昨年12月に、日経新聞に掲載された投稿記事です。
インターナショナルスクールに関する論点が表現されていました。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
近年、二重国籍ではない日本国籍の子どもをインターナショナルスクールへ進学させることへの関心が高まっている。実際、多くのインター校は5〜8割の生徒が日本国籍だ。英語力を高め世界で活躍できる人材に、という期待の結果だろうが、この判断には注意しなくてはいけない点がある。
まずこの冒頭部分を読んで、以前にマスコミの記事にあった、
「インター校には外国ルーツの子どもがかなり多くの割合で在籍している」
という状況から変化してきているのだな、と感じました。
現在の1条校に通っていては世界で活躍する人材にはなりにくい、
という意識が強まっているのだとしたら、
各校園ではまずそのことを正面から受け止める必要があるのかもしれません。
そのうえで、インターナショナルスクールの制度には現状、
問題があるとの筆者の指摘があります。
1つ目に挙がっているのは、インターナショナルスクールの多くが
1条校として認められていない、という点。
この前提で義務教育期間中の日本国籍の子どもを通わせると、
保護者は子どもを就学させる義務に違反する可能性が出てきてしまいます。
また、そういった制度であるがゆえに、
行政からの補助も当然見込めないわけで、
各家庭の費用負担は学費として高校卒業まで年間200万〜300万円、
さらに海外の大学に進学すれば、アメリカなら年間1千万円、
イギリスなら700万円程度かかると見込んでおく必要がある、
と筆者は指摘しています。
さらに卒業後、就職活動やその後の社会人生活がうまくいかない、
というケースも多いようです。
日本では専門分野の経験がない新卒でも就職できるが、海外では専門家として実績のある人たちとポジションを争う。その上、就労ビザが下りなければその国にとどまることさえできない。
日本で就職する場合も、日本の会社文化になじめず自信を失ったり、自分の専門分野以外のゼネラリストとしての職務に納得がいかなかったりといった問題を抱えてしまうケースが多々ある。
1条校を持つ私学にとっては、インターナショナルスクールは
競合相手になりかねない存在として、
制度上は現状維持を願っている関係者もいらっしゃるかもしれません。
が、私学がそうであるように、学びにはいろいろな形があるもので、
特徴を明確に有する学びの場が増えることは、
むしろ未来の社会にとってよいことなのではないかと思います。
教育機関が切磋琢磨しながら、よりよい学びの場を提供していく社会が
広がっていくことをぜひ歓迎したいと思うのですがいかがでしょうか。
今回の記事は以下の文章で閉じられています。
子どもたちがそれぞれに豊かに育つ場が確保されますようにと願います。
義務教育期間中の日本国籍の子どもは一条校に通わせなければならないというルール上、国はインター校には日本国籍の生徒はいないかのような対応ぶりだが、実際多数の生徒が在籍していることは明白な事実である。現状を的確に把握し、実態に合わせて法改正をするかどうか検討すべきだ。
いないというのであれば、抜け道がないようにしなければいけない。認めるのであれば、新たなルールを作らなければいけない。なぜならこうしたゆがんだ実態の中で犠牲となるのは、他ならぬ子どもたちだからである。
(文責:吉田)