ちょうど1か月前に出された提言です。
日経新聞より。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
教員の働き方改革を巡り、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は(8月)28日、授業時数や学校行事の見直しなどを求める緊急提言をまとめた。生成AI(人工知能)の校務への活用やマンパワーの充実も盛り込むなど、危機感がにじむ。文科省は教員確保に向け指導環境改善を急ぎ、長時間労働の是正につなげる。
今回の提言のポイントは以下の通りです。
教員の長時間労働は依然として大きな問題となっていて、
2022年度の公立学校教員を対象とした勤務実態調査によりますと、
残業時間の上限基準(45時間)に達した教員は、
中学校で77%、小学校で65%に上ったとのこと。
「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上の可能性がある教員は
中学校で37%、小学校で14%。
おそらく私学でもかなりの割合になるのではないか、と感じます。
そしてこういった報道がなされるたび、教員志願者は減っていき、
2021年度実施の公立小学校教員の採用試験倍率は
過去最低(2.5倍)となりました。
今回の提言には、授業時数の適正化が挙げられています。
2022年度の調査では、国の標準1015時間を大きく上回る、
1086時間以上の小中学校が3割を超えていて、
そのために人繰りが大変になるという状況になっています。
コロナ禍を経て、急な休校などに備えて授業時間を多く設定する
学校も多いようなのですが、何でもいいから授業をする、
というのではなく、質の高い授業をするという観点から、
特に私学では無理のないカリキュラム設定が求められます。
このことに関連して、今月初めにはこんな記事も掲載されました。
同じく日経新聞からです。
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
東京都の自治体が小中学校の教員の働き方改革を推し進めようと試行錯誤している。テレワークの本格導入や土曜授業の削減、部活動指導の外部委託など様々な取り組みを始めた。長時間労働などを背景に教員は全国的になり手不足が常態化している。教育現場の働き方の改善が急がれる。
この記事は首都圏版に掲載されたものですが、自治体の取り組みとして、
授業以外の業務にテレワークを本格導入した例、
毎月最終水曜日を職員会議や部活動を原則行わない日とした例、
月1回の土曜日授業を年間8回に減らした例などが登場します。
さらに部活動に関しても、休日だけでなく平日も
外部の支援員が指導する例が登場しており、
いろいろな試みが進んでいることが分かります。
私学では、行事を減らすことや部活動を減らすことに
消極的なケースは公立以上に多くあると思いますが、
質の高い教育活動を優先させるために頻度を落とす、
といったことは積極的に検討すべきではないかと感じます。
ぜひとも貴校園でもご検討いただけましたら幸いです。
(文責:吉田)