人口動態に改善の兆しは見えてきません。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
厚生労働省が(8月)29日発表した人口動態統計によると、2023年1~6月の出生数は前年同期比3.6%減の37万1052人(外国人を含む速報値)だった。2年連続の40万人割れで、00年以降で最少だった。出生数の先行指標となる婚姻数は過去最低水準で、出生減が一段と進む可能性がある。
上の文章を読んだだけですと、去年と同じくらいなのかな、
と思ってしまいますが、さにあらず。
なんと、さらに大きく減っているのです。
下の表をご覧ください。出生数は実に3.6%の減となっています。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が4月に公表した将来推計人口では、23年の出生数は76万2000人(外国人含む)と予測する。23年上期の減少率が下期も継続すれば通年でおよそ77万人になり、ほぼ推計通りになる。10年前の106万人からは27%減ることになる。
上の「ほぼ推計通り」という言葉をそのまま受け取るとすれば、
今後は少し持ち直すことになります。
すなわち、上記推計によりますと、2024年度の出生数は779,000人、
2025年には774,000人になる見通しとなっています。
しかしながら、推計通りになるかはどうも疑わしいのです。
というのも、婚姻数が減少しているから。
上の表の通り、2023年上期の婚姻数は7.3%の大幅減で、
2018年同期のおよそ30万組からなんと18%も減っています。
ある専門家は「結婚してから出産するまでの時間もかかるため、
1年半~2年半後の25年ごろも出生減は止まっていないのではないか」
とコメントしています。むむむ。
以前にもお伝えしましたが、社人研の推計には3つの推計値があり、
その中で中位推計が用いられることが圧倒的に多い印象があります。
が、仮に減少率が3.6%のまま推移してしまいますと、
外国人を含む出生数は26年に70万人割れとなり、
推計値の中でも「低位推計」に近づいてしまう結果となるようです。
というわけで、以前のブログでも書かせていただいた通り、
貴校園の将来設計においては、中位推計を採用するのはやや危険で、
低位推計も視野に入れておく必要がありそうです。
貴校園の商圏の人口推計を改めてご確認いただき、
今後の生徒募集の見通しをお持ちいただければと思います。
当然、生徒数は教育内容にも影響を及ぼすと思いますが、
同時に経営の安定性にとっても最重要の要素です。
予想される生徒数が経営の永続の観点から必要十分かどうか、
きちんと検証していただき、枠組みの変化が必要であれば、
早めに舵を切っていただくことが肝要です。
そろそろ次年度あるいは中期の計画立案が本格化する時期ですので、
念入りなご準備をお願いいたします。
(文責:吉田)