撤退の後押し、とは何とも…なタイトルですね。
昨日に続いて大学経営の話題です。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
文部科学省は経営が困難な私立大学の撤退支援策を拡充する。2040年までに大学入学者は2割減る見通しで、600を超す私大は淘汰が避けられない。自主的に規模を縮小した大学への補助金増や再編支援を通じ、大学教育全体の質向上につなげる。
昨日のブログでもグラフをご覧いただきましたが、
今日のグラフは衝撃的な形状をしています。
が、これがおそらく大きく外れはしないであろう、
未来予想図を示しています。
1990年代に500校余りだった大学は規制緩和を受けて急増し、現在約800校に上る。このうち私大は約620校で学生数は約210万人と7割を占める。一方で今春の入学者が定員を下回った私大の割合は53.3%と5割を超えた。赤字も3割に達する。
大学をはじめ、学校の経営が悪化すると、
その場で学ぶ学生生徒に十分な学習環境を提供できなくなります。
一定の質を保つことが必須であり、だからこそ人が育つ場になり得るのです。
経営状況の悪化は当該校園だけの問題ではなく、
社会全体の問題となることを、
今一度すべての校園で自覚する必要があります。
さてこれまでも、文科省は経営難の私大に改善計画を作成させるなど、
経営改善への指導は行ってきています。
しかし今後の入学生数減が確実となる中で、
大学の再編や統合、さらに撤退の議論が避けられないと判断し、
より踏み込んだ対応を行うこととなったようです。
焦点の一つは年間3千億円に及ぶ私学助成の配分方法の変更だ。現在は学生数などに応じて額が決まる。自主的に規模を縮小した大学への助成を厚くして教育の質向上に充ててもらう案などを検討するとみられる。
24年度には、私大が学部を廃止したり定員を減らしたりすることを決めた場合でも在学生が卒業するまで教育の質を落とさずに済むよう補助金を出す事業を始める。
再編支援では、私大が連携や統合の相手を見つけるためのマッチングシステムの開発に同年度中に着手する。日本私立学校振興・共済事業団が持つ各大学の経営情報を活用する。同年度予算の概算要求に盛り込んだ。
最後まで補助金を潤沢に出してもらえるなら、
ここらへんで終わりにしようか…と思う大学があるとは思えませんが、
その場で学ぶ学生の学習環境を維持するという意味では
必要なことなのでしょう。
自主的に規模縮小した大学への助成を厚くする、
というのもどのくらいの程度なのかを記事から察することは難しいですが、
いずれにしても、今後を見据えた規模設定はとても重要です。
定員規模の設定は、施設規模にも教職員規模にも影響を及ぼします。
補助金の制度がどうあれ、未来の自校園の規模について、
しっかりと検討し、方向性や着地点を決めておきたいですね。
もちろん、着地点が「永続」にあることを心から願いつつ。
(文責:吉田)