寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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3大都市圏:私大の学生数抑制へ

少し前から気になっていたニュースです。

毎日新聞より。

3大都市圏:私大の学生数抑制へ 文科省、定員超過厳格化 - 毎日新聞

 

今月初めには産経新聞でも採り上げられていました。

私大定員超過を抑制へ 三大都市圏、基準見直し 「地方創生」一環で - 産経ニュース

 

学校においては学生・生徒一人あたりの教員の比率や施設設備の比率などは教育環境確保のために厳格に規定されているところです。

そして、仮に想定している定員を一定割合オーバーしてしまうと、補助金の交付がなされないというきつい罰則があります。

第一志望校になりにくい傾向のある学校にとっては、獲得できる学生・生徒数がどのくらいになるのか、という「読み」はその意味においても非常に重要なわけで、ある程度の学生が他学に「逃げてしまう」ことを想定して合格者数を逆算するという作業が神経質に行われているのが現実です。

 

そのような中で、都市圏の大学に学生が集まりすぎている状況を改善するために議論されているのが今回のニュースの中味です。

入学定員を超えた入学者の割合(定員超過率)について、現在、定員8,000人以上の大規模大学の場合、定員の120%以上になると補助金が交付されないのですが、この「120%」という基準を「110~107%」まで減らすことが検討されているとのこと。

毎日新聞の記事にはグラフで分かりやすく示されていますが、現在、宮城・東京・愛知・京都・大阪・福岡の各都府県では定員充足率が100%を上回る一方、他地域では90%にも及ばないケースがあるので、これをならしたい、というのが政府の意図なのでしょう。

 

まずひとつ、留意したいのは今回の基準設定により学生減を余儀なくされる私学。

大規模私学が多いでしょうから、すぐにどうこうということはないとおもいますが、それでも収支構造が固定化しがちな中で、納付金収入の一部が消失することは経営上看過できないはずです。

しっかりと数字を組み立てたうえで、今後のシナリオを立案していただければと思います。

 

もうひとつ気を付けねばならないのは、三大都市圏には存在するけれど学生が思うように集まっていない私学。

地域ごとの十把一絡げになるため、今後より一層学生が減ってしまう可能性があります。

これは都市圏にあろうがそうでなかろうが同じですが、「なぜこの学校に来なければならないのか」という理由を明確に打ち出せることが、何よりも求められるのではないでしょうか。

 

記事にもある通り、この施策だけで地方の大学に人が流れる、とは考えにくいところがあります。

しかしながら、想定される影響を見通しつつ、それを今後の事業計画にしっかりと反映させるべき、ということは間違いないでしょう。