私学では、修学旅行も海外が一般的になってきましたね。
コロナ禍のときのICT環境と同じように、
形式が整った後は中身が問われるようになります。
海外で何を学ぶのか。日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
大学が探究型の海外実習を設ける動きを加速している。学生が自ら課題を発見して解決を目指すのが特徴で、語学力の向上だけを目的にせず、現地での主体的な学びに主眼を置く。学生の興味や関心を深掘りすることにより、国際的な視野を持ち、様々な社会課題の解決に取り組む人材を育てるのが狙いだ。
この記事で紹介されているのは、上にもある通り、大学での海外実習です。
実例もいくつか掲載があり、例えば大阪経済大学ではこの4月、
探究型の海外実習に参加できる新学部の国際共創学部を設け、
1年次に必修でハワイへ3週間の短期留学をして英語力を磨き、
2年次以降は国内外での約1週間のフィールドワークを選択するとのこと。
タイでのプログラム、ベトナムでの1週間のフィールドワークなどが
設定されているそうです。
立命館大学では全学部を対象に、
特定の課題の解決策を探る留学制度が設けられていて、
あらかじめ大学が用意したSDGsに関連するテーマごとに
チームに分かれて行動するそうです。
実習地の一つであるマレーシアでは、
英国や中国から参加する学生を交えた多国籍チームで行動し、
例えばゴミの堆肥化について探究するチームは、
農村に滞在し、堆肥化から流通に至る流れを調査。
学生は現状と課題を分析し、最終日に改善案をプレゼン、
という流れでプログラムが進んでいくとのことです。
学生の留学に対する意識は変化しつつある。円安や新型コロナウイルス禍で広まったオンライン留学などの影響で、現地への留学を志す学生は減っている。
ベネッセ教育総合研究所が21年に学生を対象に調査したところ、現地留学を「とてもしたい」「まあしたい」と答えた人は9年前に比べ5.9ポイント減った。その一方、留学をしたい理由に「ボランティアをしたい」と答えた人は同2.5ポイント拡大、「海外で働く経験」も同0.8ポイント増えた。留学に語学力以外の付加価値を求める傾向が読み取れる。
大学生に限らず、中高においても、海外での学びに興味を示す
子どもたち、あるいは保護者は相当数いらっしゃることでしょう。
これは私学のほうが公立校よりも割合が高いだろうとも推察されます。
一方で、長期の留学となれば、費用のこと、進路のことなど、
気になることも増えるだろう、とも思います。
今回記事で紹介されているような、短期間で国際交流もでき、
課題発見から解決案を発表する場まで設けた探究型の海外実習は、
おそらく魅力的に映るでしょうね。
一方で、と記事は続けます。
大学が探究型の海外実習の中身に手を入れる塩梅(あんばい)は難しい。短期間でも新しい環境での探究経験は、自身の専攻や就職後に応用する糧になり得る。とはいえ、大学側が課題を発見しやすく、解決案も見つけやすいようにレールを敷いてしまうと、学生が自走力を損ない、本来の目的である課題発見力が育たない恐れがある。
ちなみに、経済産業省の「未来人材ビジョン」では、
2050年の労働市場では「問題発見力」が最も高く求められる、
と推測されています。
AIの得意分野はAIに任せて、人間の得意分野に特化する、
という社会が目の前まで来ています。
学びの中身も変わっていく必要性を感じますが、
さて貴校園は今後の教育内容についてどう考えられますでしょうか。
想像力をたくましくして、子供たちの成長を促す教育を
ぜひとも実現していただきたいと願っています。
(文責:吉田)