一般企業の話題ですがご容赦ください。
多くの私学は規模の上では中小企業に該当します。
世間の中小企業の状況について知っておくことは、
私学経営上きっとプラスになることと思います。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
2023年の春季労使交渉で賃上げ機運が高まるなか、中小企業の動向に注目が集まっている。賃上げ率は22年と横ばいで、足元の物価上昇分を下回る公算も大きい。大企業に比べてコスト高を製品価格に転嫁しにくかったり、23年4月から残業代の割増賃金率が大企業同様の基準に引き上げられたりすることが賃上げの壁になっている。
物価高を受け、一時的、あるいは恒久的な賃上げのニュースも
それなりに見聞きしてはいますが、中小企業については
一般に流れているニュースが知らせている状況とは
少々異なることが多いものです。そして今回もそのようです。
商工中金が全国の中小約2300社を対象に、2022年11〜12月に調査した結果では、
2023年の賃上げ率は1.98%になる見込みで、この数値は
新型コロナウイルスの感染が拡大していた2021年実績(1.31%)よりは
増えていますが、2022年実績(1.95%)とほぼ変わらず。
2022年12月の消費者物価指数は2021年同月比4.8%上昇していますので、
賃上げ水準は直近の物価高を下回っています。
商工中金の調査では回答企業の72.5%が23年の定例給与・時給を「引き上げる」と回答。単純な比較は難しいが、13年実績の17.6%の約4倍に達する水準だ。賃上げ意向はあるものの、賃上げ率が伸び悩む見込みなのは、価格転嫁の進捗など業績への懸念だ。
さて、私学のことを考えてみますとどうでしょうか。
上記の通り、教職員の処遇を高めるとなった場合に、
「価格転嫁」、すなわち納付金等の値上げは可能でしょうか。
また、収入だけでなく、賃上げがなくても人件費が膨らむ要素にも
注意が必要です。
23年4月から中小でも月60時間を超える残業の割増賃金率が従来比2倍になる。業務量の削減を進めて時間外労働を減らすことができなければ、ベアによる基準内賃金の引き上げは大幅な人件費増に直結することになる。
物価高は今後も続きそうではありますが、
現状、同規模の中小企業に比べると賃金水準が高い私学が
多くを占めている中、物価高にどう対応するかという点は
各校園で冷静にご検討いただく必要があると思います。
一方で、教員不足が深刻化している現状を踏まえ、
適切な処遇と働き方を実現することの必要性も強く感じます。
ぜひこの機会に、納付金水準・給与水準・働き方について
関連付けてご検討いただきたいと願っております。
(文責:吉田)