寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

無駄な会議どう減らす?

生産性を上げる、という観点からよくやり玉に挙がるのが

会議、ではないでしょうか。

貴校園の会議活性化のために参考になる点もあるかもしれません。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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新型コロナウイルス下でウェブ会議が増え、会議の生産性が問われるようになった。サイバーエージェントはウェブ会議の時間を2時間から15分に削減。事前に議題や質問を共有し会議は議論に集中する。出社日をそろえ、対面の会議では雑談を重視してアイデアを引き出す。目的に応じた使い分けが質の高い対話につながっている。

 

記事には具体的な会議の様子も書かれているのですが、そこには

「議題に上がった約10のプロジェクトについて最短15分で結論を出した」

と書かれています。

情報共有ではなく、意思決定が15分でなされていることに

驚きますが、そのポイントは事前準備、と記事にあります。

参加者は前日までに開発進捗や相談内容、会議で決めたいことをクラウド上の共通シートに書き込む。決裁をする上司側も事前に資料に目を通して質問や意見を整理し、会議は真剣勝負の場となる。川又章奈プロダクトマネージャー(30)は「会議直前にやっていた資料作りが前日になっただけで負担は変わらない。意思決定スピードが上がり、開発や企画がスムーズになった」と話す。

 

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会議の活性化と効率化の鍵が事前準備にある、

というのは私も強く共感するところです。

が現実は、その逆であることもまた多い気がします。

会議が始まってから議案に目を通したり、考え始めたりしていたら、

おそらく時間のロスはかなり多くなることでしょう。

資料や議案の説明なしに本題に入り、

かつ全員がそのペースに乗れるのであれば、

15分という時間はそれほど短くはないのかもしれませんね。

 

この記事にはサイバーエージェントの他にも

いくつかの企業の例が掲載されています。

その中でも最後に書かれていた以下の文章が印象深く感じました。

日立コンサルティングの落合規幸ディレクターは「課長職は1日の6割の時間を会議に費やす」と指摘する。多くの人数が出席する会議の改革ができれば、巨額の設備投資をせずとも生産性向上につながる。

 

ちなみに、この記事にはこんな意見募集もされていました。

www.nikkei.com

 

こちらについては、お2人の意見が書かれた図表が載っていましたので、

そちらをご紹介しておきましょう。

 

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会議には必ず目的があるはず。

逆に言えば、目的が不明確になってしまった会議は無駄が多い、

と言えるかもしれません。

貴校園の各会議の目的を改めて確認し、

その目的に相応しい進め方を検討いただければ、

おそらく無駄な会議はなくなることでしょう。

 

(文責:吉田)

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平均賃金、月30万7400円 昨年、男女差は最少

本日のブログは短信でまいります。

日経新聞より。

 

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先月25日、厚生労働省が公表した、

2021年の賃金構造基本統計調査によりますと、

一般労働者の平均賃金は前年比0.1%減の月307,400円で、

前年増えた反動で8年ぶりに減ったとのことです。

ちなみに、男女別では男性が337,200円、女性が253,600円となり、

男女間の賃金格差は過去最少となったと報じられています。

 

新聞の記事としてはここまでなのですが、

調査結果にあたってみたところ、

企業規模別の調査結果が掲載されていましたのでそちらもご紹介しますと、

 大企業 339.7 千円、中企業 299.8 千円、小企業 279.9千円

となっています。

やはり企業規模は賃金に大きな影響を与えますね。

 

そして、年齢による賃金推移はこんなふうになっています。

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50歳代が最も高くなっていますが、

50歳以降はほとんど賃金上昇がないという点は、

私学の今後の賃金設計においても念頭に置いておきたいですね。

 

他にもいろいろと統計が掲載されていますので、

以下に原典のリンクを貼っておきます。

ぜひ一度ご覧ください。

 

令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

 

(文責:吉田)

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高校教科書、主体的学び深く 23年度から

先週も新学習指導要領の話題を採り上げたのですが、

本日は来年度、2023年度からの高校教科書の話題です。

日経新聞より。

 

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文部科学省は(3月)29日、2023年度から主に高校2年生が使う教科書の検定で239点が合格したと発表した。新学習指導要領に対応し、生徒自らの「主体的な学び」を促す内容が増えた。教育界では理念先行による改革の失敗が繰り返されてきた。高校教育を変えるには教科書だけでなく、大学入試の改善や教員の指導力向上なども求められる。


今年度から適用される新学習指導要領は、

暗記重視から思考力、表現力重視へと転換するところが

大きな目玉になっていますよね。

数年前から一般的な用語になってきた

「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング、AL)」

が進められることになります。

各教科の教科書でも探究型学習を行うための記述が増えているようで、

記事にもいくつかの例が書かれています。

 

ところが、これが本当に進んでいくのか、といえば、

「大学入試」が変わらなければそうはならない、という見方もあります。

思考力や表現力を測るには記述式問題が有効とされる。国公立大2次試験は記述式問題が多いが、大学入学共通テストへの導入は採点の公平性などへの懸念が出て頓挫。私立大の個別試験は約半数が選択式のみとなっている。

ALは生徒が社会に出た後に自ら考えて行動する土台を養う狙いがある。全ての高校生が大学に進むわけではないが、暗記力で合否が決まる入試が多ければ探究型学習の本格展開は難しくなる。

 

そして、教員の指導力向上も課題だ、と記事は指摘しています。

早稲田大の田中博之教授(教育方法学)は「物事を提案したり解決したりする力を身につける上で主体的な学習は重要だが、高校のモデル授業の蓄積はまだ不十分だ」と指摘する。

先行する神戸大付属中等教育学校は教科ごとに探究型学習のリーダー役となる教員を配置し、授業計画などを練る。

 

さて貴校園での新指導要領への取組はどうなる予定でしょうか。

進学実績が次年度の生徒募集に少なからぬ影響を与える中で、

大学入試を意識しないわけにはいかないと思いますが、

生徒の生きる力を養うという観点で必要なカリキュラムが

実践されるように工夫が必要なのかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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起業家教育は若年層から

昨日のブログは教科・情報の話題でしたが、

本日は起業家教育。新しい教育テーマが続きます。

日経新聞より。

 

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自治体が主導する若年層向けの「起業家教育」が首都圏で広がっている。新型コロナウイルス禍をはじめ、社会情勢が目まぐるしく変わる中、課題や需要を捉えて仕事につなげられる力を若年層に身につけてもらう狙いがある。

 

記事にいくつかの自治体の例が登場します。

 

まずは千葉市

千葉市千葉大は2010年から毎年、

小学生向けの起業体験プログラムを開いていたのですが、

その対象を広げようということで、産学官計13者が共同で

市内の小中高校生向けに起業家精神を養う教育事業が始まりました。

今年2月に開いたシンポジウムには、オンラインも含め

約130人が参加したそうなのですが、うち6割が高校生以下の保護者。

当日のパネルディスカッションのテーマは

「子どもが『稼ぐ力』を身に付けるために親ができること」。

こういったテーマが関心を引いたのかもしれません。

 

そして東京都は2020年度から児童生徒を対象にした「起業家教育プログラム」を、

応募があった都内小中学校7校で開始しました。

学校側の希望を取り入れながら作成するカリキュラムに沿って、

会社の設立や商品開発、販売などを子どもたちが実践的に学ぶそうです。

都は「2030年の開業率12%」を目標にしているそうで、

これは2019年度の開業率4.8%と比べればかなりの上積みです。

都の担当者は「開業率は海外に比べて低い。近年は個人商店が減り、子どもが商売を学ぶ機会も減っている。起業家の裾野を広げるためにも、教育プログラムを多くの学校に広めていきたい」と話す。

 

なるほど、個人商店は確かに減っていますから、

身近に商売を学ぶ機会というのは以前より少なくなっているのかもしれません。

そのことが直接的に開業率に影響しているかどうかは分かりませんが、

進路のひとつの選択肢として起業を位置付けることは

悪くないことのようにも感じます。

 

この記事には他にも埼玉県や横浜市の例が紹介されていて、

首都圏では確かに取組みが広がっているように感じました。

他の地域ではいかがでしょうか。

また貴校園はいかがでしょうか。

教育内容がどんどん幅を広げているので、その対応だけで目一杯、

という状況も考えられますが、少なくともアンテナだけは張って、

よりよい教育環境の実現を継続的に図っていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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情報教育、基礎教養から

工学博士である先生からのご指摘であるところが興味深い記事です。

日経新聞より。

 

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この記事で語って下さっているのは、東大名誉教授の西垣通氏。

記事のプロフィールによりますと、東大工学部計数工学科卒の工学博士で、

日立製作所などでコンピューターソフト開発に携わった後、

東大教授などを歴任、となっています。

 

先日のブログでもご紹介したとおり、

本年度から情報科が高校の必修科目になり、

2025年からは大学入学共通テストで「情報」が必須科目となります。

そのような中で、西垣氏はこのような指摘をされています。

「教育の拡充はたいへん望ましいことです。しかしながら、必要な文理融合ができていない。内容がプログラミングなどの理系(工学系)のデータ処理に偏りすぎているのです。職業としてのプログラミングには向き不向きがあります。その能力を国民全員に求めるのは無理です。文系学習として、出会い系にアクセスしないといった情報モラルを教えるようですが、あまりに表面的すぎます」

「もっと根本的なことを教えてほしい。情報社会でいかに生きていくか。そのための基礎的な教養が教えられていない。いまインターネットの世界では、サイバー犯罪が横行していますが、対策を個人だけに求めるのは限界がある。どうすれば中傷や詐欺などを防ぐ公共ルールをつくれるか。安全安心なネット活用ができるシステムにするか。みんなで考えるための基礎を学ぶことが大切です」

 

情報の取扱いや加工はあくまでも手段であり、

情報の本質、基礎を学んだうえでないと、

情報に支配されてしまいかねない、との指摘です。

では情報の本質とは何か。西垣氏はこうおっしゃいます。

 

「情報は生命活動から生まれるのです。動物は、敵が来たとか食べ物があるとか、身体と結びついた生命的な情報を交換しながら生きています。動物的本能をもつ赤ちゃんが、話し始める。そうして生まれる社会的な情報を、効率的に伝えるために、機械的なデジタル情報があるのです」

「もともと生き物である人間は、生命的情報を大事にすることで生きてきた。そこから、機械的な情報が出現する。いまは順番が逆で、機械的なデジタルデータの処理だけを重視する傾向が強すぎる。しかし、根本を忘れてしまうと、いったい自分が何のために生きているのか、見失うことにもなりかねません」

 

さらに西垣氏は、情報学に必要なのはむしろ文系の学問であり、

心や社会とどう向き合うかを扱う心理学や社会学、法学などと

連携して初めて、人間にとって情報が持つ意味が見えてくる、

と指摘しています。

確かに、情報は私たちがよりよく生きるためにこそ

活用されるものであると言えますよね。

 

そうなると、ICTとは一見縁遠い方々にこそ出番が回ってくることになります。

「確かに、文系の情報学とコンピューター工学とはちょっと距離がある。高校では公民や国語の先生たちに期待したいが、必ずしも、IT(情報技術)に興味がなかったりする。新たな道は、情報教育に対する考え方の根本的見直しから始まるのではないでしょうか」

 

高校で学ぶ情報科に、このような観点は含まれているでしょうか。

今一度、貴校園のカリキュラムをご確認いただき、

情報の本質を知る人材育成を進めていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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中高生の夢「好きなこと仕事に」

先月の記事ではありますが、新年度らしい、

未来の話題をご紹介します。日経新聞より。

 

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ソニー生命が2021年6月に全国の中高生計1000人を対象に実施した将来の夢についての意識調査では「好きなことを仕事にする」との回答が中学生(39.0%)、高校生(45.3%)ともにトップだった。

 

上の引用にもある通り、この調査は去年6月実施。

結果もその2か月後にはプレスリリースされていますので、

このタイミングで新聞記事になったことに

少し不思議な印象もあるのですが、まあそれはさておき、

調査結果の概要をまとめた下表をご覧いただきましょう。

 

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そして、この調査で具体的な職業についても聞いているのですが、

男子中高生は「ITエンジニア」や「ゲームプログラマー」、

女子中高生は「美容師」や「デザイナー」といった職業を挙げる

割合が高かったとのこと。

この結果を受けて、日経新聞の記事では

【自身の情熱を注げる職に就きたいとの考えが強いことがうかがえた】

【専門性の高い職種が目立った】

と書かれており、そのうえでこのようなまとめがなされていました。

夢の実現には本人の努力が欠かせない。職業体験などを通じて学校の勉強と仕事の結びつきを知ってもらい、学習意欲を高めるキャリア教育の重要性が増している。

 

なるほど、そうかもしれないな、と思い、同時に、

ふと以前にも同じような調査がなされていたことを思い出し、

その結果と比べてみたらどうなるか、と興味がわきました。

すると、ネット上に2019年時点の調査結果が残っていました。

NEWS LETTER (調査レポート)

 

さて、この2年で「好きなことを仕事に」という中高生は

どのくらい増えたのでしょうか。

全回答者(中学生 200 名、高校生 800 名)に、将来の夢を聞いたところ、中学生では「好きなことを仕事にする」(49.0%)が最も高く、次いで、「素敵な相手と恋愛・結婚する」(48.5%)、「あたたかい家庭を築く」(47.5%)、「安定した毎日を送る」(44.5%)となりました。
男女別にみると、男子では 1 位「お金持ちになる」(43.0%)、2 位「素敵な相手と恋愛・結婚する」(40.0%)、3 位「安定した毎日を送る」(39.0%)、女子では 1 位「好きなことを仕事にする」(63.0%)、2 位「素敵な相手と恋愛・結婚する」「あたたかい家庭を築く」(いずれも 57.0%)となりました。

 

むむむ。好きなことを仕事にする、を選んだ割合は大きく下がっていますね。

その他の選択肢を選んだ割合も下がっているようですので、

どのように評価するのが適切なのか分かりませんが、

日経新聞の結論は果たして妥当なのだろうか、と考えてしまいました。

 

この記事の副題は「専門性高い職種人気」となっています。

専門性を意識しての結果なのか、あるいは進路の選択肢が

目立つ職業に限定されてしまっているからなのか。

学校で進路について学ぶ機会は貴重な気がしますがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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評議員会の位置づけ維持 文科省委

ウォッチを続けている私学ガバナンスの続報です。

文科省の特別委員会の近況が掲載されていました。日経新聞より。

 

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学校法人のガバナンス(組織統治)強化策を検討する文部科学省の特別委員会は(3月)29日、大学や短大を運営する法人の場合、評議員会が合併・解散といった重要事項の議決権や理事の解任請求権を持つとの報告書を公表した。評議員会が理事会の諮問機関であるとの位置付けは変わらないが、権限を強化してチェック機能を高める。

 

今回の報告書では、

  • 理事会を意思決定機関とする現行制度を維持
  • 評議員会の議決が必要となる重要事項は、合併や解散のほか、学校法人の根幹に関わる規則の変更など
  • 不祥事があっても理事が辞めない場合を想定し、評議員会に解任請求権を与える

といった内容が盛り込まれているとのことで、

先日ご紹介した情報とほぼ同じ内容と受け止めています。

 

やはり昨年12月に同省の有識者会議がまとめた改革案からは

大幅に変わってしまうようですね。

今後も引き続き、議論の内容を見届けていきたいと思います。

 

(文責:吉田)

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