先週金曜日のブログも裁判の話題だったのですが、
本日も裁判所での和解事例です。テーマは部活。
毎日新聞より。
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長崎県内の私立高校で運動部の顧問を務める50代女性職員が、高校を運営する学校法人を相手に、放課後や休日などの部活指導に対する未払いの時間外賃金を求めた訴訟は8日、長崎地裁で和解が成立した。学校側が練習指導など顧問としての活動時間を労働時間と認め、解決金185万円を支払うなどの内容。原告側代理人によると、残業代を巡る訴訟で、学校側が部活の指導時間を労働時間と認めた和解は異例という。
記事によりますと、この職員は1995年から講師として同校に勤務し、
部活を指導していました。2000年に一度雇い止めになったものの、
学校側から請われ、2015年から再び職員として部活指導を実施。
部活強化のため、離島出身の生徒は自宅に下宿させて食事面もサポート、
日中は職員としての仕事をした後、練習の指導や通院の送迎もしていたそうです。
土日祝日も練習や大会がありましたが、月約14,000円の「超勤手当」などが
支給されるだけだったため、職員は2020年9月、請求権が残る2年分の
時間外賃金905万円などの支払いを求めて提訴した、という流れだそうです。
私学においては、部活動の指導時間は労働時間ではない、
との解釈をされている例を時折見かけますが、
人件費の観点からやむを得ないふうにも思えるものの、
原則論としてはやはり無理があるのではないかと言わざるを得ません。
特に部活動を学校の特色の一つとして位置づけている場合においては、
教職員に課される労働、課業としての性質が強くなり、
労働時間であるとの認定がなされやすくなるのではないかと思います。
この点、各校園におかれましては、
くれぐれも労務管理上のご留意をいただきたいところです。
ちなみに、日経新聞にも同じ事案の記事が掲載されていました。
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ここには和解の内容が書かれておりましたので、
その内容を引用しておきます。
原告の代理人弁護士が9日、記者会見した。和解条項では、労働時間を適正に把握し、法定労働時間を超えた場合は割増賃金を支払うことを約束するとした。学校の担当者は取材に「誠意を持って対応し、働きやすい職場環境をつくっていきたい」と話した。
残業の管理は私学経営上、非常に重要なテーマです。
すべての校園で、本気の取組がなされることを期待しております。
(文責:吉田)