寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

様々なリスクへの対応

このブログでも何度かご紹介させていただいた記事です。

連載の最終回に当たる今回の記事もぜひ共有させてください。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

 

最近は、学校でも話題の中心はコロナ禍のこと、

にならざるを得ないのが現実ですよね。

そして近年は自然災害もひっきりなしですし、それだけでなく、

情報セキュリティーが脅かされるケースなども出てくるなど、

学校のマネジメントではリスク対応がとても重要になってきています。

筆者はこうおっしゃいます。

 

我が国では「リスク」を損失や目標達成を妨げる可能性とみなし、負の影響を避けるという防御的な意味合いで使用しがちです。しかし、リスクは負の影響だけでなく、正の影響を見過ごす、ということも含みます。先のSWOT分析の脅威Tだけでなく、機会Oにも対応し、的確に行動するのがリスク管理です。新学部の創設で、新しい教育需要を取り組む機会を逃すこともリスクなのです。

 

なるほど、今回のコロナ禍でも、オンラインの学習整備が一気に進むなど、

正の影響も確かにありました。

リスクとひとくちにいっても、いくつかの種類やパターンがあるのかもしれません。

 

リスク管理には予防・回避軽減、危機対応及び復旧の段階があります。もちろん、事前に回避することが最大のリスク管理です。予測可能で内部で統制できるハラスメントや入試のミス等については、抑止・予防できるシステムを整備しておくことが必要です。

大学側で統制できないものでも、事前予測できる台風や豪雨等に対しては避難指示が可能です。予測が困難とされる地震等についても耐震対策や避難訓練をしておくことが重要です。不祥事などでリスクが顕在化したときは迅速に情報開示し、社会的な説明責任を果たすことが、信頼回復にもつながります。

 

 

貴校園では、どんなリスクを想定されているでしょうか。

そして、それぞれに対して、適切な向き合い方がなされているでしょうか。

こういう時期だからこそ、リスクを回避するというだけでなく、

それもまた教育の材料とするくらいのしたたかさと余裕を持って、

学校経営を進めていきたいものです。

 

(文責:吉田)

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オンライン学習、小中向け端末配備に遅れ

何とかして学習の機会を…という中で、

なかなか環境整備が進まないようです。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

新型コロナウイルスの感染再拡大をにらみ、政府が配備を急ぐ全小中学生へのパソコンやタブレット端末で、全国主要市区の8割が年内に調達を終えられないことが日本経済新聞の調べで分かった。配備の遅れは学習を続けられない「空白」を招く恐れがある。教育格差を防ぎ、デジタル人材の育成で世界に追いつくには対応が急務だ。

 

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端末さえあれば何とかなる、というものではありませんが、

一方で端末の有無が学習の進捗に与える影響は

決して小さくないようにも思います。

公立校では今年度の学びがどうなるか不透明な中、

さて私学である貴校園の状況はいかがでしょうか。

 

先日訪問した学校で、アフターコロナの学校のあり方について、

管理職各位と意見交換をさせていただきました。

その中で、中高の現場がコロナ以前に戻ろうとしている、

との指摘があったのが印象的でした。

 

対面でできるならすべて対面で、というのは、

今回のコロナ禍が活かされていないような気がします。

オンラインの良さ、あるいは映像授業の良さは必ずあると、

数多くの先生がおっしゃっているのも耳にしています。

今後を見据えれば、学習に適したツールや方法論の選択を行い、

よりよい学びを実現していくことこそが

学校のなすべきことのような気がします。

 

 

端末の有無や通信環境の良否を議論するのはおそらく今年度だけでしょう。

今後は「形を整える」ことから「中身を整える」ことへと

シフトしていくことは間違いありません。

それを見据えて、特に私学の皆さんには、

様々なツールを教育内容に照らして適切に選択するという、

次のステージの準備を着実に進めていただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

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教員免許法 改正の方針

教員免許のあり方は今後どうなっていくのでしょうか。

見通しについて触れた記事が出ておりました。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

萩生田光一文部科学相は(7月)22日の衆院文部科学委員会で、児童生徒へのわいせつ行為で教員免許が失効しても3年後に再取得を可能としている教員免許法を改正する方針を示した。「私の責任で、できるだけ速やかに法案を提出することを念頭に進めていきたい」と述べた。自民党池田佳隆氏への答弁。

 

実は最近、こんな記事も出ていたんですよね。気になりました。

同じく日経新聞より。

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学校教員による性暴力が増加している。わいせつや性的言動で処分された教員は2018年度、過去最多の282人で被害者の49%に当たる138人は勤務校の児童生徒や卒業生。専門家は「先生と子どもで圧倒的な力の差があり、性暴力のリスクを常にはらむ」と指摘する。教員の処分情報が共有されず、他地域で再び教壇に立てる点も疑問視されている。

 

冒頭引用させていただいた記事を読んでみますと、現在文科省では、

子どもたちにわいせつ行為をした教員は原則として懲戒免職とするよう、

教育委員会などに要請しているそうです。

さらに政府は今年6月、性犯罪・性暴力対策を強化する方針を決定し、

教員免許に関しても厳しく見直す方向で検討するとしています。

 

 

教員は立場上、子どもたちからの憧れを集めやすいもの。

最も身近な存在として、子どもたちを守るべき立場にありながら、

その自制が利かない教員はやはり学校現場に相応しくないでしょう。

一方で、厳罰は事後的、対処療法的であることは否めません。

学校が健全な場であるために、法整備はもちろんのこと、

各校園での研修や研鑽も求められるところではないでしょうか。

根本的な課題解決が図られますようにと願っております。

 

(文責:吉田)

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キャンパスデザインと維持管理

以前から何度か紹介させていただいている、日経新聞の連載記事、

「ポスト・コロナ時代の大学経営」。

今回は施設についてです。

 

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 (有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

いきなりですが、貴校園はどんな立地ですか?

大まかに言えば、学校の立地は「市街地」か「郊外」か、

ということになります。

市街地であれば通学や通勤に便利な一方、十分な空間を得るのが難しく、

郊外ならその逆、というのが通例ですね。

しかし、この記事の筆者はこう指摘しています。

 

ポスト・コロナ時代では、安全な環境と良好なアクセスの双方を満たすことが、キャンパスの魅力となり、優秀な学生・教職員をひき付けます。一方、日本学術会議の2017年報告書で「大学キャンパスに国際競争力がある」と答えたのは、調査対象の国公私立大学の約4%です。留学生を増やすうえでもキャンパスの見直しが必要です。

 

一見矛盾する2つのことをどうやって満たすのか。

そのために必要なのが「計画」です。

 

施設をいかなる理念でデザインし、配置・整備・維持管理するかはキャンパス・マスタープランと称され、大学のアカデミックプラン(中長期の計画)や資源計画との調和が求められます。どのような教育研究活動のために、どんな施設をいつまでに整備するか、財源をどう確保するかを考えないと「絵にかいた餅」になります。

 

キャンパスマスタープランを策定する、というのはまさに

施設マネジメントを実行することを意味します。

そして筆者は、施設マネジメントの基本として

・スペース(面積)

・コスト(整備・維持管理費)

・質(性能)

の3要素を管理することを挙げておられます。

施設には耐用年数があり、しかも相当の期間に及ぶのが普通ですから、

その間に必要な機能や広さが変化することもあります。

そのような状況に備えるとすれば、

そもそも施設を柔軟な構造にしておくこともまた必要かもしれませんね。

 

他にも筆者はこんなことを述べておられます。

共有スペースについては、施設の有効活用を促すことなどを目的として、利用面積に応じて料金を課す「スペース・チャージ」の導入が広がっています。さらに、あらゆる関係者が集い、創造活動を展開できるイノベーション・コモンズとして活用されることも期待されています。

コストも増減築・廃止を考慮した視点が求められます。図書館は学術情報基盤の中心ですが、図書館運営費は国公私ともに10年間で1割超減少しており、対策が急務となっています。アイルランドのトリニティ・カレッジや、ポルトガルコインブラ大学の図書館は、観光地としても有名です。わが国でもキャンパスの観光活用が検討されてよいでしょう。

 

学校施設を公共のものとし、しかも資産運用的な観点も持たせるということ。

これは今後、私学の収入が限定される中で検討の価値があるのではないでしょうか。

安全を確保しつつ、効率的な施設管理を目指したいですね。 

 

(文責:吉田) 

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高卒の初任給、4年連続プラスで最高に

高卒人材が求められている、という記事を見つけました。

日経新聞より。

 

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民間シンクタンクの産労総合研究所(東京・千代田)の調査では、2020年入社の高卒初任給の平均は4年連続で前年比プラスとなり、16万9687円で過去最高だった。電機大手などで若手人材を囲い込む動きが鮮明だ。一方、コロナ禍で足元の採用活動に支障が出ており21年春採用に不安の声も上がっている。

 

ちなみに、前年からの伸び率で見ますと、高卒初任給は0.71%増。

大卒初任給は0.50%増で、高卒の伸び率が大卒を上回っています。

若手の確保が経営上の大きなテーマになっているものと思われます。

 

ただ、この記事には少し気になることも書かれています。

コロナ禍の影響です。

4~5月の企業の学校訪問が実施できず、情報提供が十分にできないなどの支障も出ている。今年は1カ月遅れの10月に選考が始まるが、「21年春卒は必要な人材確保が難しい」(食品メーカー大手)という声もある。

 

 

このことに関連して、こんな記事もありました。

同じく、日経新聞より。

 

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新型コロナウイルス禍を受け、企業が高卒採用に頭を悩ませている。例年4~5月に行っていた学校訪問が休校で実施できず、7月の求人票公開を前に十分な情報提供ができていないからだ。2021年春卒は必要な人材を確保するのが難しく、ミスマッチで離職率が高まる懸念もある。

 

高卒者の就職活動のスケジュールは以下の通りです。

 

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三者面談が実質的な意思決定の場ということのようで、

4・5月の重要性が高いことがよく分かります。

これが不十分になれば、就職そのものが苦しくなることも当然懸念されますが、

それ以上に、就職後のミスマッチが心配されるとのことです。

企業への理解が不十分なまま応募すると、ミスマッチが起きる可能性が高まる。高卒の入社後3年以内の離職率は4割と大卒(3割)に比べて高く、ミスマッチが増えれば離職率を引き上げかねない。

 

いろいろなところに影を落とすコロナ禍。

子どもたちの輝かしい未来を実現できるよう、

学校も学校以外の大人たちも、全力で支援したいですね。 

 

(文責:吉田)

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「退職給付」採用減る傾向

退職金についての考え方はずいぶん変わってきているようです。

日経新聞より。

 

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私学ではほとんどがその制度を持っているであろう、退職金。

ですが、近年は退職金制度が減ってきている、という記事です。

 

手厚い退職給付制度を持つ日本企業は減る傾向にある。経済産業省が2019年に厚生労働省の調査などからまとめた労働市場に関するリポートによると、18年時点で退職一時金を含めた給付制度のある企業は8割弱。約9割だった1989年と比べ、少しずつ見直しが進んでいる。

 

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本件調査結果を示しているのが上のグラフです。

2018年時点での退職金に関するしくみは、

・退職一時金制度のみがある企業=約55.2%

・退職年金制度のみ=7.6%

・両制度の併用=15%

・退職給付制度がない企業=22.2%

 

そしてもうひとつ、興味深いのが平均給付額の減少です。

2017年度時点の平均額は以下の通りです。

・従業員数1千人以上の大企業=2,681万円(2007年比334万円減)

・50人以上、100人未満の企業=1,298万円

 

私学経営で私が気になっている点のひとつが、この退職金のことです。

通常、私学の場合には、退職金の運用は関係団体が行っていることが多く、

しかもその関係団体による給付額に上乗せして退職金が支給される、

というケースもまた多いように感じます。

さらに、その支給水準も大企業並みのことが多く、

経営の圧迫要因の一つになっていることもあります。

 

初任給の上昇や定年延長等で、1人あたりのトータルの人件費は

上昇傾向にならざるを得ない経営環境の中、

これまでと同程度の退職金を確保することはなかなか難しいでしょう。

一方で、退職金制度を変えるためには、既得権保護を考慮すれば、

気の遠くなるような時間がかかります。

さらに、若い世代は退職金の多寡よりも、

現役としての処遇を意識している点も

退職金制度の重みを変化させているように思います。

 

学校が得ている収入を、どんなふうに配分するのが望ましいのか。

退職金制度もまた、その考えの中で適切なあり方を模索する必要があると

強く感じている今日この頃です。

 

(文責:吉田)

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コロナ時代の学校空間

「3密を避ける」がキーワードのコロナ禍。

学校空間でもそのような取組が日々なされていることでしょう。

環境整備をどう進めるのか。そのヒントがあればと願っています。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

子どもが下校した後の校舎に約20人の保護者が集まった。7月上旬、東京都江東区の区立明治小学校。ぞうきんを手に各教室に分かれた父母たちが始めたのは机などの消毒だ。当初は教員の仕事だったが、6月末からPTAのボランティアが肩代わりしている。

 

記事に登場する小学校の校長も、

「消毒にかかっていた1時間を授業の準備などに使えるようになったのは大きい」

とおっしゃっています。

日常で消毒活動を続けておられる学校現場の皆様には本当に頭が下がります。

と同時に、それを何とかするための方法として、

私学でも同様のことはできないか、と感じた次第です。

 

そして、この記事は「そもそも教室の大きさはどうなんだ」というところに

問題提起をしています。

 

小中学校の教室の面積は明治時代に「4間×5間」が定着した。1間は1.82メートルだから約66平方メートル。戦後は校舎の鉄筋コンクリート化が進み、8メートル×8メートル(64平方メートル)の教室が増えた。文科省施設助成課によると、現在も教室の平均的な大きさは64平方メートルほどで変わらないという。

感染防止の徹底には、教室を広くするかクラスの少人数化が必要だ。空間のゆとりと多様性が求められるのではないだろうか。

学校建築計画が専門の長沢悟・東洋大名誉教授は「1人当たり3平方メートルぐらいがちょうどよい」と指摘する。心理実験や学校施設の実態調査から導かれた数字で、この程度の広さがあると子どもは柔軟にグループを作ることなどができ、多様な学習活動に取り組める。64平方メートルの教室では、およそ20人学級となる。

 

8m×8mの教室は確かに見慣れた広さだと感じます。

が、その大きさなら20人学級が適切、というのはさすがに驚きました。

 

学びの多様化はどんどん進んでいく一方で、

教室の大きさはそう簡単に変えられませんから、

中長期の施設設備計画において、

貴校園なりの必要な広さを確保できるように順次整えていくことが

求められそうですね。

 

(文責:吉田)

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