以前から何度か紹介させていただいている、日経新聞の連載記事、
「ポスト・コロナ時代の大学経営」。
今回は施設についてです。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
いきなりですが、貴校園はどんな立地ですか?
大まかに言えば、学校の立地は「市街地」か「郊外」か、
ということになります。
市街地であれば通学や通勤に便利な一方、十分な空間を得るのが難しく、
郊外ならその逆、というのが通例ですね。
しかし、この記事の筆者はこう指摘しています。
ポスト・コロナ時代では、安全な環境と良好なアクセスの双方を満たすことが、キャンパスの魅力となり、優秀な学生・教職員をひき付けます。一方、日本学術会議の2017年報告書で「大学キャンパスに国際競争力がある」と答えたのは、調査対象の国公私立大学の約4%です。留学生を増やすうえでもキャンパスの見直しが必要です。
一見矛盾する2つのことをどうやって満たすのか。
そのために必要なのが「計画」です。
施設をいかなる理念でデザインし、配置・整備・維持管理するかはキャンパス・マスタープランと称され、大学のアカデミックプラン(中長期の計画)や資源計画との調和が求められます。どのような教育研究活動のために、どんな施設をいつまでに整備するか、財源をどう確保するかを考えないと「絵にかいた餅」になります。
キャンパスマスタープランを策定する、というのはまさに
施設マネジメントを実行することを意味します。
そして筆者は、施設マネジメントの基本として
・スペース(面積)
・コスト(整備・維持管理費)
・質(性能)
の3要素を管理することを挙げておられます。
施設には耐用年数があり、しかも相当の期間に及ぶのが普通ですから、
その間に必要な機能や広さが変化することもあります。
そのような状況に備えるとすれば、
そもそも施設を柔軟な構造にしておくこともまた必要かもしれませんね。
他にも筆者はこんなことを述べておられます。
共有スペースについては、施設の有効活用を促すことなどを目的として、利用面積に応じて料金を課す「スペース・チャージ」の導入が広がっています。さらに、あらゆる関係者が集い、創造活動を展開できるイノベーション・コモンズとして活用されることも期待されています。
コストも増減築・廃止を考慮した視点が求められます。図書館は学術情報基盤の中心ですが、図書館運営費は国公私ともに10年間で1割超減少しており、対策が急務となっています。アイルランドのトリニティ・カレッジや、ポルトガルのコインブラ大学の図書館は、観光地としても有名です。わが国でもキャンパスの観光活用が検討されてよいでしょう。
学校施設を公共のものとし、しかも資産運用的な観点も持たせるということ。
これは今後、私学の収入が限定される中で検討の価値があるのではないでしょうか。
安全を確保しつつ、効率的な施設管理を目指したいですね。
(文責:吉田)