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高大接続システム改革会議「中間まとめ」の公表について

本日は文科省からの情報をお届けします。

 

高大接続システム改革会議「中間まとめ」の公表について:文部科学省

 

近い将来の実施が予定されている、高大接続システム改革。

かなり幅広い内容を含むその改革の論点整理を行う意味でまとめられたのが今回の中間まとめです。

 

まずは、高大接続システム改革の基本的内容をおさらいしておきましょう。

今回の中間まとめの中にも、「高大接続システム改革の基本的内容」との表題で端的にまとめられています。少し長くなりますが、引用してみましょう。ただし、長すぎるので太字や下線でアクセントをつけさせていただきました。

○ 高大接続システム改革は、高等学校教育改革大学教育改革、及び大学入学者選抜改革をシステムとして、一貫した理念の下、一体的に行う改革である。改革全体を通じて、一人一人の「生きる力」「確かな学力」を育んでいかなければならない。
高等学校は、中学校卒業後のほぼ全ての者が、社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付けることのできる最後の教育機関であることから、その教育を通じて、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばし、その後の高等教育機関での学修や社会での活動等へと接続させていくことが必要である。このような中、教育の在り方も一層進化させることが必要であり、これからの時代に求められる資質・能力を育成するという観点から、高等学校の教育課程の見直しを進めることが必要である。また、小中学校において実践が積み重ねられてきたグループ活動や探究的な学習等の学習・指導方法の工夫の延長上に、受け身の教育だけではなく課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習・指導方法の抜本的充実を図るなど、学習・指導方法の改善を進めることが必要である。このため、高等学校段階だけではなく、小中学校段階から高等学校段階までを通して、きめ細かな指導体制の充実を図ることや、教員の資質向上に向け、教員の養成・採用・研修の各段階を通じた抜本的な改革を行うことが必要である。さらに、生徒の日々の活動を通じた幅広い資質能力について多面的な評価を行うことが重要であり、学習評価の在り方や指導要録の改善などを図るとともに、多様な学習成果を測定するツールの一つとして、高校生が身に付けるべき基礎学力の確実な育成を図るため、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入する。

大学教育においては、個別の大学は、大学入学以前に培った「学力の3要素」を基にその大学で学ぶ意欲を持つ多様な学生が、これからの時代に卒業生として国内外の新しい社会で主体的に多様な人々と協力して生活をし、仕事をしていくことができるよう、個々の学生の主体性を更に引き出す多様な学びの場を創り、十分な能動的学修とそれを支える広く深い知識・技能を獲得できるようにする必要がある。
そのために、各大学が、「学位授与の方針」(以下「ディプロマ・ポリシー」という。)、「教育課程編成・実施の方針」(以下「カリキュラム・ポリシー」という。)、「入学者受入れ方針」(以下「アドミッション・ポリシー」という。)の一体的な策定を行い、三つのポリシーに基づいて多様な学生が新たな時代の大学教育を受け
られるようにする。また、そうした大学教育が行われるよう、大学認証評価制度を
平成30年度に始まる次期認証評価期間に向けて改定する必要がある。

大学入学者選抜は、これら高等学校教育と大学教育とを接続し、双方の改革の実効性を高める上で重要な役割を果たすものであり、個々の大学は、入学希望者が培ってきた「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する方法に転換する。特に、個々の大学は、多様な背景を持ち、能力や得意分野も多様な入学希望者が、大学入学以前にどのような力を総合的に培ってきたか、その力をディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーに沿ってどのように評価するのかをアドミッション・ポリシーにより明らかにし、そのアドミッション・ポリシーを具体化する入学者選抜方法を実現する。また、個別大学の入学者選抜に資するため、国において、「知識・技能」を基盤として「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を創設し、各大学の利活用を促進する5。
○ なお、大学入学者選抜は、高等学校卒業後に直接大学に進学する者だけのものではない。特別な支援を必要とする生徒や高等学校中退経験者、社会人等多様な背景や経験を有する者それぞれが大学に進むためにも開かれたものであることが必要であり、各大学の個別選抜における評価や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」において、こうした多様性が十分に尊重されなければならない。このことは、学生同士の主体的な学び合いや切磋琢磨を促し、大学教育そのものをより豊かなものとする上でも重要なことである。
○ 高大接続システム改革は、このような高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の改革を一体的に進めることを通じて、十分な知識と技能を身に付け、それを活用して思考し、判断し、表現する力を磨き、主体性を持って多様な人々と協力して学び、働くことのできる人材を、地域社会、国際社会、産業界等広く社会に送り出し、我が国で学ぶ人々一人一人の実り多い幸福な人生の実現と、社会の持続的な発展に貢献することを目的とするものである。

せっかくですので、この「中間まとめ」の内容を把握するため、目次を見ておきましょう。

Ⅰ 「中間まとめ」の背景と目的

Ⅱ 高大接続システム改革の基本的な内容・実施方法
(1)高大接続システム改革の基本的内容
(2)段階を踏まえた着実な実施

Ⅲ 高大接続システム改革の実現のための具体的方策

1.高等学校教育改革
(1)改革全体の基本的な考え方
(2)改革の方向性
ア 教育課程の見直し
イ 学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上
ウ 多面的な評価の充実
(3)高等学校教育の質の向上に向けたカリキュラム・マネジメントの確立とPDCAサイクルの構築
(4)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入
ア 導入の背景
イ 基本的事項
ウ 具体的な仕組み

2.大学教育改革
(1)大学教育改革の必要性
(2)三つのポリシーに基づく大学教育の実現のための方策
ア 三つのポリシーの重要性
イ 三つのポリシーの策定に関する位置付けの強化
ウ 三つのポリシーに関するガイドラインの策定
エ 三つのポリシーに基づく教学マネジメントの確立
(3)認証評価制度の改革

3.大学入学者選抜改革
(1)個別大学における入学者選抜改革
ア 個別大学における多面的・総合的評価による入学者選抜
イ 入学者選抜で学力の評価が十分に行われていない大学における入学者選抜の改善等
ウ 多様な背景を持つ受検者の選抜
エ 個別大学における多面的・総合的評価による入学者選抜を支える体制等の整備
オ 大学入学者選抜の実施に係る新たなルールの構築
(2)「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入
ア 導入の背景
イ 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の基本的な考え方
ウ 具体的な制度設計の考え方

大きく分けると「高等学校教育」「大学教育」「大学入試」の3つの切り口からなされる総合的な改革がこの高大接続システム改革。

中間まとめもこの構造を押さえつつ読み進めると、整理しやすいでしょう。

 

そして日本においては、教育システムにおける入試の位置づけ、重要性が非常に高いので、ここに手を付けるというだけでいろんな組み立てが変わってくる、というのが学校現場における現実でしょう。

本改革、ぜひしっかりと方向性と施策について押さえておきたいところです。

 

今日は引用ばかりになってしまいましたが、すでにブログがかなり長文になっておりますので、この中身については明日のブログでお伝えすることにしましょう。

気を持たせてしまってすみません。