寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校における業務改善

いよいよ本気?なのでしょうか。

こんな通知が文科省から出されています。

 

学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等の取組の徹底について(通知):文部科学省

 

タイトルはずいぶん長いのですが、勤務時間は長くしないでね、

という通知になっています。

内容についてはこれまでと変わりません。

このブログでも過去に何度か紹介させていただいております。

今回の資料では対策項目を列挙し、続けてそれぞれの内容について

解説がなされています。

 

業務改善の項目だけでももう一度見ておきましょうか。

(1)業務の役割分担・適正化を着実に実行するために教育委員会が取り組むべき方策について

①業務改善方針・計画の策定及びフォローアップ
②事務職員の校務運営への参画の推進
③専門スタッフとの役割分担の明確化及び支援
④学校が教育活動に専念するための支援体制の構築
⑤業務の管理・調整を図る体制の構築
⑥関係機関との連携・協力体制の構築
⑦学校・家庭・地域の連携の促進
⑧統合型校務支援システム等のICTの活用推進
⑨研修の適正化
⑩各種研究事業等の適正化
教育委員会事務局の体制整備
⑫授業時数の設定等における配慮
⑬各学校における業務改善の取組の促進

(2)中間まとめにおいて示された業務の在り方に関する考え方を踏まえて教育委員会が特に留意して取り組むべき個別業務の役割分担及び適正化について

【基本的には学校以外が担うべき業務】

①登下校に関する対応
②放課後から夜間などにおける見回り,児童生徒が補導されたときの対応
③学校徴収金の徴収・管理
④地域ボランティアとの連絡調整

【学校の業務だが,必ずしも教師が担う必要のない業務】

⑤調査・統計等への回答等
⑥児童生徒の休み時間における対応
⑦校内清掃
⑧部活動

【教師の業務だが,負担軽減が可能な業務】

⑨給食時の対応
⑩授業準備
⑪学習評価や成績処理
⑫学校行事等の準備・運営
⑬進路指導
⑭支援が必要な児童生徒・家庭への対応

上記のうち、(2)はいろんな場面で採り上げられることが多いのですが、

私学としては(1)にもぜひお目通しいただきたいと思います。

教育委員会は、公立校における「経営」部門ですので、

学校法人においては法人本部や事務局が担うべき役割に置き換えられます。

学校の業務をどう組み立てるか、という観点から、

上記の視点をご参考になさっていただきたいと思います。

 

また、いろいろと書かれているので目移りしてしまいそうになりますが、

まずはこれ、と決めてやってみる、というのもいいかもしれません。

改善のためには「最初の一歩」が何より大切ですので。

 

学校という場は子どもたちにとって「代表的な大人」に出会う場でもあります。

ついては、子どもたちに接する教職員の皆様は特に、

「元気であること」が重要です。

働き方を工夫して、毎日元気に活躍していただくことを願っております。

 

(文責:吉田)

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奨学金破産なぜ

奨学金破産」

ショッキングな言葉です。

先日の朝日新聞の1面に掲載された記事でしたので、

ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

  

www.asahi.com

 

学生時代に利用した奨学金の返済ができず、

自己破産に追い込まれるケースがある、とのこと。

記事によれば、2016年度までの5年間で、

奨学金にからむ自己破産は15,538人。何と1万人を超えているんですね…

そのうち、保証人や連帯保証人が自己破産したケースが7,230人。

自身への影響も大きいですが、親族への影響も大きいことが分かります。

記事にはさらに、

国内の自己破産が減る中、奨学金関連は3千人前後が続いており、16年度は最多の3451人と5年前より13%増えた。

とあり、その状況は悪化しているようです。

 

私も学生時代、奨学金に頼っていました。

非常に有難い制度だと思う一方で、

将来の伴侶や家族には最初から大変な重荷を背負わせることも

強く実感しています。

個人的には返済不要の奨学金が広がることを願っていますが、

やはり教育という大事業に対する国家の投資は今のところ

それほどの進展を見ていません。

 

私学は相対的に学費が高くなるものです。

当然、その価値に合わせて価格は上がって当然でしょう。

ただ、家計の経済的事情に配慮しなくていいわけではありません。

例えば、学校事務の人手不足を学生生徒のアルバイトに手伝ってもらう…

というのは難しいことなのでしょうか。

 

方法はさておき、ご本人も、学校も、社会も、皆がハッピーになる形を

模索できればと願っております。

 

(文責:吉田)

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企業とのコラボレーション

高校生とコラボレーションと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、

ここ最近メディアに引っ張りだこの登美丘高校ダンス部ではないでしょうか。

登美丘高校ダンス部と言えば、大みそかの「NHK紅白歌合戦」でも

1番と言っていいくらい目立っていましたね。

 

登美丘高校ダンス部に限らず、中学校や高等学校の体験学習を通じた

企業とのコラボレーションが増えています。

関西でも有名私立高校による企業とのコラボレーション商品が限定で発売されました。

 

prtimes.jp

 

このように学校と企業がコラボしたものを販売する

「ガクイチ」という通販サイトがあります。

 

gakuichi.com

 

こちらの通販サイトでは全国45の高校・団体から集まった商品を紹介しています。

食べ物やコーヒー、シャンプーなどの日用品が販売されています。

 

高校でこれだけの物が作られるなんて、スゴイの一言です。

これらの高校は生徒が資格取得することを念頭に置いた指導をされているのですが、

専門学校顔負けの超実践的指導だと思います。

 

このような活動は生徒指導の一面だけでなく学校自体にも好影響があります。

商品が販売されればされるほど、収入が得られるだけでなく

学校のPR活動にもなるからです。

高校生レストラン「まごの店」で有名になった相加高校や、

「マグロ」で有名な近畿大学も1例かもしれません。

実際、マグロの売上は年間2億円程度で、全収入における約0.15%程度だそうです。

 

私学において「広報」は安定経営の生命線、というのは大げさでしょうか。

ご参考まで。

 

(文責:長森)

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フルタイム換算データについて

ちょっと面白そうな情報を見つけてしまいました。

文科省HPより。

 

平成30年度「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」調査項目等に関する検討会:文部科学省

 

どこが面白そうなの?!というご意見もあるとは思いますが…

「フルタイム換算」は学校にとって厄介なテーマだと思われませんでしょうか?

 

学校法人に関わる私たちは、各校の情報を頂戴し、

それをいろいろな形に加工することで将来の学校経営に役立つ材料とし、

ご検討いただくのが仕事のひとつです。

 

その中で、困ってしまうのが「生産性」や「効率性」を測定しようとするとき。

これらの指標データを求めようとすると、

「教職員1人当たり」

という考え方を採ることが多くなります。

 

では教員1人、職員1人をどう数えるのか。

学校においては「専任」「常勤」「非常勤」

あるいは「本務」「兼務」で区別された資料は存在しても、

勤務時間数等が明示されていることはそれほど多くありません。

 

そして、「1時間」が指す時間は「45分」「50分」「60分」と、

同一の学校法人内においても基準が複数存在することもあり、

これまたよくわからない、となってしまうことがあります。

 

本検討会で採り上げられているのは「大学における…」とありますので

大学の話ではありますが、大学ほどではなくても、

他の学校種においてもそのことを検討する余地は十分あると思います。

 

フルタイム換算数が明確になれば、学校内の人員配置について

よりはっきりと実態をつかむことができるでしょう。

とすれば、今後に向けた組織設計にもきっと有用であるはずです。

御校のフルタイム換算教職員数は何名でしょうか?

 

(文責:吉田)

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公務員の定年65歳に延長へ

政府が現在60歳の公務員の定年の延長に向けてまとめた方針の概要が分かりました。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

記事を引用致しますと、

定年を65歳へ段階的に引き上げる。

60歳以上の一定の年齢に達したら管理職から外す

「役職定年制」を導入し、

昇進が遅くなることによる人事の滞留を防ぐ。

60歳以上の職員の給与も減額する。

16日に関係閣僚会議を開いて方針を確認し、

人事院に詳細な制度設計の検討を要請する。

とあります。

 

人員削減が進んでいるとはいえ数百万人いる公務員。

その公務員の給与体系や年齢構成などに影響が及ぶ大改革が実現すれば、

民間企業や学校にも間違いなく大きな影響が出てくるでしょう。

 

日本では60歳定年の企業が80%を超えます。

このまま60歳定年を採用したままだと

法令などにより、「定年延長」を強制される日が来るかもしれません。

 

人員計画は学校規模を決める重要な要素です。

定年延長を短期間で行うと、新規採用を極端に絞らざる負えなくなります。

そうすると組織の年齢構成は大きくゆがみます。

組織の年齢構成がいびつになると組織の膠着など

さまざまな問題が発生してしまうかもしれません。

定年の見直しを進めることは

学校にとって生徒募集同様、喫緊の課題であると思います。

 

学校の健全経営のためにも、今のうちからじっくり時間をかけて

「定年延長」を検討されてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果

この統計も毎年採り上げさせていただいております。

 文科省HPより。

 

平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)について:文部科学省

 

 

「調査結果の主な特徴」が掲載されていますので、

そちらの内容をさらに要約してお届けすることといたします。

 

1) 小・中・高等学校における暴力行為の発生件数

 56,963件(前年度54,246件)

 児童生徒1,000人当たりの発生件数は4.21件(3.98件)

2) 小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数

 224,540件(前年度188,072件)

 児童生徒1,000人当たりの認知件数は16.4件(前年度13.7件)

3) 小・中学校における長期欠席者数

 194,933人(前年度185,051人)

 このうち不登校児童生徒数は126,009人(前年度122,897人)

 不登校児童生徒の割合は1.26%(前年度1.21%)

4) 高等学校における長期欠席者数

 79,207人(前年度80,613人)

 このうち不登校生徒数は49,591人(前年度53,156人)

 不登校生徒の割合は1.49%(前年度1.59%)

5) 高等学校における、中途退学者数

 49,001人(前年度53,391人)

 中途退学者の割合は1.40%(前年度1.52%)

6) 小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数

 214人(前年度232人)

 

気の重くなる統計ではありますが、目を背けるわけにはいきません。

暴力、いじめは増えているというこの結果、いかが思われますか。

認知されるケースが増えているから…だけではないような気もします。

 

そして、長期欠席者については小中では増加していますが、

高校では減少しています。

 

高校は中退者数も減少しているようですね。

母数が減少しているから、かと思ったのですが、

率も下がっていますので、理由は別にあるようです。

ただ、気になるのは経済的理由での退学者は割合を増やしている点。

子どもの貧困は重大な課題だと感じる次第です。

 

このレポートは全118ページのボリュームがありますが、

気になる箇所だけでもお目通しいただければと思います。

近年は私学においてもいじめや退学の話題を耳にすることが増えています。

現状把握から適切な方策の実施が求められます。

 

(文責:吉田)

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中学受験 大学付属校、高まる人気

すでに2月も中旬。

入試シーズンという言葉は小学校から中学校へ、

さらには高等学校、大学へと移っていますね。

少し話題は古くなってしまいますが、

中学入試に関するこんなニュースが出ていました。

 

mainichi.jp

 

少子化の波は中学入試にすでに襲い掛かっています。

ところが、その中で人気が出ているカテゴリがある、と。

記事にはこう書かれています。

2020年度の大学入試改革に対する不安から、内部進学できる有名私大の付属中が人気を集めている。今の小学6年は現在の高校の学習指導要領で学ぶ最後の学年にあたり、学習塾関係者は「浪人して新しい傾向の試験を受けるのを避けたいという心理も付属人気を後押ししている」と分析している。

附属校人気は2020年度の大学入試が影響を及ぼしている…

この話題、弊社が関わらせていただいている某私学においても挙がっておりました。

 

将来を案じ、少しでも楽をさせたいと思う親心は当然でしょう。

しかし、人気の理由はそれだけではない、との指摘も。

再度、記事を引用させていただきます。

四谷大塚の岩崎本部長は、大学付属校の人気は内部進学だけが狙いではなく「思考力や判断力、表現力を養うという大学入試改革の理念を先取りした教育に価値を見いだしている家庭も多い」とみる。高校の多くの進学校は大学入試を見据えた科目を重視するが、付属校のカリキュラムは多彩だ。第2外国語も幅広く選択できたり、聴講生として大学の授業も受けられたりする。「大学進学のためだけでなく、中高の多感な時期にどのような力を身につけるのかを重視する動きが広がっている」と言う。

関与先の私学で挙がっていた別の話題として、

国立大学の附属校では文科省施策が先取りかつ早期に実施されるだろう、

との見通しから保護者の気持ちがそちらに流れているのでは…

というものもありました。

なるほど、それも心理状態としてはあり得るかもしれない、

と感じた次第です。

 

これらの現象を逆手に取れば、将来展開されるであろう学習課程を見通し、 

そのことを自らの建学の精神や教育理念に照らした上で

カリキュラムをより良い形に仕立てていくことができた学校は、

選ばれる学校になり得る…ということも言えるかもしれません。

(もちろん、それをどう伝えるか、という問題は残りますが)

 

新年度が近づいてくる中で、将来設計の重要性は

ますます高まっているような気がしてなりません。

 

(文責:吉田)

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