先日も保育士不足解消の施策を紹介しましたが、
こちらはどうでしょうか。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
こども家庭庁は2024年度から、保育士不足の緩和へ保育士資格を持つ人の復職支援を拡大する。業務を手伝う「保育補助者」として保育所などが有資格者を雇う際に支援金を出す。就職希望者の職場見学に同行する専門アドバイザーの新設も検討する。
保育士資格は持っているけれど、現在保育士をしていない。
そういう方が多くいらっしゃることは、
私の身の回りだけを見ても確実に言える気がします。
下のグラフでもそのことは明らかですね。
今回、記事に出ている「保育補助者」というのは、
クラス担任や保護者への対応はせず、
子どもの着替えや食事の世話など、保育士の手伝いをするのが役割です。
教育現場がそうであるように、保育現場においても、
必ず資格者が行うべき業務もある一方で、
そうではない業務で結構時間が必要になっている、
ということも多くありますので、補助者の存在は有難いもの。
そこで政府はそういった補助者の雇用に対して、
支援金を給付する制度を2016年から始めていたそうです。
ところが、この支援金は資格のない人だけを対象にしていました。
そんなことってあるのか、と不思議に思ったのですが、
それはさておき、今回の制度改正によって、
資格のある人(「潜在保育士」と呼ぶ有資格者)も対象にするとのことです。
さて、先にも触れたとおり、資格の有無にかかわらず実施できる業務は
学校現場でもそれなりに多くあるのではないでしょうか。
しかしながら、これまでそうしてきた、という理由だけで、
あるいはさまざまな「できない理由」を付けて、
それらの業務をこれまで通り教員が担当しているケースは
かなり多いのではないか、と推察します。
新規の雇用でなくても、例えば事務職員との業務の垣根を低くして、
両者の役割分担を変えるだけで残業が軽減される、
といったことは比較的簡単にできるはずです。
貴校園でも、教員の職務軽減を図る方策を
今一度検討してみていただければと思います。
そして今回のニュースで感じたもう1つのことは、
潜在保育士がなぜ現場復帰していない現実があるのか、
という点を掘り下げる必要がある、ということです。
ブランクがあるので現場対応に自信が持てない、
という方にとっては、今回の施策は有効でしょう。
しかしながら、激務に耐えられず、あるいは給料が安すぎて、
といった理由で現場を離れた方にとっては、
今回の措置が功を奏することは考えにくい気もします。
記事にはこのようにも書かれています。
保育士の資格を持つ登録者数(160万人超)のうち、実際は保育士として働いていない人は20年時点で102万8000人だった。10年間でおよそ1.6倍に増えた。東京都の調査によると、退職理由として職場の人間関係や給与、労働時間が多かった。
人手不足の原因を見誤ってしまうと、対策の効果は上がりません。
人間関係の改善、労働環境の改善のための施策を、
少なくとも貴校園では意識して実現いただければと願っております。
(文責:吉田)