国家予算の概算要求が出そろいましたね。
限りあるお金をどのように分配するのか。
私学としても興味津々の話題です。
そのようなタイミングで、以下のような報告が出されました。
文科省HPより。
教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて―国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書―:文部科学省
この報告書の概要版がこちら。
教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて―国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書―(概要)
今回は概要版を引用しながら、この報告書の内容を確認してみましょう。
まずは報告の目的から。
概要版では「改革の目的」と表題が付されています。
教員需要の減少期の到来の一方で、教員としての専門性の高度化が求められる今日、我が国の教員養成の中心的な役割を果たすべき国立教員養成大学・学部等が、限られた資源の中で、エビデンスに基づいて教員養成機能を着実に高め、我が国の学校教育全体の質の向上をリードすること。
キーワードは太字にさせてもらった3点ではないかと私は考えます。
以下、「教員養成機能の強化」と題した箇所に記載されている、
改善・改革の具体的な内容です。
○確実なPDCAサイクルの実現
教員養成における量的・質的なものを含む総合的な観点からのエビデンスに基づく目標の設定、実行、結果の検証、評価を通じて着実に課題を改善する、目に見える形のPDCAサイクルの実現○「協議会」を通じた地域との連携
(略)○教員就職率の引き上げ等
教員志望の高い学生等の受け入れ等を通じた教員就職率の向上や、実践探究の場と学問探究の場の両方に軸足を置く大学教員の比率の向上、「教員養成学」に相当する学問分野の発展による教育の質の向上○教職大学院の教育内容の充実
(略)○現職教員の教育・研修機能の強化
教職大学院を活用して、教員の養成のみならず現職教員の教育・研修の機能も強化○予算、人材、一定の規模と効率性の確保による機能強化
(略)
いかがでしょうか。
エビデンスに基づく目標設定、というのは教育という世界では
最も嫌われてしまいそうな話ですが、少なくともPDCAサイクルを回して
教員を養成していこうという取組姿勢はあってしかるべきではないでしょうか。
また、教育技術が大きな進歩を遂げている中において、
新任教員のみならず、現職の教員各位の成長の機会を多く確保するべきでしょう。
このことも先ほどの話題も、公立に限ったことではなく、
私学においても同じことが指摘できるように思います。
そして、新任教員を増やすためには、他業界ではなく教員になる、
という志ある若者を育てていくことも大変重要な課題です。
個人的には、そのような若者を増やすためには
「元気な教員の姿」を見せる、増やすことが何よりだと思います。
教員の仕事は本来、大変ではありますが、
やりがいの大きい、楽しい仕事のはずです。
それが第三者に伝わるよう、
働き方や意識を変えていく必要があるのではないでしょうか。
ちなみに、「附属学校の存在意義の明確化と大学のガバナンス」という項目で、
以下のような指摘もなされています。
・公私立とは異なる国立大学附属学校としての存在意義・役割・特色の明確化
・「入学者の選考―教育・研究―成果の還元」の有機的なつながりの明確化
・教職生活全体を見据えた教員研修に貢献する学校への機能強化と、校長の常勤化
国立大学附属校はエリートをかき集めるべきでない、との話題が
先日の各紙を賑わせましたが、この箇所がクローズアップされたようですね。
国立附属校の生徒募集の方針が変化することになれば、
私学にも少なからず影響があるかもしれませんね。
以上、いろいろと気になる報告書をご紹介いたしました。
(文責:吉田)