寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

働く人の価値観の変化が雇用に与える影響とは?

価値観の変化を雇う側がどう捉えるか。

難しい時代になっていると感じます。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

会社と社員の力関係が変わってきた。人手不足や転職の増加で主導権が従業員に移り、若手や中堅は職場環境が良くても成長機会の乏しい組織に背を向ける。資本市場も人材を育てられる企業に投資を絞り始めた。社員の「自立」が企業に新たな生き残りの条件を突きつける。

 

この記事に登場する28歳の会社員さんが新卒で就職したのは、

希望の職種、少ない残業、同僚もいい人ばかり、

の絵に描いたような「ホワイト職場」だったそうです。

しかしながら、その職場は年功序列を基にしていて、

職場には「緩やかな時間」が流れていたそうです。

「ここにいると社外で通用しなくなる」と不安が募り、

居心地のいい会社に別れを告げた、と記事には書かれています。

 


昨今、働く側は「生活の安定」よりも「自分の成長」に価値を移し、

スキルの習得できない職場には見切りをつけ、

成長にもタイパ、タイムパフォーマンス(時間効率)を追求している、

とのこと。

 

厚生労働省によると、2020年に入社した大企業の大卒社員は3年以内に4人に1人が辞めた。10年前の5人に1人よりも多い。企業は残業時間の削減など職場環境の改善で引き留めようとするが響かない。

社員が自社の労働環境を評価する情報サイト、オープンワークによれば、21年までの約10年間で平均残業時間は月46時間から24時間に半減した。「待遇面の満足度」も5段階評価で2.6から2.9に高まった。

半面、成長についての満足度は下がり、「20代成長環境」への評価は3.0から2.9に低下。大企業中心の銀行や鉄鋼の落ち込みが目立つ。職場のホワイト化と成長への期待が反比例している。リクルートワークス研究所の古屋星斗氏は「法令順守に厳しい大手ほど長時間の職場内訓練(OJT)が難しくなった。成長への不安を感じて辞める若手が多い」と指摘する。

 

学校と一般企業はそもそも職場の常識が異なる面もある、とは思います。

しかしながら昨今、能力が高いと評価を受ける若手や中堅の離職が

多くなっている私学も多いのではないでしょうか。

少なくとも、私が見聞きする中では増えている印象があります。

それは、残業が多い、という形式面の整備不足もさることながら、

授業やその準備への注力がそがれてしまうことや、

教員としての力量を高める施策があまりに少ないこと、

さらには旧来の価値観が強く残る職場になじめないこと、

といった要素も強くなっているのではないか、と感じます。

 

経営陣や管理職とのお話の中では、未だに

「給料が安いから定着してくれない」

というご意見も多く聞こえてきますが、そういった私学ほど、

給与水準は悪くないことが多いものです。

そしておそらく、働く側からすれば

「ポイントはそこじゃないんだよなあ」

と思っていることも決して少なくないように思うのです。

 

最低賃金も平均単価も上がる中では、給与の要素は無視できません。

が、貴校園で長く働きたいと思ってもらうために欠かせないのは

むしろ、貴校園で「成長を続けられる環境」を作ることではないでしょうか。

ロールモデルとなる教員への評価、OJTとOff-JTの両方の充実、

校園としてのキャリアパスの提示など、

お金をそれほどかけずともできることはいろいろあります。

大切な教職員に長く在籍してもらうために、

雇う側が発想を変えていくことはとても大切な気がしています。

 

(文責:吉田)

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