寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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人手不足倒産、昨年8割増

学校は「倒産」からは縁遠いはずなのですが、

こういうケースは特に要注意です。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

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人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクは(1月)12日、人手不足の影響による2023年の倒産件数が前年比86%増の260件に達したと発表した。建設や物流の中小企業で増加が顕著だった。両業界とも時間外労働の上限規制が24年4月に始まり、さらなる人手不足が懸念されている。今後、倒産がさらに増えるとの見方もある。

 

通常、倒産が起こる理由として真っ先に思い浮かぶのは

「資金ショート」でしょう。

確かに、世間には事業資金が不足し、最終的には支払に回すお金が尽き、

倒産するというケースも数多くあります。

 

が、近年は人手不足での倒産が急増しているとのこと。

要するに、仕事はあるのにそれを実行する人がおらず、

事業を継続できない、ということです。

今回のデータは、法的整理がなされた企業のうち、

従業員の離職や採用難などで人手を確保できなかったことが

要因となった件数を集計したもので、2013年の調査開始以来、

過去最高件数となった、と記事に書かれています。

業種別では、建設や物流といった「2024年問題」の対象業種の増え方が著しく、

規模別では従業員10人未満の企業が8割弱を占めている、とのことです。

 

私学は倒産から縁遠い、と冒頭に書きましたが、

通常の事業であれば「出金が先、入金が後」という収支構造が圧倒的に多い中、

私学は「入金が先、出金が後」となるのが原則で、

資金不足が顕在化しにくいのがひとつの特徴となっています。

つまり、資金不足で倒産する、というのは、大きな資金需要があった直後、

例えば校舎の改築の直後などが典型例で、

通常運転で資金ショートは考えにくいのです。

 

しかしながら、人手不足は別の問題です。

生徒はいるけれど、先生がいない。

そうなってしまえば、学校の事業はとたんに行き詰まります。

そもそも教員の志願者が減少している昨今においては、

決して他人事ではない事例ではないかと思うのです。

 

今回の記事には、倒産に至った事例のひとつとして

「人手不足で外注委託が増えるなか借入金が膨らみ…」

というものが挙がっていました。

貴校園の経営資源について、今一度棚卸をきちんとしておきましょう。

そして、不安要素を少しずつでも除去していけるように、

きちんと対策と将来計画を練っておきましょう。

 

学校は大型船と同じ。すぐには舵を切れないのです。

いざ、となったときにはすでに時間切れとなっているかもしれません。

どうか今こそ計画経営を。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp