人手不足に悩む学校現場。
未来の人材を育てるための場が学校ですから、
その学校で活動する人材は単に数を揃えるだけでは足りません。
優れた教師の育成に投資せよ、との記事が
日経新聞に掲載されていましたのでご紹介します。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
記事自体は公立校を想定されていますが、
私学でも十分あてはまる内容であると感じます。
公立の初等・中等教育の教師の質と量が不足している。日本は教育立国ともいわれたが、いまや国の教育への公的支出の国内総生産(GDP)比が、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国で最下位なのはあまり知られていない。
児童生徒を、自ら問いを立て考え他者と共存できる自立した成人に育てるには、優れた教師とその指導者が不可欠だ。だが、いまの採用と育成、処遇には課題があるといえる。
志を持った教師志望の学生は、給料より教える喜びを求めるとの説があるが、矜持への過度な期待は教師の質の低下をもたらす。有為な青年たちが教職に就くのをためらうのか、公立小中学校の採用試験の倍率は数年にわたって低下し、適任と思われない教師が散見される。
昔に比べ、学校の役割は大きくなってきていて、筆者は
「学校が社会福祉の基盤」
とまで書いておられます。
確かに、家庭での諸問題までもがあたかも学校の課題のように捉えられ、
保護者対応や児童相談所との連携など、当初想定していたとは思えない
各種業務が現実に発生しています。
そのような中で、限られた人材で組織的対応を行うためには、
適材適所の人事とともに、各人の能力向上もまた必須だと言えるでしょう。
筆者はこのように提言しています。
退職時まで継続的に学び、鍛え合う環境をつくりたい。10年程度の経験がある志のある教師を選抜し、大学院に派遣して専門性を高める。10年計画で全教師の3割が修士号を持つイメージだ。大学院で学んだ教師の給料を2~3割上げるなど、田中角栄元首相の政策にならう教師処遇の保障だ。
校長には最先端の教育手法やICT(情報通信技術)を取り入れる姿勢が欲しいが、激変する時代に職場内訓練(OJT)による人材育成には無理がある。名教師と名校長は必ずしも一致しない。経営学修士(MBA)を養成するような概念の「師範大学院」をつくってはどうだろう。インセンティブ(誘因)を明確にして有為な若者を教職に就かせ、教育立国の復活を目指したい。初等・中等教育への人材投資は最優先の課題だ。
公立校を想定すれば、国家的投資が必要との結論になりますが、
私学の場合には幸いなことに各校園の意識と行動で
ある程度の打開が可能なテーマでもあります。
今こそ学内での人材育成を。
(文責:吉田)