寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

広域通学、見守りに課題

今週火曜日のブログでもお伝えしましたが、

学校や幼稚園、保育所の安全確保には際限がなくなってきているように感じます。

そして私学の場合、遠方から徒歩以外で通学園する子供たちの存在が

安全確保にさらなる課題を生じさせています。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

川崎市多摩区で児童らが殺傷された事件では、私立校に通う小学生が被害にあった。電車やバスなど公共交通機関を使って遠方から通う児童が多く、広域の通学路で安全対策には限界もある。事件を機に保護者の不安も募るが、学校は地域や保護者と連携し、通学路の"死角"をなくそうと模索している。

 

この事件が起きた後、私が関わる各私学でも、

登下校時あるいは学内活動時の安全点検が改めて行われたケースが

ほとんどでした。

しかし、特に登下校時、

学校園ができることには当然限界があります。

 

神奈川県私立小学校協会の斎藤滋理事長によると、いずれの私立小も早朝から教職員がチームを組んで学校周辺の安全に警戒するが、最寄り駅までが限界という。「通学範囲が広いと学校の負担も大きい。駅までの安全は家庭で責任を持ってもらうなど、線引きが必要」と話す。

 

新聞記事には兵庫県西宮から大阪市内に通う小1生の母親や、

同じく私立小に子供を通わせる母親の話、

さらには併設の中高生が見守り役を務める都内の私立小学校の事例などが

掲載されていますが、どんな方法を採ったとしても、

安全に登下校できることが完全に確約されることはありません。

学校の責任範囲が無制限になることがないように、

家庭とのコミュニケーションの充実を図る必要があるでしょう。

 

本当に重要なことは、このような事件が起こらない、

誰しもにとって健全な社会づくりではないでしょうか。

そのことをしっかりと肝に銘じたいと思います。

 

(文責:吉田)

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プログラミング教育格差?

プログラミング教育が2020年度から小学校で必修化されます。

その準備がどの程度進んでいるのか?

そんな統計が発表されました。

日経新聞より。

 

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今回発表になった調査結果を見ると、

学校や地域間での格差が拡大しているのでは、との懸念が見え隠れします。

 

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この調査は、文部科学省が全国の教育委員会に対して

2018年度時点のプログラミング教育の取り組み状況を聞いたもので、

全体の約6割にあたる1011団体から回答が得られています。

 

すると、プログラミングの授業を始めていたのは全体の52.0%で、

2017年度の約3倍に増加。

逆に「特に取り組んでいない」は4.5%で、前年度の56.8%から大幅減となりました。

 

ところが、自治体の規模に分けて見ると、授業を実施していた割合は

・市区→71.5%

・町村→31.9%

と大差がついてしまいました。

差が開いた要因の一つとみられるのが、企業や大学など外部の支援の有無。講師などの人材の派遣で支援を受けたことがある市・区は46.4%、町・村は25.6%だった。教材や指導案の提供でも、市・区は35.9%、町・村は21.0%と差があった。

 

これまで学校の教育内容として位置づけられていなかったプログラミング教育は、

一からカリキュラムを組み立てなくてはなりませんから、

そのための情報や人材、支援が必要なのは当然です。

それらが不十分だと実施が遅れてしまうのも必然、と言えるのではないでしょうか。

 

さて私学はどうでしょうか。

私学の場合はなおのこと、各校園がしかるべき支援を求める必要があるでしょう。

今や民間ではプログラミング教育の独自カリキュラムを持つ事業者が

結構多く出てきていますから、それらの事業者から支援を受けることは

それほど難しいことではないようにも思います。

 

もし着手が遅れている、あるいは進捗が芳しくない、

といったことがあれば、情報収集と人材確保とともに、

専門家からの支援を検討されてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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優れた教師育成に投資を

人手不足に悩む学校現場。

未来の人材を育てるための場が学校ですから、

その学校で活動する人材は単に数を揃えるだけでは足りません。

優れた教師の育成に投資せよ、との記事が

日経新聞に掲載されていましたのでご紹介します。

 

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記事自体は公立校を想定されていますが、

私学でも十分あてはまる内容であると感じます。

 

公立の初等・中等教育の教師の質と量が不足している。日本は教育立国ともいわれたが、いまや国の教育への公的支出の国内総生産GDP)比が、経済協力開発機構OECD)加盟34カ国で最下位なのはあまり知られていない。

児童生徒を、自ら問いを立て考え他者と共存できる自立した成人に育てるには、優れた教師とその指導者が不可欠だ。だが、いまの採用と育成、処遇には課題があるといえる。

志を持った教師志望の学生は、給料より教える喜びを求めるとの説があるが、矜持への過度な期待は教師の質の低下をもたらす。有為な青年たちが教職に就くのをためらうのか、公立小中学校の採用試験の倍率は数年にわたって低下し、適任と思われない教師が散見される。

 

昔に比べ、学校の役割は大きくなってきていて、筆者は

「学校が社会福祉の基盤」

とまで書いておられます。

確かに、家庭での諸問題までもがあたかも学校の課題のように捉えられ、

保護者対応や児童相談所との連携など、当初想定していたとは思えない

各種業務が現実に発生しています。

そのような中で、限られた人材で組織的対応を行うためには、

適材適所の人事とともに、各人の能力向上もまた必須だと言えるでしょう。

 

筆者はこのように提言しています。

 

退職時まで継続的に学び、鍛え合う環境をつくりたい。10年程度の経験がある志のある教師を選抜し、大学院に派遣して専門性を高める。10年計画で全教師の3割が修士号を持つイメージだ。大学院で学んだ教師の給料を2~3割上げるなど、田中角栄元首相の政策にならう教師処遇の保障だ。

校長には最先端の教育手法やICT(情報通信技術)を取り入れる姿勢が欲しいが、激変する時代に職場内訓練(OJT)による人材育成には無理がある。名教師と名校長は必ずしも一致しない。経営学修士MBA)を養成するような概念の「師範大学院」をつくってはどうだろう。インセンティブ(誘因)を明確にして有為な若者を教職に就かせ、教育立国の復活を目指したい。初等・中等教育への人材投資は最優先の課題だ。

 

公立校を想定すれば、国家的投資が必要との結論になりますが、

私学の場合には幸いなことに各校園の意識と行動で

ある程度の打開が可能なテーマでもあります。

今こそ学内での人材育成を。

 

(文責:吉田)

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通園・散歩ルートを点検へ

少し時間は経ちましたが、

その事故の痛ましさはなかなか消えるものではありません。

そしてこの後も幼児や生徒が被害者となる事故や事件が相次いだことも、

まだまだ記憶に新しいところです。

日経新聞より。

 

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大津市で散歩中だった保育園児2人が死亡した事故を受け、警視庁は幼稚園や保育園の通園・散歩ルートの安全確認に乗り出す。管内の各園と連携してルートを点検し、危険箇所があれば対策を講じるよう(5月)21日付で各警察署に通知した。同庁で小学校の通学路で同様の取り組みはあるが、幼稚園や保育園向けは初めて。

 

 

この事故をめぐっては、園の責任をめぐる議論が巻き起こりました。

園に責任はない、という意見が大勢であったと感じましたが、

それでも私が知る限り、各幼稚園・保育園では

散歩や園外保育の場所やルートの再点検を行い、

また教職員に再度安全に関する徹底を通知し、

日常に潜む危険性を改めて調査されていました。

本当に頭が下がる想いです。

 

通学バスを待つ子供たちが襲われたあの事件の後も、

どう安全を確保するのか、模索が続きます。

 

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教育機関にとって「安全」は最優先のキーワードとされています。

そして安全確保のために、各校園は細心の注意を払っておられます。

これ以上、となるとやはり必要なのは「地域との協働」ではないでしょうか。

昔は子どもの行動が地域に見守られていました、ごく自然に。

学校自身が地域との関係を見直し、強化していくことはもちろんですが、

地域で子どもを育てる社会が復活することを願ってやみません。

 

(文責:吉田)

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仕事中は全面禁煙

喫煙場所の制限が、禁煙の動きを活発化させているのでしょうか。

場所だけでなく、時間による喫煙制限が広がっているようです。

日経新聞より。

 

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企業が従業員の喫煙を抑える取り組みを加速する。味の素グループは就業時間に喫煙するのを一切禁じる。社内で認めない例は増えてきたが、社外での行動まで対象にするのは珍しい。ファイザー日本法人はたばこを吸う人を採用しないことを決めた。2020年に受動喫煙を防ぐための改正健康増進法が全面施行されるのを背景に禁煙を進めて生産性を上げ、採用でも優位に立つ狙いだ。

 

上記は記事冒頭の文章です。ここにエッセンスが詰まっていますね。

 

まずは「社外でも禁煙」という点。

社外で吸っててもバレないのでは?!というご意見もあるかもしれませんが、

仮に実効性の担保が難しくとも、

その方針を掲げることで行動は変わってくるでしょうね。

 

そして「喫煙者の不採用」。

これは禁煙希望の若者の採用を促進する効果も期待してのこと、

のようです。採用難時代のひとつの工夫なのでしょうね。

 

 

最近は「健康経営」というキーワードもあり、

記事にある味の素でも社員の健康増進を積極的に進めているそうです。

人事担当マネージャーは

メンタルヘルスや血糖値・血圧などの健康問題とともに、

 禁煙の取り組みが欠かせない」とコメントされています。

 

米研究機関の調査では、喫煙者は体調への悪影響などから通常通り仕事をこなせなかったり、欠勤したりすることによる「生産性損失時間」が年に130時間に達すると試算する。非喫煙者より52時間長い。

喫煙者が病気になれば医療費もかさみ、財源の保険料の企業負担が増える。社員がたばこを吸うため頻繁に席を外すのも生産性を低下させることにつながる。

 

 

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喫煙者の肩身がいよいよ狭くなってきている気がします。

学校では場所の制約もありますので、

一般企業以上に喫煙の取扱いに変化が出そうな気がします。

つい最近ではこんな記事も出ていました。

www.nikkei.com

 

さて貴校園では喫煙ルール、どうされますか?

 

(文責:吉田)

 

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パラ競技を教育に

東京オリンピックパラリンピックの開催が近づいてきました。

とはいえ、まだ来年の話ですが。

(その前にやってくるラグビーワールドカップが個人的には楽しみです)

そんな折、パラリンピックが研修に活かされるという記事を見つけました。

日経新聞より。

 

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企業などが従業員研修にパラリンピック競技を取り入れる動きがじわりと広がってきた。働く人材が多様化するなか、実体験を通じて障害への理解を深めたり、社内のコミュニケーションを円滑にするポイントを学ばせたりする狙いがある。専門家は「様々な場で多様性教育が広がれば、東京パラリンピックの貴重なレガシーになる」と指摘する。

 

記事には、ブラインドサッカーを体験した全日空グループの社員と

その家族のコメントが掲載されています。

ブラインドサッカーは声掛けが重要で、「コーラー」というガイド役が

相手のゴール裏からゴールまでの距離や角度などを選手に伝えているそうです。

視覚を遮られた状態で競技をしてみると、コーラーの重要性と

その役割の難しさが体験でき、結果、

コミュニケーションの本質が理解できる…というわけです。

 

相手の立場に立つ、ということを概念として理解していても、

実際にそれができるか、となると難しいものです。

この点、障がいを持つ方々がどのように競技をしているのか、

あるいは日常を過ごしているのか、ということを「体感」することで

必ず何か気づきがあるものだろう、とも思います。

これぞまさに教育活動、と言えそうですね。

学校教育の場においても、今回のオリパラを一つのきっかけ、機会として

教育内容を深めていくことができそうな気がします。

 

この点、成功例はイギリスにある、と記事の最後に書かれていました。

 

パラリンピック史上最多の約270万枚のチケットを売り上げ、「最も成功した」と言われるのが2012年のロンドン大会。現地で会場づくりなどに携わった建築家の山嵜一也さん(45)は「多民族国家でもともと多様性への理解があり、先の五輪で英国が躍進したこともパラの盛り上げにつながった」と話す。

大会を機に様々なレガシー(遺産)の取り組みがなされ、教育現場では障害の有無にかかわらず多様な児童生徒が参加できる競技会が学校対抗などの形で幅広く催されるようになった。

「スクール・ゲームズ」と呼ばれるこの枠組みには1万6千校以上が登録し、健常・障害児の混合チームで参加する学校もある。

 

さてこのたびの東京パラリンピック後はどうなるでしょうか。 

記事に登場した山嵜さんはこうおっしゃっています。

 

「大会自体の成功ばかりを意識して一過性で終わるのではなく、

 教育など息の長い視点に立った取り組みが重要だ」

 

(文責:吉田)

 

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初年度授業料等の調査結果について

貴校園では近時、入学金や授業料の改定をされましたか。

昨年度の私立高校の納付金改定状況が発表されました。

平均値ではありますが。

文部科学省HPより。

 

www.mext.go.jp

 

平均値としては、上昇しています。

都道府県別に見ても、ここ5年上昇傾向であると言えるでしょう。

 

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ただ、以前と比較したときにその伸び率はやや落ちている?

かもしれません。

現時点ではきちんと分析していないので推測ではありますが。

もしそうだとすれば、消費増税を見越した据え置きが多いのか、

簡単に値上げできなくなったということなのか…

このあたりのことも、次年度あるいは次々年度のデータを確認すれば

明らかになることでしょう。

 

ちなみに、大学のデータも発表されています。
 

www.mext.go.jp

 

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平成23~25年ごろはいったん減少傾向になったものの、

その後また増加率が大きくなってきていますね。

首都圏を中心とした定員管理と関連があるのでしょうか。

こちらも追って分析してみたいと思います。

 

経済活動の原則は、「サービスの価値=販売価格」。

学校の場合は価格の自由度が低いので必ずしもこうはなりませんが、

教育活動の価値を高めて価格の適切さが伝わるといいですね。

 

(文責:吉田)

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