私学として、今般の大学入試改革をどのように捉え、
また政策提言を行うのか。
先日の日経新聞に中高連会長のお話が掲載されていましたので、
そちらを見ておくことにいたしましょう。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
まずこの記事では、これまでの経緯をふりかえっています。
今を遡ること約6年前、政府の教育再生実行会議は第4次提言として
「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」
を発表しました。
(1)高等学校教育の質の確保・向上
(2)大学の人材育成機能の抜本的強化
(3)能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価しうる大学入学者選抜制度への転換
といった提言を受け、これからの時代を担う子どもたちの学力を
バランス良く育むための高大接続改革について議論を重ね、
2017年7月、「高大接続改革の実施方針」がまとめられました。
ここには大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」も盛り込まれ、
その実現に向けた道筋をたどっている…と思われていた矢先、
記述式問題導入と英語4技能評価のための民間等資格試験の活用が中止に。
新テストに向けて準備を進めてきた高校2年生以下の子どもたちを
振り回す結果となったのは記憶に新しいところです。
当初の施策に全面賛成ではなかったものの、
方針が決まった以上は準備を進めるべし、と考え、
私学のそれぞれに「本番」に備えてきた、それなのに…と、
中高連会長は記事中で怒りを露わにしていらっしゃいます。
しかし一方で、今後このような迷走をなくし、
本当に子どもたちのためになる制度設計を進めるために、
私学側からも政策提言を行うべきであろうと私は思います。
今回の記事ではこのような提案がなされています。
現実問題として、現行のセンター入試も含めて完全な平等や格差是正を実現することは不可能である。だとすれば、その格差は国の支援でどの程度まで是正できるのか、情報通信技術環境の整備を進めCBT(コンピューターを活用した試験)形式の試験を導入することで、解決困難とされる諸課題がどこまで解決できるのか、大学、高校双方の関係者が知恵を絞って真摯な議論をすべき時ではないか。
19年の出生者数が86万人余といわれる現実を踏まえれば、今後、大学の入学者選抜が筆記試験による「知識偏重の選抜」から学習者の視点に立った「マッチング」へと移行することは必定である。この際、各大学は入試の原点に立ち戻り、それぞれの教育方針や教育目的に応じて最適な「選抜方法」を自らの責任で確立し実施すべきである。
高3生の進路が固まりつつあるこの時期だからこそ、
進路のひとつの大きな要素である入試について考えてみたいところです。
国全体の制度はもちろんそうですが、
貴校園の入試についても今一度そのあり方を検証してみていただければ幸いです。
(文責:吉田)