競争的資金が大学の運営に大きな影響を及ぼす時代がやってきています。
日経新聞より。
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政府が創設した10兆円の「大学ファンド」による支援獲得を巡る競争が激しくなりそうだ。日本経済新聞の調査に回答した157大学の3割に当たる44大学が申請を検討していると答えた。近く始まる公募で数校が選ばれる。国内大学は海外と比べ資金力で劣り国際競争力は低下している。ファンドの支援で教育・研究基盤の抜本強化を図る。
まずはこのファンドのしくみをおさらいしておきましょう。
この大学ファンドは科学技術振興機構(JST)に設けられたファンドで、
財政投融資を主な財源とし、運用は外部の専門機関に委託。
国が「国際卓越研究大学」と認定した数大学へ運用益を配分します。
そして支援対象校に認定されるためには、
有力論文数などについての基準を満たし、国の審査を通過する必要があります。
さらに対象校は大学の支出額ベースで年平均3%の事業成長を求められます。
支援期間は最長25年間で、助成金は翌年度への繰り越しも可能。
6~10年ごとに支援継続の可否が評価され、
助成に見合った成果が得られていないと判断されれば
支援打ち切りとなります。
各大学のファンド申請の検討状況は下の図にまとめられています。
総額10兆円のファンド、その運用益は3,000億円を目標とするそうですので、
例えば5校が採択されれば1校当たり600億円。
手を挙げたくなるのは自然なことでしょう。
さらに、このファンドの対象校に認定された場合に期待される効果について、
「研究環境の改善」「国際競争力強化」を挙げる大学が多い中、
「国際的評価の向上で、より優秀な学生や教員を集められる」
といった声もあったそうです。集計結果は下のグラフにて。
冒頭にも書きましたが、いよいよ学校業界にも
競争的資金が本格導入されてきました。
できればどの校園にも等しく手厚い支援を、と願う一方で、
今後の税収や政策動向を考えれば、こうなっていく流れは
おそらく止められないだろうとも思います。
ぜひ目配せをしておいていただければと思います。
(文責:吉田)