日経新聞に大きく掲載された連載記事・某日分です。
以前にもこのブログで採り上げた話題ではありますが、
今後の私学経営において看過できないテーマだと感じます。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
政府は2021年度中に大学の研究開発を支援するためのファンドを設立する。公的資金も投じて10兆円規模をめざし、資金力や論文数で米英や中国に後れを取る日本の大学の国際競争力を引き上げる。研究者の海外流出など経済安全保障上の懸念に対処する。
この記事では大学の世界ランキングで日本勢が振るわないことを
問題視する国会議員の発言が引用されています。
当該ランキングにどこまで重きを置くかはさておき、
国際競争力が低下している要因として、
国からの運営費交付金が減少していることを挙げる向きは多いようにも思います。
04年度に1兆2415億円あった運営費交付金は21年度に1兆790億円へ減った。引用数が多い上位10%の論文数で日本は1996~98年に世界4位だった。2016~18年は11位に落ちた。
さらには下の表にある通り、現状の各大学の基金規模は
海外勢と国内勢ではかなり差がある状況です。
21年度の科学技術の関連予算は4.1兆円だった。中国の28兆円(18年)、米国の15兆円(19年)に及ばない。国の台所事情が厳しいなかでどう研究基盤を強化するか。政府・与党が出した答えの一つは大学ファンドの設立だった。
文科省が所管する科学技術振興機構(JST)が国内外の株式や債券に投資する基金を立ち上げ、運用益で研究開発や若手研究者を支援する。
原資は20年度3次補正予算の5000億円に21年度の財政投融資を加えた4.5兆円で、早期に10兆円規模に拡大する構想だ。公的資金を使って損失が生じるリスクへの懸念はあるが、与党が「これに賭ける」と押し切った。
果たして国策としてこれが妥当なのか、
しっかりと見守っていく必要があるとは思いますが、
私学において他山の石にせねばと感じるのは、
マーケットが縮む中で、どのように在籍者を確保するか、
そしてそのことが収入規模に直結することから、
今後の財源についても同時にしっかり考えておくべきである、
という点ではないでしょうか。
教育機関に対する補助や助成については、
いわゆるメリハリ型を志向する声が多くなっています。
今回紹介した記事の中でも、
「ビジョンと覚悟がある大学に支援を限定すべきだと考えている委員は多い」
とのコメントが紹介されており、そちらへの政策誘導がなされている感が
強い印象を受けます。
建学の精神を守りながら、
たくましく生き続けていく私学が多くあることを願っております。
(文責:吉田)