寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

東大、文理融合の5年制新課程 学部・修士一貫で

ここ数年、東大が新たな施策を打ち出すというニュースが

多くなっている気がします。

できれば私学が先陣を切ってほしいところなのですが。

日経新聞より。

 

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東京大学は2027年秋に文理融合型で5年間一貫の教育課程を新設する方針を決めた。世界水準の研究職の育成を目指し、授業は全て英語で行う。生物多様性や気候変動といった解決が難しい課題に向き合う人材を育てる。秋入学とし国内外から優秀な学生の獲得を目指す。

 

学部という形ではなく、課程という形式で設置されるのは

「カレッジ・オブ・デザイン」という名称を予定されています。

カリキュラムは文理の枠にとらわれず、自身の興味に応じて設計。

視野を広げるため、1年間は企業でのインターンシップや留学などを課します。

 

そして、幅広い学生の受け入れを目指し、

従来とは異なる入試の方法を探っているそうです。

入学定員は100人程度を想定、半数は留学生とする方針ですが、

入試概要が決まり、公表されるのは2024年度中の予定です。

既存の学部の学生も新課程の授業を受けられるようにするそうですので、

その意味でも東京大学全体の魅力アップにつながるかもしれませんね。

 

教員も国際的に優秀な人材を確保するため、世界中からの公募となります。

財源も気になるところですが、大学の独自基金の運用益を生かして、

国内外の企業や大学から研究者を集めて講義を充実させる、

という考えをお持ちのようです。

 

東大の学部留学生の比率は現在約2%。女子学生の割合は約2割。

多様性という意味では後れを取っている状況と言えそうです。

これらを打破することができるか、

というチャレンジを含んだ取り組みとも言えそうです。

 

安定的に経営できている東京大学ですら、

次を見据えて施策を打ち出してきていますね。

さて貴校園の未来はいかがでしょうか。

挑戦心を大切にして、先に進んでいきたいものです。

 

(文責:吉田)

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高校生の英語、実践で磨く

実践力の高い英語を身に付ける、という必要性は理解されながら、

なかなかそうなっていない現実があります。日経新聞より。

 

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日本人の英語力不足が指摘されるなか、若い世代の英語教育を充実させる動きが全国で広がる。東京都は高校中級程度とされる英検準2級レベル以上に達した公立高校の生徒の割合を、2022年度までの7年間で最も伸ばした。外国人講師と1対1で話す機会を設けるなど、会話を中心とした「使える英語力」の育成に力を入れる。

 

下の図を見ると、子どもも教員も、確かに英語力は向上しているように見えます。

 

 

北陸3県が上位独占、となっていますが、

「読む・書く・聞く・話す」の4技能を満遍なく伸ばすための

実践型授業に力を入れており、海外の学生らとの交流会なども活発、とのこと。

福井県は生徒が英語で意見や考えを表現するなど4技能統合型の授業づくりを進める。職業系学科を持つ高校を中心に、生徒がタブレットでのビデオ通話で海外の若者らと交流する授業もある。ALTとの交流も多い。県教委は「英語を話す機会が増え、生徒のモチベーション向上につながっている」とみる。石川県も「話す」技能の中でも「やり取り」に重点を置いた英語教育充実事業を進めている。

 

一方、順位を大きく上げたのは東京。

準2級レベル以上の生徒は55.9%で、2016年度より22.1ポイント増加し、

全国順位も36位から4位に浮上しました。

都はコミュニケーション能力向上に重点を置いた教育を進める。16年度にはタブレット端末を使って外国人講師と1対1で話すオンライン英会話を開始。23年度にはすべての都立高校で導入した。

町田市の成瀬高校は23年度に1、2年生が5回ずつオンライン英会話を受講。浅沼善宣主任教諭は「回数と時間に限りはあるが、初対面の外国人に英語が通じたという成功体験が得られることは大きい」と話す。都は公立中学でも「スピーキングテスト」を導入し、結果を都立高校の入試にも活用している。

 

また、奈良県は同じ調査で伸び幅2位となりましたが、

こちらは教える側の指導力の強化が鍵になっているようです。

県立高校の英語担当の全教員に英検準1級以上の英語力を身につけてもらう研修を実施する。23年度はネーティブ講師とともに3日間、英語だけを使う内容とした。教員採用試験でも英検準1級以上の取得者などの一部試験を免除している。

 

さて、貴校園でもおそらく英語教育には一定の力点が置かれている

と思いますが、その成果はいかがでしょうか。

語学はコミュニケーションの基本、相互理解の基本として

その後の人生にも大きな影響を及ぼすものだと感じます。

今回の記事で紹介されている事例の中で、

実践できそうなもの、あるいは着眼のヒントなどを得つつ、

教育内容のブラッシュアップを図っていただければと思います。

未来の社会は、きっともっと、ボーダーレスなはずです。

 

 

(文責:吉田)

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「結婚氷河期」脱却見えず 昨年、90年ぶり50万組割れ

すでに昨年の出生数の報道もありましたし、

後日そのことをこのブログでも採り上げようとは思っていますが、

その前提にこの現象があることも事実です。日経新聞より。

 

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婚姻数の減少が止まらない。2023年は90年ぶりに50万組を割る見通しだ。新型コロナウイルス禍による出会いの減少に加え、経済的な理由から若者が結婚に踏み切れない。政府は(2月)16日、少子化対策の拡充を盛り込んだ関連法案を閣議決定したが、若者の将来不安の払拭に向けた道筋は不透明だ。

 

この記事自体は2月中旬の日経新聞に掲載されたものですので、

その時点では婚姻数の具体的な数値は判明していませんでしたが、

後日、2023年の婚姻数の速報値が

「前年比5.9%減の489,281組」と発表されました。

 


現在、日本では多額?の予算をつぎ込んで、

子どもに対する公的支出を増やしている…というのが政権の主観ですね。

 

確かにこれまでに比べれば多くのお金がそちらに流れていますが、

果たしてこれで人口減少に歯止めがかかるのか、

全く見通せないのが現状と言っていいでしょう。

 

対策の効果が上がらない一因に政府の施策が「子育て支援」を重視し、未婚の若者への対応が手薄な点がある。結婚生活15~19年の夫婦の最終的な子どもの人数は21年時点で1.9人と少なくないため、婚姻減が少子化にもたらす影響は大きい。

 

婚姻数が50万人を割るのは1933(昭和8)年以来90年ぶり。

1933年の日本国内の人口はおよそ半分の6700万人程度、

同時期の初婚年齢は25歳ほどで今より5歳ほど若かったそうです。

現在は男性の生涯未婚率は30%近くに上りますが、当時は2%未満。

かなり状況は異なります。

 

結婚を希望しても踏み切れない「結婚氷河期」の背景にあるのは、若年層の不安定な雇用とそれに伴う所得の低下だ。

連合の22年調査によると、学校を出て初めて就いた仕事が正規の女性のうち、子どもがいる人は57.7%だったのに対して、非正規では33.2%にとどまる。配偶者がいる人は正規で63.6%、非正規では34.1%だった。22年の総務省調査では年収が低い男性ほど生涯未婚率が高かった。

 

学校が婚姻率や出生率を上げるための直接の役割を果たすわけではないでしょう。

ただ、上記の要因を見るにつけ、学校での学びと社会での役割は

いずれも人生を豊かにするための大切な要素だと感じざるを得ません。

私学では特に、「最低限+α」の学びが実現できる環境があるはず。

未来が明るい社会になるように、発展を続けていただきたいと願います。

 

(文責:吉田)

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中小の36%、賃上げ「3%以上」の意向

今朝の新聞やニュースでも、春闘の回答状況が並んでいますね。

大企業のみならず、中小企業も賃上げの傾向が見られ始めました。

短い記事ですが確認しておきましょう。日経新聞より。

 

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日本商工会議所は(2月)14日、2024年度の中小企業の賃上げや人手不足に関する調査結果を発表した。賃上げ率を「3%以上」とする企業の割合は36.6%で前年から3.1ポイント増えた。業績が改善しない中で人手確保などを目的に賃上げする企業が目立つ。

 

この調査は今年1月に実施されたもので、対象は全国の中小企業。

2988社から回答が得られています。

上の文章にもある通り、「業績が改善しない」けれども

「人手確保などを目的に」賃上げ、という流れのようです。

 

ちなみに、賃上げ実施予定の企業は61.3%で、前年より3.1ポイント増。

中でも、基本給を底上げするベースアップが49.1%で、

前年比8.3ポイント上昇しています。

定期昇給がない企業もあるかもしれませんので、

ベアという用語が正確に用いられているかどうかははっきりしませんが、

いずれにしても月例給を上げるケースが多くなっているのは

確かなようですね。

 

人手が「不足している」とした企業は65.6%で前年から1.3ポイント上がった。従業員の引き留めなどを目的に、業績の改善が見通せない中で「防衛的賃上げ」をする企業も6割ある。

 

私学、特に大学法人以外の学校法人は多くの場合、

中小企業に分類される規模であろうと思われます。

そして、学校も人手不足は深刻なままです。

給与の額だけが人手確保の施策にはなりませんが、

民間企業との獲得競争にもなり得るとすれば、

こういう世間の状況には少し意識を向けておく必要があるかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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教員の「残業代」上げ幅焦点 待遇改善向け議論

すでに1カ月前の記事なのですが、その後議論は進んだのでしょうか。

実は本日がその後の議論の開催日なのです。日経新聞より。

 

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中央教育審議会文部科学相の諮問機関)の特別部会は(2月)14日、公立学校教員の待遇改善に向けて本格的な議論を始めた。残業代の代わりに支給されている「教職調整額」の引き上げ幅が焦点で、月給の10%以上、現状の2.5倍以上とする案などが検討の軸となる。春に方向性をまとめる方針だ。

 


業界関係者にとってはすでに周知の事実ですが、

公立校においては、時間外勤務手当(残業代)が支給されない代わりに

月給の4%を教職調整額として支給することとされる

教職員給与特別措置法(給特法)が存在しています。

ここでの「4%」という割合は、1971年の給特法制定当時の残業時間、

「月8時間程度」というところから算定されたもの。

ところが、2022年度調査における月平均残業時間の推計は、

小学校で約41時間、中学校で約58時間。4%はいかにも不適切です。

 

そしてこれは公立校のみに適用されるルールのはずが、

このブログが対象としている私学においても、

わりあい広くに採用されています。

公私の間で異なるルールが存在すること自体にも

問題を感じざるを得ないのですが、少なくとも現代において、

わざわざ働く意欲を減退させる制度であり、

健康を損なう危険性の高い方法でもある制度を

採り続ける必要はないでしょう。

 

ただ、大きな問題は「財源」です。

義務教育段階の教職員の給与は国が3分の1、都道府県や政令指定都市地方交付税などを活用して残り3分の2を負担する仕組みになっている。文科省によると、仮に調整額を10%とした場合、国費ベースで700億円の追加費用がかかる見込みだ。

増加しつづける不登校児童生徒の支援など教育現場は課題が山積しており、待遇改善に充てられる文科省の予算にも限界がある。教員の確保は長時間労働の是正など働き方改革も一体で進めることが欠かせない。

 

記事で指摘されている上の内容は、私学にもあてはまります。

限られた財源で、学校での業務を全うするためには

働き方そのものを変革することは必須でしょう。

 

現実に、残業代が支給されている民間企業等においては、

残業代が得られることを目当てに残業する、

というケースが発生することが往々にしてあります。

(もちろん、ご本人はその意図を否定されるでしょうけれども)

つまり、残業代が支給されるようになると、残業時間は延びるのが一般的です。

 

そしてこれは、私学であっても同じことです。

ついては、限られた労働時間を有効活用するという意識は

働く側に備えておくことが必要でしょう。

そしてそれとともに、経営側には

労働の対価をきちんと支払う、という意識を持ち、

それを実現するための収支構造を実現していくことが必須です。

 

教育というサービスの提供には、

ともすると「時間無制限」という修飾語が付きやすいもの。

これではいつまで経っても職場環境は改善できません。

時間の制約の下でいかに業務を成立させるか。

組織挙げての取組は待ったなしのはずです。

 

(文責:吉田)

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10代の摂食障害、深刻に

本当に深刻なニュースだと感じます。日経新聞より。

 

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拒食や過食といった「摂食障害」の発症が10代で深刻化している。行動変容を強いられた新型コロナウイルス禍で増え、その後も患者数は高止まりしたまま。SNSに寄せられる称賛などが「やせ願望」につながる恐れもある。周囲が小さな異変に気づき、早めに相談する必要がある。

 

この記事に登場する女子中学生は、コロナ禍で運動部の活動が制限される中、

必要以上に食事量を減らした結果、友達から「かわいくなった」と褒められ、

さらにはSNS投稿に押される「いいね」の増加もあり、過剰な減量に陥ったそうです。

コロナ禍が深刻化させた摂食障害

休校などによるストレスや行動制限が影響しているとも言われています。

 

 

2023年11月に、国立成育医療研究センターがまとめた実態調査では、

2022年度の初診外来で摂食障害の一つ「神経性やせ症」と診断された

20歳未満は全国23病院で276人で、これは2020年度の313人、

2021年度の319人に比べるとやや改善してはいるものの、

コロナ前の2019年度は199人で、高止まりが続く状況とのこと。

年代別では中学生が最も多かったそうです。

 

 

私自身が中高生の頃も、同じように摂食障害の例は指摘されていたと

記憶していますし、おそらくそれ以前もあったと思います。

つまり、普遍的に陥ってしまう罠である危険性がある、

それが摂食障害ではないでしょうか。

昨今では感染症対策による食事関連の制約の影響があったり、

SNSの影響があったり、とその要因はアップデートされているようですが、

人間としての基本的な欲求に深く関わっているものですから、

そう簡単にはなくならないのでしょう。

 

こういったことに学校はどう対処すればいいのか、

と言われても戸惑うばかりですが、

やはり子供たちの変化にはいち早く気付きたいものです。

上の表にはその兆候例が書かれていますので、

ぜひ参考にしていただき、心身ともに健康な状態で

大人へと育ってほしいと強く願います。

 

(文責:吉田)

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外国人と交流「ない」8割

学生のこと、ではないのですが、ちょっと驚いた記事です。

日経新聞より。

 

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他の地域と比べて外国人が住む割合が高いとされる17都道府県の59市町村の住民に大正大地域構想研究所がアンケートした結果、「外国人と日常的な交流がない」と答えた人が8割を超えたことが10日、分かった。また半数以上が外国人の増加を望んでいないと回答した。外国人労働者の受け入れなどが社会的課題となる中、共生のための環境整備が急務だ。

 

上の文章の出だしが重要です。

この調査は、東京23区と政令市を除き、住民基本台帳を基に

「人口の5%以上が外国人」の自治体を抽出して実施されたもの。

つまり、地域に外国人が住んでいる、という自治体ですから、

何らかの形で交流することがむしろ自然な気がするのですが、

現実にはそうではない、という結果だと受け止めました。

 

ちなみに、本件インターネット調査は昨年10~11月に実施され、

17都道府県の59市町村に住む男女1194人から回答が得られたものです。

 

地域に暮らす外国人と「付き合いがない」と回答したのは83.8%で、「ある」は16.2%だった。「ある」と答えた人のうち「同じ職場で勤務」が39.7%で最多。「近所付き合いがある」「友人として付き合っている」が続いた。

「日本で暮らす外国人が今後も増加してほしいか」という問いには54.4%が否定的な回答を寄せた。トラブル増加や治安が悪くなるといった理由を挙げる人が多かった。

 

さて、私学では特に、国際交流に力を入れているケースが

かなり多くあるように感じています。

子どもの頃から外国人と当たり前に接する機会が増えることによって、

おそらく、今回の調査結果とは異なる状況になっていくのではないか、

と期待しています。

 

一方で、学校ができる地域貢献のひとつとして、

例えばネイティブ教員など、学校と関係の深い外国人の存在を活かして、

地域のイベントなどに参加して住民のハードルを下げる、

といったことも考えられるのかもしれません。

 

厚生労働省によりますと、2023年10月末時点の外国人労働者

200万人を超えて過去最多となっています。

記事では、ご紹介した調査を担当した教授のコメントとして、

「外国人の労働力に頼るなら、待遇と同様に外国人も生活しやすく

 将来的なキャリアを描ける環境の整備も大切。

 きちんと外国人居住者と向き合い、共生社会の実現に向けて

 地道な努力を重ねなければならない」

との話が掲載されていました。

学校の存在もその一助になれる気がするのですがいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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