寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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私大の定員超過抑制へ

本日採り上げるのは休日の朝刊1面に大きく掲載された記事ですので、ご覧になった方も多いかもしれませんね。

朝日新聞より。

 

私大の定員超過抑制へ 文科省検討、大都市で助成厳格化:朝日新聞デジタル

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「入学者数≧定員×130%」かつ「定員≧120%(定員8千人以上の場合)」であれば助成金を交付しない、というこれまでのルール。

この基準をそれぞれ120%と110%に下げる案を軸にして、定員超過を抑制しようとするのが今回の検討課題のようです。

 

文科省が定員超過に対して厳しい態度をとる理由がこの記事にも書かれています。

『教員数が定員数に基づき決まり、定員を超過するほど、教育の質の悪化につながりかねない』

『私大にとっては定員を抑えたままなるべく多くの学生を獲得した方が経営にプラスになるという事情もある』

 

教員数と学生数の比率を一定以上のせよという基準がある限り、後者は当然の帰結です。

前者については高校以下の学校種の場合にはいろいろと考え方はあると思いますが、大学の場合は数百人規模の講義も十分あり得るわけですから、ある程度配慮は必要なのでしょうね。

 

ただ、この政策は教育の質確保、ということがメインテーマではなさそうです。

それはこの記事の冒頭にも書かれています。

『大学生全体の4分の3を占める私大生のうち、5割程度が首都圏に集中している現状を変え、地方の過疎化に歯止めをかけるのが狙い』

 

その証拠に、前述した基準の変更の範囲は首都圏など都市部になる予定、とのこと。

さらに、『定員自体は現在、私大の経営判断である程度自由に設定ができるうえ、国は抑制を強制することはできないが、都市部では定員自体を簡単には増やせないような仕組みも今後検討される見込みだ』とも書かれています。

 

地方に若者を誘導したい、という意図が強く読み取れます。

 

地方出身の私は、地方の活性化はとても大切なテーマだと思っています。

ですが、地方に人が集まりにくいのは、何も首都圏の大学の定員が多いから、あるいは定員以上に受け入れてくれるから、ではないようにも思うのです。

実はこんな記事も朝日新聞には掲載されています。

地方の大学、魅力向上がカギ 私大の定員超過抑制へ:朝日新聞デジタル

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この記事の中で、このような記述があります。

『課題は、首都圏の大学に進めなかった学生が地方私大に行きたくなるかどうかだ。文科省内には、地元の私大よりも、就職に有利な専門学校に行くケースが増えるとの見方もある』

 

地方の大学すべてが定員割れしているわけではありません。

一方で、首都圏でも定員割れしている大学がある。

いったいその差は何なのか。

大学に限ったことではなく、すべての学校が、自らの魅力について考えねばならないのだろうと思います。

そして、これからの人口減社会を見据えた時、大きければそれでよい、ということではなく、自らの教育理念に見合う規模についても、しっかり考察しておく必要があるように感じます。

 

学校の未来設計、御校ではできていますか。