寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

いじめ、10万件減少

いじめが本当に減ったのであれば嬉しい記事なのですが…

日経新聞より。

 

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文部科学省が(10月)13日に発表した問題行動・不登校調査で、2020年度のいじめの認知件数が前年度比で約10万件減の51万7163件だったことが分かった。新型コロナウイルス禍で子ども同士の接触機会が減ったことが要因とみられる。一方、ネット上のいじめは過去最多を更新。専門家は「教員による一層の見守りが必要だ」と訴える。

 

全国の小中高校などで認知されたいじめの件数は

2014年度以降、増加傾向が続いていましたが、

2020年度は10万件もの大幅な減少に転じた、という記事です。

学校種別にみると、小学校は前年度比13.1%減(420,897件)、

中学校は24.1%減(80,877件)、高校は28.5%減(13,126件)となっています。

 

文科省の担当者の分析によれば、

「コロナ禍で児童生徒の物理的な距離が広がったことや、

 授業や部活動が制限され対面でやり取りする機会が減ったことが影響した」

とのことですが、いじめの中でも命の危険や不登校につながった疑いのある

「重大事態」は依然として514件存在しています。

 

そして深刻な事態はここにも。

いじめ全体の認知件数が減る中で、パソコンや携帯電話での誹謗(ひぼう)中傷など、いわゆる「ネットいじめ」は増加の一途をたどる。20年度は1万8870件で、06年度の調査開始以来、過去最多を更新した。増加幅は特に小学校で大きく、20年度は前年度から約1800件増の7407件に達した。

 

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ここにもコロナ禍の影響が見られるとのこと。

すなわち、巣ごもりでネットの使用時間が急増しており、

総務省情報通信政策研究所の2020年度の調査によれば、

10代の平日のインターネット利用時間は平均約224分と、

コロナ前の前年度から1時間程度増加したとのことです。

 

対人関係を学ぶ場でもある学校。

いじめはそのような中で当然起こりうるもの、とおっしゃる方もいます。

ただ、それが人生を狂わせるものになってはならない、と思います。

難しい問題ですが、教職員を中心に、

大人がしっかりと注視していきたいですね。

 

(文責:吉田)

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感染不安で長期欠席3万人

少し落ち着いている時期ではありますが、不安は続いています。

コロナ禍の辛い現実を感じます。日経新聞より。

 

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2020年度に新型コロナウイルスの感染回避を理由に学校を長期欠席した児童生徒が、全国で約3万人に上ったことが(10月)13日、文部科学省の問題行動・不登校調査で分かった。現在も登校を見合わせる子は少なくなく、オンラインによる指導など学力低下を防ぐ対策の拡充が求められる。

 

文科省は毎年、年度内に30日以上の長期欠席をした児童生徒を調べていて、

その理由を「不登校」「病気」「経済的理由」などの項目別で分類し、

まとめています。今回の調査では、その理由に

「新型コロナの感染回避」が新たに追加されました。

 

全国の小中高校に通う児童生徒は2020年度で約1,268万人。

このうち長期欠席した小中高校の児童生徒は約36.8万人。

これは前年度を約1割上回っています。

そして、「新型コロナの感染回避」はその中で8.2%、30,287人となり、

内訳は小学生が14,238人、中学生は6,667人、高校生は9,382人でした。

 

感染不安で長期欠席する子どもたちが多かった都道府県は以下の通りです。

やはり、感染者数が多かった都道府県が並んでいますね。

 

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このことに加えて気になるのは、小中学校の「不登校」の多さです。

前年度比8.2%増の196,127人となり、比較可能な1991年度以降で最多を更新した、

と記事に書かれています。

ここにもコロナウィルスが影響したと文科省は分析しており、

「昨春の一斉休校などで生活のリズムが乱れやすくなって不登校が増加した」

ようです。

 

いったん状況が落ち着いた今、この問題は小さくなっているかもしれません。

ただ、貴校園に通う子どもたち、ご家庭においても

ウィルスの捉え方、価値観は千差万別でしょう。

状況をよく観察し、丁寧に対応することが必要な気がいたします。

 

(文責:吉田)

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学びハイブリッド「時代に合わせないと」

日経新聞に先月連載された、「学びハイブリッド」という記事。

いくつかの記事の中で、学校周辺の教育産業に関するものがありました。

 

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「習慣化が目的なら、毎日数問の問題を宿題として送信してみてはどうですか」。愛知県内の公立高校で毎日、リクルートの担当者が学習アプリ「スタディサプリ」の使い方について教師からの相談に応じている。2020年6月、愛知県は県内の公立高校約180校にスタディサプリを導入。リクルートの約20人の担当者が1日3~4校を回り細かなニーズに対応する。

 

スタディサプリ、導入されている学校は少なくないでしょう。

もとは個人の自宅学習用に開発されたアプリですが、

コロナ禍の一斉休校などをきっかけに、

学校の補助教材としての導入が相次いでいるようです。

導入した高校は2021年4月時点で約2千校。

1年前の2倍超に達しているとのことです。

 

また、ベネッセホールディングスの通信教育「進研ゼミ小学講座」は、

コロナ禍の2020年4月、課題をタブレットで回答・提出できるサービスを開始。

今春からはAIが会員1人ひとりの学習プランを自動生成するサービスも始まり、

理解度に合わせた学習内容を個別に提供できるようになりました。

2021年4月の会員数は前年同月比3%増の136万人。

継続会員の割合が増加しているそうです。

 

もう1つ、登場するのは駿台予備校。

今年4月からオンラインで受講できるコースが設定され、

東京・お茶の水の校舎から、予備校のアドバイザーが

遠隔地の生徒と月に最低1回はタブレット画面を通じて面談するそうです。

スタートアップと組んだオンライン模試も含め、

駿台はデジタル化を積極的に進めている、と記事に書かれていました。

 

少子化という長期トレンドのなかで、

 コロナ禍は教育産業の変化を加速させている」

と、この記事は締められていました。

おそらく、学校もしかり、でしょう。

さて、今後どんな変化が起きるのか。あるいは、起こすのか。

ここが進取の精神の発揮しどころ。私学の皆さん、頑張りましょう。

 

(文責:吉田)

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教育移住 新たな呼び水

「教育移住」という言葉ができているのでしょうか。

日経新聞より。

 

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教育に独自色を打ち出すことで移住を促し人口減にあらがう地域がある。出生率の大幅な向上が見込みにくい中、豊かな自然の特色を生かしたり、海外の方針を導入したりと知恵は様々。「教育移住」先進地を追った。

 

まずは統計値の確認から。

全国の15歳未満人口(年少人口)は1,508万人(2021年1月1日時点)。

この10年で11%の減少です。都道府県単位で増えたのは東京都のみで、

減少率が最も高い秋田県では24.5%減と、あまりに厳しい少子化状況です。

下の図でも、全国的に子どもの数が減っていることがお分かりいただけるでしょう。

 

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ただ一方で、市区町村別でみると、

37都道府県・計148自治体で子どもが増えているとのこと。

そしてそれは都心ばかりではなく、一般的にはデメリットと捉えられている

「都市との距離」を逆にアピールして呼び込みに成功したところが多い、

と記事では紹介されています。

 

増加率トップは新潟県の離島、粟島浦村。牧場で馬を世話しながら小中学校に通ってもらう「しおかぜ留学」制度を13年に設け、年少人口を19人から43人へと倍増させた。

21年4月入学の募集では新型コロナウイルス禍にもかかわらず、継続を含む最大20人の枠に60人以上の応募が首都圏などから殺到した。

 

2位の鹿児島県十島村も小中学生の「山海留学」として、粟島浦村に類似する制度を1991年に創設。移り住む生徒数は毎年度10人前後だったが、2021年度は42人と全生徒の半数近くまで拡大した。

 

6位の福岡県新宮町は16年、地元大学の協力で気象の動向や太陽光発電量などをデータ化し、モニターで公開する「スマートスクール」を開校。効果を児童に体感してもらうことで環境教育を推進し、新たな生徒を呼び込んだ。

 

小さな自治体は予算もそれほど大きくないため、その成功例は、

私学単体での募集広報施策としても参考になると思います。

マンモス校であれば20人程度の増加はそれほど重要ではないかもしれませんが、

生徒募集に苦労されている学校からすれば、

20人の生徒増は大きな成果と言えるのではないでしょうか。

 

理想の教育を地方で実施しようとする取り組みは足元でさらに加速する。19年には異なる年齢の子どもを共に学ばせ、個性や発達度合いに応じた教育の実現をめざす欧州発の「イエナプラン」を採用した認定私立校が長野県佐久穂町に開校した。自主性の確立や生徒同士の教え合いで自己肯定感を高められることなどが人気を集め、全校約140人のうち8割が移住して入学した。都内から進学した生徒は50人を超える。

 

さて貴校園では今後の人口減を見据えて、

どんな計画を立案しておられますでしょうか。

貴校園が元気に活動を続けられるよう、適切な規模設定と、

それを満たす子どもの数を確保できるよう、

しっかり検討を深めておいていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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11月開催セミナーのご案内

本日から11月のスタート。ずいぶん年末が近づいてきましたね。

日ごと気温も下がってきていますし、それに合わせて

服装もだいぶ変わってきたことを実感します。

皆様、そして貴校園のご様子はいかがでしょうか。

 

2学期も折り返しを過ぎ、在校園生の進路のことが気になり始めるとともに、

次年度の募集活動も熱気を帯びてくる頃かと思います。

コロナ禍は少し落ち着いている様子ではありますが、

くれぐれもご自愛いただき、ますますのご発展を祈念申し上げます。

 

さてそのような貴校園の経営の一助に、と開催させていただいております、

弊社主催「学校経営セミナー」は今月開催分が本年度の最終回。

テーマは弊社最大の強みのひとつ、財務会計です。

 

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学校法人会計に関するテーマは例年採り上げていますが、

これまでは基本、基礎にあたるところが圧倒的に多かったと思います。

今回は中級編とも言うべき内容を想定しておりまして、

目次は以下を予定しています。

 

  1. 学校法人の決算書の構造と特徴
  2. 施設設備への投資と基本金
  3. 最低限押さえておくべき財務分析

 

投資と基本金を扱う、という時点で

中級編ということがお分かりいただけると思います。

当然、決算書の構造について前段で触れるつもりなのですが、

今回のセミナーの中心的存在は「貸借対照表」となる予定。

B/Sを切り口に、未来の学校経営を考えてみようと思っております。

 

残席は多くありませんが、少なくもありません(笑)

オンラインセミナーですので、ご興味のある方はぜひどうぞ。

下のリンクからそのままお申込みいただけます。

セミナー情報|株式会社 ワイズコンサルティング

 

会計情報は、将来を考える格好の材料と言えます。

この機会にご一緒に勉強してみませんか。

 

それでは今月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:吉田)

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通信制高校、抜本改革へ

昨今、人気を博している通信制ですが、

運営の不備も多く見られることから、

規制が強化されるようです。日経新聞より。

 

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文部科学省は、不登校経験者の生徒が増えるなど状況が変化している通信制高校の制度を抜本的に見直す方針を決めた。対面授業の義務付けを想定し、有識者会議で議論を開始。近年の不祥事続発を受け、国の監督強化も論点となる。学校教育法や省令を改正し、2023年の新制度移行を目指す。

 

現在、通信制に在籍する生徒は約22万人で、さらなる増加傾向にあります。

以前の通信制は働きながら遠隔で学ぶのが通例で、

それが現行制度の前提になっているのですが、

現在は在籍者の半数が小中学校で不登校だった、との調査結果もあり、

文科省は、一定時間は校舎で対面授業を受ける方向で検討しているようです。

 

昨今、就学支援金の不正受給が発覚したり、

教員免許のない人に授業をさせたり、

アルバイトを特別活動とみなして単位認定したり、

といった不適切な事例が複数の学校で判明しており、

一定の規制が必要という流れになったのも致し方ないのかもしれません。

 

私学のガバナンス強化についても同じような流れをたどっている気がしますが、

自立的に学校運営をしようと思えば、

それに見合った責務を果たす必要はあるでしょう。

個人的に、学校に対する規制はいかがなものか、と思う一方、

そのためには昨今のように不祥事が相次いではならない、とも思います。

 

生徒減の起爆剤として通信制を模索されている私学もおありでしょう。

一時的な生徒確保目的ではなく、

あくまでも貴校園の教育環境をよりよいものにするために、

との目的意識を強くお持ちいただき、私学の自立性を維持するために、

適切な運営に努めていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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コロナ禍を機にPTA見直しを

貴校園ではPTAの活動、いかがでしょうか。

中には苦心されているケースもあるかもしれませんね。

そしてそれがコロナ禍でどうなったのか…

こんな提言が掲載されていました。日経新聞より。

 

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新型コロナウイルスの流行は、さまざまな組織の存在意義を問う機会となった。私が会長を務める小学校のPTAもその一つだ。コロナ禍以前のPTA活動は前例踏襲主義が強く、任意といいながら実態としては強制的な拘束力を帯びる活動であった。全国を見渡すとごく一部、本当の任意活動に転換するPTAもあったが、多くはなかなか踏み切れずにいた。

 

この記事を書かれたのは公立小学校でPTA会長を務める方です。

その小学校でもコロナ禍で活動が止まり、

従来年度初めに行っていた各委員や係の分担ができなくなったため、

本部役員のみでの企画運営に舵を切ったものの、1学期が経過し、

「あれだけ保護者の負担になっていたPTA活動なのに、

 やってもやらなくても誰も困らない」ことに気が付いた、とのこと。

同じ思いを持たれているPTA関係者、学校関係者は多いかもしれませんね。

 

約40年の学校の歴史をさかのぼり、昔のPTA活動を調べてみると驚いた。40年前と、コロナ禍の前まで行っていた活動内容のほとんどが同じなのだ。共働き世帯の増加など時代は大きく変わったにもかかわらず、PTAは全くといっていいほど変わっていない。

PTAの委員や係はほとんどが1年ごとに入れ替わる。任にあたった保護者は活動の意義に思いをはせることなく、無難にやり過ごし、次の保護者に引き継ぐことに重きをおく。活動内容に変化がないのはこのためだろう。

 

PTAに限らず、組織の存在意義について考えさせられる文章です。

とりあえず自分の時に無難にやり過ごす、というだけに陥ると

組織自体が必要ないものになってしまう…

貴校園内にもそんな組織はないでしょうか。

 

ただ、筆者は「PTAをなくせばよいというのは早計だ」と警鐘を鳴らします。

子どもたちをとりまく課題に直面したとき、

PTAはその必要に応じて保護者の声を集約し、

教職員や学校外の地域に届ける存在なのだ、と。

そのことを実現するために、筆者はこんな行動をとられました。

私たちのPTAでは、強制活動の主因である専門委員や係の全てを廃止した。その時々に必要な活動を話し合い、活動ごとにボランティアを募る方式へと転換し、前例踏襲を脱却。コロナ禍を機に「できる時に、できる人が、できることを、楽しみながら」を理念とした組織に進化を遂げた。

 

PTAのみならず、組織の存在意義を問い直し、

それを実現できる組織へと変えていくことの大切さを教えてくれた、

今回の記事でした。

 

(文責:吉田)

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