世間の賃上げ率、ものすごいですね。
改めて経営環境のひとつとして押さえておきましょう。
日経新聞より。
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今回ご紹介する記事はやや古いのですが、今年の3月13日、
2024年の春季労使交渉の集中回答日の翌朝に掲載されたものです。
トヨタ自動車や日本製鉄など主要製造業の8割が、労働組合側の賃上げ要求に対して満額回答やそれを上回る回答をした。多くの企業で連合が掲げた賃上げ率の要求方針「5%以上」を超える。約30年ぶりの高水準となった23年春季交渉を超える勢いだ。
上の表をざっと見ても、高い率の回答が多いですね。
自動車や電機など大手製造業に加え、人手不足感の強い外食でも、
満額回答、高水準回答が相次いでいます。
連合の3月4日時点の集計では、参加する労組の要求平均は「5.85%」。
2024年の全産業の賃上げ率見込みは、いくつかの民間予測によって
多少の差はありますが、概ね4~5%程度のようです。
ではこれが「実質的な賃金アップ」になるのかどうか。
物価高が続いていますので、気になるところなのですが…
23年の賃上げ実績では物価高を超えられずに実質賃金のマイナスが続いている。1月の民間試算では、今年の賃上げ率が3.6%を超えるかどうかがプラスに転じる目安となっている。
3.6%が目安なんですね。
大企業の平均値はこの目安を超えそうですが、さて中小はどうでしょう。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
連合が(3月)15日発表した2024年春季労使交渉の第1次集計で、中小企業の賃上げ率は4.42%に達し、32年ぶりの高水準となった。引き上げ機運は中小にも広がり、物価と賃金が持続的に上がる好循環に弾みがつく。
というわけで、中小企業の賃上げ率もかなり高めのようです。
ただ、記事にはこうも書かれています。
組合員数300人未満の労働組合の結果をまとめた。賃上げ率は前年の同時期から0.97ポイント上昇した。最終集計と比べると5.10%だった1992年以来の高い水準だ。基本給を底上げするベースアップ(ベア)率も明確に分かる268組合で2.98%と0.86ポイント上がった。
注意点は2つ。
1つは、組合員数300人未満の結果をまとめたものだということで、
これは中小でも比較的規模の大きな企業が多く含まれている可能性があります。
もう1つは、ベア率を区分した場合、ベアは3%弱で、
残りは定期昇給だということです。
さて、今回の賃上げを定期昇給も含むものと考えた場合、
貴校園の賃上げ率はどのくらいでしょうか。
この機会に、ぜひ一度計算してみてください。
賃金制度が古いままだと、
ベアなしでも3%くらいになっているケースが
ままあるのではないかと思います。
報道されている数値を確認する場合は、
こういった前提条件に留意しておいてくださいね。
とはいえ、賃上げは職場や立場を問わず、
かなり広がっているのは間違いありません。
アルバイトについても、こんな記事がありました。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
リクルートが(3月)14日発表した2月のアルバイト・パート募集時平均時給は、三大都市圏(首都圏、東海、関西)で前年同月比50円(4.4%)高い1192円だった。伸び率は現在の方式で算出を始めた2018年3月以降で最高だった。新年度に向けた新規募集が本格化する中、春季労使交渉での大幅賃上げをにらみ、企業はアルバイト・パート時給の引き上げに動いた。
ちなみに、この記事によりますと、
職種別にみた場合に「専門職系」が61円(4.6%)高の1381円で、
これまでの最高額を更新しているそうです。
中でも塾講師の募集の伸びが大きく、子供の塾の利用が増える中、
講師になる学生が減少していることが背景にある、とのこと。
学生時代のバイトで塾講師をしていた人材が、
学校に就職して本給が下がった、といった笑えないことが
起きないとも限りません。
貴校園の賃金水準を確認しておいていただければと思います。
(文責:吉田)