これで本当にいいのか、というふうにも思いますが、
少しは状況が改善するのでしょうか。日経新聞より。
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政府は年収が一定額に達すると社会保険料が発生して手取りが減る「年収の壁」の対応策をまとめた。賃上げなどで労働者の収入が減らないよう企業に1人あたり最大50万円を助成するのが柱。今回の対策は3年程度の時限措置で、2025年に予定する制度改正で抜本改革に踏み切れるかが問われる。
年収の壁は、税務にも携わる私として、常々実感する高い壁です。
依然として「103万円」が最も高い壁になっている印象がありますが、
昨今は130万円のほうも意識されるようになってきました。
現状、そして今回の対策について、
記事に付された下表で確認しておきましょう。
最低賃金も上がり、私学をはじめ各事業所で賃上げが進んでいるようですが、
年収の壁のせいで、単価が上がった分だけ就業時間を減らそうとする
労働者側の動きも活発になっている気がします。
制度上、最も大きいのは社会保険料の負担ですが、
年収106万円超で保険料が発生する場合について、
従業員が負担すべき保険料の増加分を手当として支給する、
あるいは基本給の増額と労働時間の延長に取り組むといった企業に
助成がなされるとのこと。
そして、年収130万円が壁となっている場合には、
仮にその壁を越えた理由が、急に残業が増えたといった一時的な収入増なら、
連続2年まで健康保険組合などの判断で扶養にとどまれるようにするそうです。
一方、年収103万円の壁というのは、一般によく言われるのは
本人に所得税が発生する、といった理由なのですが、
それよりも断然影響が大きいのは、
企業が独自に支給している「配偶者手当」で、
この支給基準が税務上の基準となっているケースがとても多いんですよね。
企業に廃止や変更を含めて制度の見直しを働きかけるそうです。
企業がどんな手当を創設するかは自由なはずなのですが、
こういった動きを見るにつけ、各事業所の給与制度のうえでも
いよいよ業務関連性の薄い手当は減っていくことになるのかも、
と感じてもいます。
今回の施策は時限的な措置とのことですので、
今後どのように制度が推移していくかに注視が必要です。
そしてその制度を前提として、各校園とも、
働き手の確保と収支・財務への影響をみておくことが重要でしょう。
(文責:吉田)