ノウハウが全体として蓄積されます。人事担当者や経営者には、良い事例を探し、見つけたら褒め、積極的に紹介することで、自由で創造的な運用に向けて全社的に動機づけることが期待されます。
褒めて伸ばす、というのは教育の原点。
貴校園なりの人事制度とその運用の工夫が、きっと職場環境を改善し、
よりよい教育現場を形成してくれることでしょう。
(文責:吉田)