判例に基づき、雇い止め条項を設ける例が増えている…
のかもしれません。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
パート社員などの有期労働契約で、更新上限を定める条項が注目されている。企業は来春、同条項の有無の明示が義務となる。有期契約が5年を超えて更新されると無期雇用に転換できるルールの導入から約10年。「雇い止め」につながる同条項は労使紛争の一因になってきた。企業と従業員の合意が重要になる。
無期転換ルールが導入された当時、
私学においてもいろいろと対応がなされたことを覚えています。
その後10年ほどが経過し、無期転換を要望される職員さんがいる一方で、
特にそれを希望しないという方もそれなりにいらっしゃるのが
学校現場ではないかと認識しています。
過去の裁判例では、更新上限条項は有効とされる流れになっている。条項に基づいて雇い止めになった日本通運川崎支店の契約社員が地位確認を求めた裁判で東京高裁は22年9月、「反復更新が5年を超えない限度で短期雇用の労働力を利用することは許容される」などと判示。条項の合法性と効果を認める判断を示した。この高裁判決は今年5月、最高裁で確定した。
こうした裁判例を踏まえ、厚労省は、採用時と更新時に企業が労働者に伝えなければならない事項などを定めた労働基準法施行規則5条を改正した。24年4月から、契約期間や更新回数の上限の有無とその内容の事前明示が義務付けられる。更新上限条項について、事実上「公認」したともいえる。
いわゆる「常勤契約」が業界の常識となっている私学においては、
上で紹介されている上限5年、あるいは3年といった形での
更新上限条項を設けて運用されているケースは少なくないと
思われますが、裁判でもこの条項は有効であると判断され、
来年度からは以下の表に掲げるルールで運用がなされることとなりました。
今回の規則改正で、私学が改めて留意すべきことはそれほど多くない、
という印象です。
が、記事にはひとつの留意点として、
「契約当初からではなく途中で条項を追加する場合」を挙げていて、
この場合には雇用側にとってのハードルが高くなるようです。
岡芹弁護士は、途中で上限条項が追加された場合、裁判所が企業に対し厳しい判断をする可能性があるとみる。3カ月単位など短期の雇用契約を繰り返してきた場合、「裁判所は就労1年を過ぎたあたりから『5年超への期待権がすでに発生している』と考えがちだ。上限条項の新設が有効だと認められるためには、合理的な大義名分が非常に重要になる」と指摘する。
短期の雇用であっても、ひとたび雇い入れた教職員に対しては、
誠実な対応が求められるのは言うまでもありません。
期限付で雇用する際には、必ず雇用前の条件提示の際に、
雇用期間についても双方の共通理解を形成しておきたいですね。
そして、こういったことのひとつひとつが、
校園に対する信頼を高めていくことを肝に銘じてもおきたいところです。
(文責:吉田)