景気のいいタイトルですね。
ただ、だからこそ正確に情報を捉えておきましょう。
日経新聞より。
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日本経済新聞社がまとめた2022年の賃金動向調査で定期昇給とベースアップ(ベア)と合わせた平均賃上げ率は、前年比0.48ポイント増の2.28%となった。賃上げ率は4年ぶりの水準で、7割の企業がベアを実施した。新型コロナウイルス禍から回復した企業で最高益が相次ぎ、賃上げが広がった。ただウクライナ情勢もあり物価が上昇するなか、消費の底上げには力不足と言える。
統計記事の際にはいつもご注意をいただかねばならないのが、
その統計の基となっている調査対象。
今回のそれは記事本体からは明確でないのですが、別の記事をたどってみますと、
「上場企業と日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業の合計2327社」
と書かれており、その中で「前年と比較できる311社で集計」したのが
記事の内容、ということになりそうです。
規模の大きな企業が前提になっていることに十分な留意が必要です。
ちなみに調査自体は3月31日~4月19日に実施されています。
東証プライム上場企業1100社強の2022年3月期の純利益が4期ぶりに最高益となり、
2021年末時点の直近四半期の総資産利益率(ROA)も4.9%と、
コロナ禍前の水準に回復したことが背景にあるようですが、
賃金額は4年ぶりに前年を超え、しかも増加幅(前年比0.48ポイント増)は
32年ぶりの高い上げ幅となったそうです。
企業の賃金と私学の賃金は必ずしも連動しませんし、
規模や業績の観点からも参考値程度に考えるべきだとは思うのですが、
少し気になる点もあります。
この賃上げの要因を、記事はこう解説しています。
人手不足のなか人材をつなぎ留める狙いもある。アンケートでは22年の春季労使交渉で「人手不足を考慮した」と24%が答えた。化学や自動車・部品などで多かった。
ベアが相次ぐ背景には足元の物価上昇基調がある。岸田文雄首相が21年11月、緩やかな物価上昇と経済成長率の引き上げを実現するため、好業績企業に3%超の賃上げを求めた。大和ハウス工業は米国での戸建て販売などで業績が拡大し、3年ぶりにベアを実施した。アンケートでは「政府の要望を考慮した」との回答が電機業界を中心に21.8%に達した。
人手不足は教育業界に限ったことではないことを改めて感じつつ、
このような状況が教員不足に拍車をかけはしないか、
少々心配にもなります。
私学の場合、50代以降に昇給原資を多く配分する給与制度が
依然少なくないと考えられ、その分だけ、初任給水準が低く、
採用競争力が十分でないケースも多いように感じます。
貴校園の初任給水準が適切かどうか、
さらには若年層の給与水準も競争力を確保できているか、
改めてご確認いただければと思います。
(文責:吉田)