東京・開成中高校長へのインタビュー記事です。
進学先の多様化は進んでいくのでしょうか。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立開成中学・高校は、言わずと知れた、東京大学進学トップ校。
その合格者数は42年連続最多となっています。
が、近年は英語教育を充実させ、海外の難関大への進学を支援するなど、
東大にこだわらない姿勢を強めている、と記事には書かれています。
今回の記事のインタビュアーはなかなか意地悪なところがあるのか、
冒頭はこんなやりとりがなされています。
入学も進学も、塾ありきの現実が垣間見えます。
――高い実績は東大専門の塾に通う生徒が多いためだとの見方もある。
「塾の貢献は一部だ。塾に限界を感じ自分で対策する生徒もいて、意外にたくましい。私たちは大学受験対策はあまりしない。重視するのは大学に入った後も生きる勉強だ。理科は実験実習を大事にする。社会科でも先生が工夫した教材や校外実習で好奇心を育てる」
――新入生は中学受験のための塾通いで「やらされる勉強」に慣れてしまっていないか。
「それも意識して入試はじっくり考え、工夫して答える問題にしている。算数は多分、私でも簡単に解けない。小学校低学年から塾に通えば学力が伸びるわけではなく、塾は早くても4年生からでいい」
さてここからが本題。
海外の大学への進学について、同校長はこう語っておられます。
「2011年ごろから希望者に海外トップ大への進学も支援している。多様な人々との間でコミュニケーションする能力、協働しけん引できるリーダーシップが身につくからだ。23年の卒業生は準備を始める高1の時に新型コロナウイルス禍に見舞われたため2人と少ないが、17~22年は年5~10人が進んだ」
「生徒の意識も変わってきた。欧米の優秀な高校生は自国にとどまらず世界のトップ大学にどんどん進む。日本の生徒はまだ世界を見ずに大学を決める傾向が強い」
同校では、米有名大の夏季プログラムなどに自主参加する生徒が
毎年50人ほどいるそうで、仮にそのプログラムが
授業や試験と重なっても欠席扱いにしない配慮をしているそうです。
今後は米英などの高校と1カ月程度の交換留学も始めたい、
と校長はおっしゃっています。
また、開成中高は男子校ですが、こんな気になるやりとりもありました。
――世界には研究界や政官の指導層に女性が多くいる。将来そこに出て行くことを考えると男子校のままでよいのか。
「将来、共学化はありうると思う。ただ、まだ機が熟していないと考える。私個人としては、男女共同参画が遅れている日本社会を変える姿勢を育むため、機運が醸成されれば共学化を真剣に考えてもよいのではないかと思う」
現状、共学化は経営陣の中ではほとんど議論されていないそうで、
その中で校長は
「うまくいっている学校を変えるのは簡単ではない」
とおっしゃっています。
これは私も普段から強く感じているところで、より正確に言えば、
【うまくいっている「ように見える」学校を変えるのは簡単ではない】
ということではないかと思います。
うまくいっているのはあくまでも目の前のことであったり、
あるいはうまくいっているように見えても実際は深刻な問題が起きていたり、
というのが多くの例ではないかと思います。
しかし、表面的な現象が良好であれば、物事は変わりにくいもの。
私学は常にこのことを意識し、どうすればよりよくなるか、
を継続的に検討していかねばならないと強く思います。
今回は超有名校のご紹介でしたが、
参考になるところはありましたでしょうか。
ぜひとも他校の取組を参考にもしながら、
自校園の行く末を考える機会にしていただければと思います。
(文責:吉田)