年金制度がどうなっていくのか、は
私学にとってもかなり大きな課題と言えます。
参考にしたい記事を見つけましたのでご紹介します。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
企業年金が成熟化している。上場企業の確定給付年金(DB)を調べたところ、受給者への支払総額が掛け金総額を上回る「取り崩し期」に入った企業は2020年度に初めて5割に達した。すぐには給付に影響しないが、運用収益を計画通りに確保できないと、母体企業が追加で掛け金を拠出する必要があり、財務に影響する。高度な運用が求められ、DBの廃止に踏み切る例も目立つ。
まずは上のグラフをご覧ください。
給付が掛金を上回る企業の割合が上がっていることが分かります。
では、給付が掛金を上回るとどうなるか。
当然ながら、給付を確保できるように
(リスクを減らすために)運用を保守的にしたり、
掛金に対する補填をしたり、といったことが必要になります。
若い加入者が多く掛け金が多い状態から、受給者が増える「成熟化」が進むのは自然なことだが、「産業構造の変化や企業の成長不足などで日本企業の規模が小さくなり、想定以上のスピードで成熟度が高まっている」(JPアクチュアリーコンサルティングの黒田英樹代表)
ここで指摘されていることは私学にも起こっているように思います。
すなわち、各校園の成長が一定水準以下となり、
退職金にかかる財産の成熟化が進んでいる、ということです。
現在、私学の退職金は外部の別団体(≒業界団体)で積立てを行い、
そこからの給付を受ける形で支給されていることが多いと思いますが、
実際、各種資料を読み解いていきますと、
それらの外部団体の状況がひっ迫しつつあるのではないか、
という印象を受けることが増えてきました。
さて今後、教職員各位の退職金をいかに守っていくか。
現状、多くの私学において退職金水準はかなりの高水準です。
その原資が各ご家庭からの収入と税金(補助金)であることを考えれば、
現状の水準を守り切ることは至難の業とも感じます。
貴校園の今後を見通しながら、せめて「激変」を回避できるよう、
制度設計を早めに始めていただければと思います。
(文責:吉田)