退職金についての考え方はずいぶん変わってきているようです。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
私学ではほとんどがその制度を持っているであろう、退職金。
ですが、近年は退職金制度が減ってきている、という記事です。
手厚い退職給付制度を持つ日本企業は減る傾向にある。経済産業省が2019年に厚生労働省の調査などからまとめた労働市場に関するリポートによると、18年時点で退職一時金を含めた給付制度のある企業は8割弱。約9割だった1989年と比べ、少しずつ見直しが進んでいる。
本件調査結果を示しているのが上のグラフです。
2018年時点での退職金に関するしくみは、
・退職一時金制度のみがある企業=約55.2%
・退職年金制度のみ=7.6%
・両制度の併用=15%
・退職給付制度がない企業=22.2%
そしてもうひとつ、興味深いのが平均給付額の減少です。
2017年度時点の平均額は以下の通りです。
・従業員数1千人以上の大企業=2,681万円(2007年比334万円減)
・50人以上、100人未満の企業=1,298万円
私学経営で私が気になっている点のひとつが、この退職金のことです。
通常、私学の場合には、退職金の運用は関係団体が行っていることが多く、
しかもその関係団体による給付額に上乗せして退職金が支給される、
というケースもまた多いように感じます。
さらに、その支給水準も大企業並みのことが多く、
経営の圧迫要因の一つになっていることもあります。
初任給の上昇や定年延長等で、1人あたりのトータルの人件費は
上昇傾向にならざるを得ない経営環境の中、
これまでと同程度の退職金を確保することはなかなか難しいでしょう。
一方で、退職金制度を変えるためには、既得権保護を考慮すれば、
気の遠くなるような時間がかかります。
さらに、若い世代は退職金の多寡よりも、
現役としての処遇を意識している点も
退職金制度の重みを変化させているように思います。
学校が得ている収入を、どんなふうに配分するのが望ましいのか。
退職金制度もまた、その考えの中で適切なあり方を模索する必要があると
強く感じている今日この頃です。
(文責:吉田)