雇用の流動化について、皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか。
個人的に少々驚いたデータが掲載されていましたので、
本日はこの記事をご紹介いたします。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
転職する若者が増えている。新型コロナウイルス禍で雇用環境が厳しい中、成長性が高い分野をめざす動きが活発だ。入社後に短期で転職すれば十分経験を積めない懸念があり、会社も育て始めた人材の流出は損失が大きい。それでも社会全体で生産性を高めるには成長分野への人材シフトが欠かせない。若い世代の動きが他の先進国に比べて低い日本の流動性を高める可能性がある。
このブログをお読みいただいている私学関係者さんにとっては、
成長分野にばかり人材がシフトするのは困る、と思われる方も多いでしょう。
私もそうです。成長分野は確かに重要ですが、それもこれも、
子どもの頃の教育があってこそのこと。
教職への人材シフトこそ必要、と強く願っています。
ただ、コロナ禍で、人材シフトにもある特徴がみられるようになっています。
国内の転職市場はコロナ禍で足元では停滞している。総務省の労働力調査によると、2020年の転職者は319万人と前の年に比べて約1割減った。国の雇用調整助成金などで失業が抑制される一方、人材を必要とする成長分野への移動も減っている。
若者に目を向けると状況が異なる。入社3年以内に退職する人は約15万人にのぼる。17年の大卒では全体の32.8%と前年比0.8ポイント増え、過去10年で最高になった。大卒3年程度までの人を「第二新卒」として積極採用する企業が全体の約4割まで増えていることも若者の背中を押す。
今この時、目の前のことが重要、と感じている世代と、
今の瞬間よりも将来のことが重要、と考える世代では、
職業の選び方が変わってくるという現象。
落ち着いて考えれば確かにその通りでしょう。
そして驚いたのは次のデータです。
記事に掲載されていたグラフをご覧ください。
グラフそのものよりも、付いているタイトルに驚いた、
という方が正しいかもしれません。
このグラフは左から順に労働生産性の高い順に並んでいるようです。
そして棒グラフは雇用の流動性の「低さ」を表しています。
グラフとしては「反比例」「負の相関」とまでは言えないような、
でもやはり図の右側のほうが棒グラフが長いような、
微妙な感覚に陥ります。
流動性を比較する指標としては勤務年数が10年以上の社員の割合がある。新卒採用後、10年未満の若手や中途入社で勤続年数が短い人などを除いた割合で、終身雇用の中高年が多いほど高くなる。日本は45.8%(17年)と主要先進国で最も高い水準で、5年前に比べ2.1ポイント上がった。大企業を中心に同じ会社に勤め続ける人が多い。
ノルウェーやデンマーク、スウェーデンなどは全体の30%前後にとどまり「生産性の低い分野から高い分野への労働移動が活発」(日本総合研究所の山田久副理事長)だ。北欧では解雇規制が緩やかな一方、学び直しや再就職の支援が充実している。
この情報、皆さんはどうお感じになるでしょうか。
終身雇用、長期雇用が中心的かつ理想とされがちな日本社会が、
その傾向を未だ保ってはいるものの、少しずつ変化していることは事実でしょう。
人生100年時代を迎え、新卒で就職した先で終身雇用される、
といったことがイメージしにくくなっているのは自然なことかもしれません。
このことは、学校として、子どもたちの進路をどう考えるかに
影響するような気がします。
そして同時に、学校が雇用する教職員のことをどう考えるかにも
影響するような気がします。
雇用の流動化が進むという前提で、教育内容や人事を考えた場合、
今後なすべき経営判断はどういったものになるでしょうか。
ぜひともこの機会にご検討いただきたいと思います。
(文責:吉田)