寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

働くシニアの年金減額、22年4月から縮小

学校でも再雇用の教職員が勤務されていることが増えつつありますね。

そんなシニア世代の収入を左右するニュースが出てきました。

日経新聞より。

 

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高齢者が働くことを後押しする環境づくりが進む。厚生労働省は60~64歳で満額の年金を受け取る人を増やす制度改正を2022年4月に実施する方針だ。4日には70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする法改正案も閣議決定された。人口減で人手不足が広がる中、意欲のある高齢者の就労を促す。


シニア世代が受け取る年金にはいくつかの種類がありますが、

仕事をしている人たちには「在職老齢年金」という年金が減額されるしくみがあり、

現在は賃金と年金の合計額が月28万円を超えると年金が減ることになっています。

が、2022年4月からはこの基準が月47万円に上がる、とのことです。

つまりより多く働いても年金の減額がなくなり、

雇用を促進するのでは、と国は期待しているようです。

 

各学校法人でも再雇用教職員の役割と賃金の設定には

いろいろとご苦労もあるかと思いますが、処遇に関する一つの目安として、

この年金支給に関する基準を活用されているケースもあるかと思います。

今後に向けてはこれまでよりも柔軟に金額設定ができることとなりそうですので、

今一度制度の確認と再検討が必要かもしれませんね。

 

ちなみに、このことで年金支給額が増えることになりますが、

その分は将来世代の年金から、ということになります。

国も各法人も、中長期を見据えた制度設計をぜひともお願いしたいところです。

 

 

(文責:吉田)

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社会人の学費、上限緩和を

今週のブログは大学関連の内容に偏っておりますがご容赦ください。

リカレント教育についての記事です。

日経新聞より。

 

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経団連などは3日、社会人のリカレント(学び直し)教育の環境整備を促す提言をまとめた。国立大学の授業料に関する上限規制を緩めて、値上げで得た収入を優秀な研究者の確保など教育の質向上に充てるようにすべきだとした。私立大学でもリカレント教育の授業時間数を補助金算定の対象に含めることで、カリキュラムの整備などを後押しすべきだと求めた。

 

 ひとくちにいえば「規制緩和」を求める内容と言えるでしょうか。

 

現在、国立大の授業料は「標準額の最大2割増」の範囲内に収める必要があるところ、

社会人は学生より金銭的にゆとりがあるため、

リカレント教育に限っては授業料の上限を緩めてよいのでは、

ということが求められているようです。

この値上げによって教育の質を高め、データ分析力や語学力、

教養を備えた人材を育てることが急務、との考えによっています。

 

他にも、学部単位が基本の定員規制の見直しも要望されています。

大学全体での管理、あるいは複数年度にわたる管理など、

柔軟化を求めています。

大学の校舎以外を使った授業の実施についても盛り込まれているようです。

 

大学の話ではありますが、中高あるいはそれよりも若い学校種においても、

私学としての独自性を考えれば、ヒントになることも多そうです。

この提言は最終報告書として来月末までにまとめられるようです。

その内容に注目したいと思います。

 

(文責:吉田)

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私立の学習費 過去最高に

私学の特徴のひとつである学費。

例年のことではありますが、最新の学費に関するデータが明らかになりました。

日経新聞より。

 

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私立の幼稚園や学校に通う子どもの学習費が増えている。文部科学省が2018年度に全国の幼稚園から高校までの子どもとその保護者2万4748人を対象に調査したところ、幼稚園から高校まで全て私立に通った場合の学習費の総額は過去最高の1830万円だった。1年間の子ども1人あたりの学習費を年代別にみると、最も上昇率が大きかったのは私立幼稚園で、52万円と16年度の前回調査から9%増えた。

 

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幼稚園の学費の伸びが大きいようですね。

ちなみにこのデータは2018年度を対象としたものですので、

昨年実施された幼児教育無償化施策は含まれていません。

 

上のグラフを見ると、小学校も中学校も増加傾向にある中で、

高校は減少しています。

言わずもがな、就学支援制度の導入が影響しているからです。

このデータからすると、公私間の学費の格差というのは

合理的なものと言えるのかどうか、改めて考えてみる必要があるかもしれません。


次回の調査では幼児教育無償化、私立高校授業料無償化といった

政策の影響が注目されます。

一方で、各校園における学費の設定についても、

健全経営と各家庭の負担間の両面から確認しておくことが重要でしょう。

 

(文責:吉田) 

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最適な入試、大学の責任で

私学として、今般の大学入試改革をどのように捉え、

また政策提言を行うのか。

先日の日経新聞に中高連会長のお話が掲載されていましたので、

そちらを見ておくことにいたしましょう。

 

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まずこの記事では、これまでの経緯をふりかえっています。

 

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今を遡ること約6年前、政府の教育再生実行会議は第4次提言として

「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」

を発表しました。

 

(1)高等学校教育の質の確保・向上

(2)大学の人材育成機能の抜本的強化

(3)能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価しうる大学入学者選抜制度への転換

といった提言を受け、これからの時代を担う子どもたちの学力を

バランス良く育むための高大接続改革について議論を重ね、

2017年7月、「高大接続改革の実施方針」がまとめられました。

ここには大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」も盛り込まれ、

その実現に向けた道筋をたどっている…と思われていた矢先、

記述式問題導入と英語4技能評価のための民間等資格試験の活用が中止に。

新テストに向けて準備を進めてきた高校2年生以下の子どもたちを

振り回す結果となったのは記憶に新しいところです。

 

当初の施策に全面賛成ではなかったものの、

方針が決まった以上は準備を進めるべし、と考え、

私学のそれぞれに「本番」に備えてきた、それなのに…と、

中高連会長は記事中で怒りを露わにしていらっしゃいます。

 

しかし一方で、今後このような迷走をなくし、

本当に子どもたちのためになる制度設計を進めるために、

私学側からも政策提言を行うべきであろうと私は思います。

今回の記事ではこのような提案がなされています。

 

現実問題として、現行のセンター入試も含めて完全な平等や格差是正を実現することは不可能である。だとすれば、その格差は国の支援でどの程度まで是正できるのか、情報通信技術環境の整備を進めCBT(コンピューターを活用した試験)形式の試験を導入することで、解決困難とされる諸課題がどこまで解決できるのか、大学、高校双方の関係者が知恵を絞って真摯な議論をすべき時ではないか。

19年の出生者数が86万人余といわれる現実を踏まえれば、今後、大学の入学者選抜が筆記試験による「知識偏重の選抜」から学習者の視点に立った「マッチング」へと移行することは必定である。この際、各大学は入試の原点に立ち戻り、それぞれの教育方針や教育目的に応じて最適な「選抜方法」を自らの責任で確立し実施すべきである。

 

 

高3生の進路が固まりつつあるこの時期だからこそ、

進路のひとつの大きな要素である入試について考えてみたいところです。

国全体の制度はもちろんそうですが、

貴校園の入試についても今一度そのあり方を検証してみていただければ幸いです。

 

(文責:吉田) 

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氷河期世代の就労支援 教員へ学び直し

先日のブログでは、40代の転職希望が増えているという記事をご紹介しました。

その希望先が学校現場であるなら…との期待を、

この施策は叶えてくれるでしょうか。

日経新聞より。

 

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政府は2020年度から就職氷河期世代の正社員化を支援するための様々な施策を各省で展開する。幅広い分野で学び直しや就労体験の機会を提供したり、企業に事業を委託して氷河期世代の雇用機会を創出したりする。集中支援期間として3年間で650億円超の予算を確保し、正規雇用者の30万人増を目指す。

 

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上のグラフを見て、自分もしっかり就職氷河期世代なんだなあ、

と改めて感じます。

そして、その世代と他の世代ではこれほどまでに就職率が異なるのか、

と愕然とします。

この世代に対して社会的支援をしようという施策が

いろんな形で進められているようですね。

そのひとつがこれです。

 

学び直しや資格習得などの支援も進める。文部科学省は教員への転職を後押しする。同世代は教員採用試験の競争率が高く民間に就職した人が多い。教員免許を持つ人を対象に学び直しの講座を開く。教育プログラムを開発する大学には助成金を出す。

 

まさに先日のブログでも書かせていただいたことですね。

教員免許は持っているけれど、教員の世界に入っていなかった方々を、

社会経験豊かな教員として学校が迎え入れられるなら、

教員不足にあえぐ学校人事にもきっとプラスに働くと思います。

 

懸念はやはり処遇でしょうか。

私学では各校園の独自の制度を作ることができますから、

ぜひこの機会にしくみを見直していただければと思います。

 

もうひとつ懸念があるのが、現場にはおそらく、

既存の教育方法を前提にした即戦力を求める声が大きいだろう、

ということです。

教育の「目的」には固執する必要があると思いますが、

それを満たすための「方法」については柔軟に考えられる、

そんな学校が増えることを願っています。

 

(文責:吉田) 

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増え続ける不登校

私学でも不登校は増えているのではないでしょうか。

学校にとって、「学校離れ」は重大な課題です。

不登校をどう考えればいいのでしょうか。日経新聞より。

 

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不登校の小中学生が増え続けている。文部科学省のまとめによると、2018年度は全国で約16万4千人と5年間で4割近く増えた。学校離れがこれだけ広がる理由は何なのだろう。

不登校児の教育に30年以上取り組んできたNPO法人東京シューレ」理事長の奥地圭子さんは、保護者の変化を指摘する。「若い父母がフリースクールなど学校以外の場(で学ぶこと)もありではないか、と考えるようになってきた」

 

学校に行くのがつらい、という子どもたちに、

無理に学校に行かなくてもいい、という選択肢はとても大切です。

実際、フリースクールなどで学ぶ子どもを、

学校の「出席扱い」にできることも制度化されています。

こういうしくみは必要だと思います。

 

しかしながら、なぜそれほどまでに学校が苦しい場所になるのか、

という点に思いを致す必要はあるでしょう。

 

記事には、少子化も子どもたちの生きづらさが増している一因では、

という言葉もあります。

子どもが減ると、一人の子が周りの大人から受けるプレッシャーが

強くなることは十分考えられます。

そのとき、学校は何ができるのでしょうか…

 

学校以外の受け皿の整備は進んでいっている印象があります。

が、学校が行きづらい場所でなくなりつつあるかといえば、

そのような印象はそれほどありません。

先生方も学校職員も、目の前の子どもたちのために

懸命に業務遂行しているとは思うのですが。。。

 

今回の記事はこんな問題提起で締められています。

 

今日の小中学校は数々の課題を抱え、教員の長時間労働も問題化している。それでも十数万人が学校に背を向けている状況は深刻ではないだろうか。増え続ける不登校に危機感を持ち、学びを変えようとする動きが学校の側からも出てきてほしい。

 

学びを変えることによって、学校のあり方を変える。

その取り組みは待ったなしのような気がします。

 

(文責:吉田)

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週休3日で生産性向上

以前にも少しご紹介したことがあったかもしれません。

週休3日制のその後、です。

日経新聞より。

 

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週休3日制の是非を巡る議論が国内外で盛り上がっている。日本マイクロソフトでは試験的に週休3日制を導入した2019年8月、社員1人あたりの売り上げが4割増えた。好結果を生んだ要因の一つが給与を変えなかったことだ。週休3日制を導入すれば、多くの企業で売り上げも給与も減る可能性がある。実現のハードルはかなり高そうだ。

 

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たった1ヶ月だけの実施ではありますが、この成果はすごいですね。

確かに、1ヶ月だけだといいところばかり見えすぎるきらいはありますが、

それでもチャレンジに対して出た成果がこれなら、

他の組織でもチャレンジする価値は十分ありそうです。

 

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学校現場ではなかなか難しいチャレンジのように思えますが、

ヒントはたくさんありそうです。

その一つがこの記載内容です。

同社は「勤務日だけを減らし、業務効率を高めるためのチャレンジ」と位置付けた。社員の給与水準や待遇、責任範囲、目標は一切変えなかった。不要不急の仕事を仕分けし、30分以内で終わる会議の比率は前年比で5割近く増えたという。

 

時間が限られている、という前提で動くと、

より「優先順位」に敏感になります。というか、ならざるを得ません。

そのとき、どんな業務を削るのか。

これが業務改善の切り口としてとても有効なのです。

 

1日は24時間あるし、1週間は7日ある。

その前提で組み立てる仕事は、それなりの仕事になります。

 

1日は8時間で切り上げて、1週間は40時間で切り上げる。

その前提で組み立てる仕事もまた、それなりの仕事になります。

 

両者にどれほど成果の差があるでしょうか。

場合によっては、後者の方が成果が上がることがあることを、

今回のマイクロソフトのチャレンジは語っていると思います。

 

学校現場は保護者の理解不足もあって、

時間無制限の職場になってしまっていることがあります。

これを学校自らが定義することなしに、

働き方改革はあり得ないでしょう。

 

 

「できない」と言い切ってしまうのは簡単なこと。

ここはぜひ、できるための方法を探しましょう。

そして、より質の高い教育を実現しましょう。

 

(文責:吉田) 

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