寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

教員「残業代」増額の公算

まずは本日、学校経営セミナー開催日となっております。

私学における給与制度改定の具体的手順と実例紹介【前編】|株式会社 ワイズコンサルティング

 

すでにエントリーいただいております皆様におかれましては、

ご受講用の各種情報をすでにお届けしております。

13:30の開始までに、余裕を持ってご入室ください。

皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

 

さて本日はそのセミナーテーマとも関係が深い、

教員の残業代のニュースを採り上げてみます。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

公立学校教員の待遇改善策づくりが始まった。残業代の代わりに基本給の4%を上乗せする「教職調整額」を約50年ぶりに増やす公算が大きい。2.5倍の10%以上にする案もある。文部科学省働き方改革と一体で進める方針で、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化も必要となる。

 

このニュースは先月、文科相中央教育審議会に対し、

質の高い教員確保に向けた総合的な方策の検討を諮問した際のものです。

中教審の答申は来春の予定とのことです。

 

この諮問に先立ち、文科省有識者会議は今年4月、

教職調整額を引き上げるなどの案をすでに公表しています。

そして、自民党の特命委員会も先月、

教職調整額を4%から10%以上に増額する提言をまとめました。

 

今回の中教審での議論の焦点はその「引き上げ幅」です。

教職員給与特別措置法(給特法)の改定によって、

どのくらいの増額がなされるかに注目が集まります。

文科省によりますと、10%に引き上げた場合に

国と地方が負担する予算額は約3450億円で、

現在の約1380億円から追加で約2000億円が必要とのことです。

 

こういった議論の発端は教職の人気低迷。

2021年度実施の教員採用試験の倍率は公立小で2.5倍と、

過去最低が更新されました。

(今朝の新聞では直近の倍率がもっと下がったという話題も掲載がありました)

そして、公立校の教員には時間外勤務手当(残業代)が支給されない、

というのも今や有名な話になってしまいました。

現在の上乗せ分、教職調整額は4%ですが、この比率は給特法制定当時の

残業時間で、月8時間程度。

しかし2022年度の調査では月平均の残業時間の推計は

小学校で約41時間、中学校では約58時間。

まったく残業代の意味をなしていない水準です。

 

さて、貴校園では残業代は支給されていますでしょうか。

給特法はあくまでも公立校が対象の法令ですので、

私学は一般企業と同様、残業が発生すれば時間相当の残業代が

支払われなければ違法、となります。

しかしながら、公立校と同じように定率、定額での支給例が

まだかなり多く残っていると実感しています。

当然、これまで時間相当額が支払われていなかったとすれば、

これを支払うとした場合の支出増はかなりのボリュームになるでしょう。

しかし、これを放っておいていいはずがありません。

ぜひとも給与制度自体の見直しを行った上で、

適切な残業代を支払えるしくみを構築していただければと思います。

 

ちなみに、中教審では新たな手当の創設も議論されます。

クラス担任やデジタル対応にあたる教員に手当を支給する案がある、

と記事にはあるのですが、これもまた、

私学の中にはタブー視されている校園もあると感じています。

 

兵庫教育大の加治佐哲也学長は「学級規模や役割の重さに応じた手当による給与のメリハリが重要だ。校長らがタイムマネジメントの能力を高め、長時間労働を変える必要がある」と語る。

 

今後の中教審の審議にもぜひ注目いただき、

貴校園のよりよい経営のために他山の石としていただければ幸いです。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp